グラフはfinancialpostより スイスのIMDから、国際競争力ランキングが発表されました。評価分野は「経済状況」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「社会基盤」の4分野です。 1位 シンガポール(前年3位→1位)「ビジネスの効率性」「経済状況」が高評価 2位 香港(2位→) 3位 米国(1位→)「政府の効率性」↓財政赤字の膨張で 8位 台湾(23位→)「ビジネスの効率性」が高評価 18位 中国(20位→) 22位 英国(21位→) 23位 韓国(27位→) 27位 日本(17位→) その他 5位:オーストラリア、10位:マレーシア、31位:インド、36位:スペイン、37位:ポルトガル、38位:ブラジル、46位:ギリシャ 日本の評価を下げた理由 ・「経済状況」↓ 成長率の低下や対内直接投資の低迷など ・「社会基盤」↓ 少子高齢化に伴う労働力人口の減少 ・「政府の効率性」↓ 財政赤字の膨張 ニュースではあまり注目されていませんが、注目すべきIMDのコメントとして『公的債務を一般的に健全とされる国内総生産(GDP)比の60%に圧縮するのに必要な期間を国別に算出したところ、日本は2084年までかかる見通しで最長となった。IMDは放漫財政を改めない国の筆頭に日本を挙げた』があります。 (引用開始) 日本の競争力、27位に急落 中韓台下回る スイスの有力ビジネススクールまとめ 2010/5/20 1:02 スイスの有力ビジネススクールのIMD(経営開発国際研究所)が19日発表した「2010年世界競争力年鑑」で、日本の総合順位は58カ国・地域で27位で、前年の17位から急低下した。中国、韓国、台湾などに抜かれ、02年以来8年ぶりの低位に沈んだ。金融・経済危機で打撃を受けたうえ、少子高齢化や財政の厳しさが評価を一段と悪化させた。 IMDは主要国・地域の「経済状況」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「社会基盤」の4分野で、約300項目の統計や独自調査の結果を分析し順位を発表している。評価の基準は一部異なるが、日本は調査を始めた1989年から93年まで首位だった。 今年はシンガポールが初の首位。「ビジネスの効率性」や「経済状況」の評価が高く、前年の3位から2つ順位を上げた。94年から09年まで首位を維持してきた米国は、財政赤字の膨張などで「政府の効率性」の評価が下がり、3位に転落した。 2位は前年と同じ香港。アジア勢は台湾が「ビジネスの効率性」が高く評価され23位から8位に躍進したほか、中国が20位から18位、韓国が27位から23位にそれぞれ順位を上げた。 日本は成長率の低下や対内直接投資の低迷などを映し「経済状況」が大幅に悪化。少子高齢化に伴う労働力人口の減少で「社会基盤」の評価も下がった。「政府の効率性」では財政赤字の膨張が足を引っ張った。 各項目をみると、日本は法人税の高さに関して、全58カ国・地域で最悪の評価となった。外国人労働者や外国企業の受け入れ態勢も評価が低く、調査に関係したエコノミストは「このままでは国際企業は活動場所として日本を選ばなくなる」と警告する。 公的債務を一般的に健全とされる国内総生産(GDP)比の60%に圧縮するのに必要な期間を国別に算出したところ、日本は2084年までかかる見通しで最長となった。IMDは放漫財政を改めない国の筆頭に日本を挙げた。(ジュネーブ=藤田剛) (引用終了) ブルームバーグニュースの原文を見てみましょう。 Japan will struggle under a 'debt curse' for the next seven decades として、日本は、あと70年間【借金の呪い】に苦しめられる、とあります。 EU基準(これが本当に守られていたのかどうかが問題になっているのですが)でもある、国家債務の認容レベルであるGDP比60%を基準におくと、その水準まで健全化するのには(成長率は2000-2009平均、GDPの1%を債務返済に充てるとして) ギリシャ 2031年以降 アイスランド 2032年以降 アメリカ 2033年以降 ベルギー 2035年以降 ポルトガル 2037年以降 イタリア 2060年以降 日本 2084年以降 の見込みだということです。ギリシャ問題が大きく取り上げられていますが、雑魚キャラのような順位であることが分かります。 IMDでは、政府債務の大きさだけではなく、それを返済能力で割った『期間』も重視すべきであるとして、このような研究をしているようです。言うまでもなく、過大な債務が問題となった国は、競争力を落とすこともさることながら、政府の増税・歳出削減などのために国民の生活水準も落ちてしまうという事情があります。それはあたかも、【戦争に敗れた】かのような姿でもあります。 何度も指摘していますが、不況を緩和するために多量のマネーを刷り散らかした後には、敗戦処理が待っているのだと思います。ユーロ圏(イタリアもEU連帯負担でしょう)、アメリカは、いち早く身軽になり、景気回復を謳歌する、そのようなシナリオになっているのでしょう。 (なぜいつも日本がカネを巻き上げられるストーリーになるのでしょうね)
by kanconsulting
| 2010-06-01 09:21
| 経済状況
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