日本経済の行く末 財政健全化目標、景気堅調でも達成できず 連鎖破綻の時代に生きる

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グラフは毎日新聞より

少し前の数字になりますが、今後の日本の財政運営について、2011年度予算編成の概要は次の通りです。

・新規国債発行額
 44.3兆円(2010年度実績)以下に抑制
・国と地方を合わせたプライマリーバランス
 2015年度までに赤字を半減(2010年度を基準)
 2020年度までに黒字化
 2021年度以降 国と地方を合わせた長期債務残高をGDP比で安定的に低下
・国の一般会計から国債の利払い費などを除いた経費(歳出の大枠)
 2011年度から3年間は71兆円(2010年度実績)程度を上限

しかし、次のように指摘されています。

・2020年度までの平均で名目3%、実質2%を上回る成長を実現した場合、国・地方を合わせたプライマリーバランス 
 2015年度 ▲15兆円   2010年度の30.8兆円の赤字からは半減
 2020年度 ▲13.7兆円 黒字化は達成できない

このような財政状況を放置すれば、国債の信認が低下し、急激な金利上昇を招くとも指摘されています。(現在は、逆に「質への逃避バブル」ということで、国債の金利は下がってきていますが)

・「現在の危機的な財政状況を放置すれば、国債の信認低下や金利の急激な上昇を招き、財政がさらに悪化して政策の自由度が制限されるだけでなく、社会保障をはじめとする公共サービスの実施が不可能になるという最悪のシナリオも想定しうる」(中間報告)
・「現在の財政状況を放置すれば、欧州の一部で生じているような市場を通じた国債の信認低下や金利の急激な状況を招き、財政がさらに悪化する」

そのため、相当程度の増収に結び付く税制の抜本的な改革(=増税)が必要と結論付けています。

・「相当程度の増収に結び付くよう、税制全般にわたる税制の抜本的改革を行い、『支え合う社会』の実現に必要な費用を国民の間で広く分かち合う必要がある」
・消費税 現行5%の税率引き上げは不可避
・所得税 現在40%の所得税の最高税率引き上げも念頭に見直し
・法人税 税率引き下げを行う場合、課税ベースの拡大と併せて実施すべき

ですが、「増税で回復する景気は存在しない」という、厳然たる事実を直視する必要がありそうです。(税金の話は、詳しくはエントリーを改めたいと思います)

管首相が「増税と景気回復は両立可能」と考えるその根拠を一言で言うと『上手に財政運営すれば、増税のマイナス分を補ってあまりある乗数効果も可能だ』ということであり、常識と反します。特に消費税増税のようなフラット税を引き上げた場合のマイナス効果は計り知れません。加えて、トリクルダウン効果を期待する根拠が弱いところで、消費税増税分を法人税減税の財源としたならば、景気回復って何?という話になることでしょう。

(このように書くと、「お前のブログでは、財政規律を尊重し、増税もやむなしという論調ではなかったのか?」と思われる方もいるかもしれません。そうではありません。このブログは「国の財政が破産するリスクがあり、その確実性・根拠と回避方法を研究する」という趣旨になっています。)

さて、上で「多少の増税では、政府の借金は減らない」と指摘しましたが、加えて「国は国民の財産を収奪するつもりである」という指摘をしたいと思います。後者の指摘も、私はこのブログで何年も前から繰り返しているところですので、特に目新しさはありませんが、最近になって真実味を増してきたのではないか?と考えています。

政府債務 約1000兆円 中央+地方 注:国民年金負債はカウントせず

民間資産 約1400兆円 注:ローン等考慮せず(負債を差し引いた純資産ではない)
 現預金 約 800兆円
 株式等 約 200兆円 株式+投資信託+国債
 保険等 約 400兆円 保険+年金

そして、国は国民の財産を収奪するなら、

・数字で分かりやすく、抵抗も強い増税
・インフレ・金利アップ(・為替安)による実質減価

のどちらがスムーズに進められるか、分かりそうなものです。つまり、消費税増税の議論は、ダミーの可能性があります。(財務省は本気で消費税を上げたいと思っていると思いますが)

(引用開始)

〔焦点〕目標達成への道筋なき財政運営戦略、試金石の11年度予算編成
2010年 06月 22日 10:57 JST
[東京 22日 ロイター]
菅直人首相が「財政再建の道筋を示す」と宣言し、22日の閣議で決定された「財政運営戦略」は、高い目標とは裏腹に、目指す「頂上」への道筋が不明確で、早くも達成が疑問視されている。具体的な歳出削減策や歳入改革は踏み込み不足で、試金石となる2011年度予算編成において、菅首相が打ち出した新規国債発行額を10年度の44.3兆円以下に抑制するとの課題がクリアできなければ、財政再建はいきなり挫折しかねない厳しい状況に直面している。
(中略)だが、この枠組み設定だけで、目標達成を実現することは「相当に難しい」(政府関係者)という声が、政府部内にも根強くある。財政健全化目標と同時に政府が公表した「経済財政の中長期試算」によると、18日に閣議決定した新成長戦略を実行し「2020年度までの平均で名目3%、実質2%を上回る成長」を実現しても、財政健全化目標は達成できない。国・地方を合わせたプライマリーバランスは15年度に15兆円の赤字となり、10年度の30.8兆円の赤字から半減を達成するものの、20年度は13.7兆円の赤字で目標の黒字化には程遠い。
(中略)民主党幹部は、こうした歳出・歳入の取り組みについて「今後の予算編成作業、税制調査会の議論で明らかにしていく」としているが、11年度予算は、税収の大幅増が見込めない中、消費税率の引き上げも間に合わない現実の下で、相当に苦しい編成作業になりそうだ。10年度に過去最大規模で計上した「霞が関埋蔵金」の活用が難しいうえ、新規国債発行額を44.3兆円以下にすることを努力目標にしているためだ。市場からは「到底、達成は難しい」(邦銀関係者)と早くも大幅な国債増発の見通しが出かねない情勢だ。参院選終了後にスタートする11年度予算編成作業で早速、財政再建に向けた菅政権の「本気度」が試されることになる。

歳出や国債発行に歯止め設定、経済堅調でも健全化目標は達成できず=財政運営戦略
2010年 06月 22日 10:54 JST
[東京 22日 ロイター]
政府は22日の閣議で、中長期的な財政健全化目標と今後3年間の歳出・歳入の取り組みなどを示した「財政運営戦略」を閣議決定した。財政健全化目標には、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の15年度までの赤字半減、20年度までの黒字化を掲げ、21年度以降に公的債務残高の対国内総生産(GDP)比の安定的な低下をめざす。目標達成に向け、11年度から13年度の3年間は国債費などを除いた「基礎的財政収支対象経費」(一般歳出と地方交付税)について10年度当初予算の71兆円程度を上回らないとしたほか、11年度の新規国債発行額を10年度当初の約44兆円以下にするよう「全力をあげる」ことなどを盛り込んだ。ただ、18日に決定した新成長戦略を実行して経済が堅調に推移しても、財政健全化目標は達成できないと試算している。
(中略)財政健全化目標では、収支(フロー)目標として、国・地方を合わせたプライマリーバランスを「2015年度までに対GDP比の赤字を2010年度から半減」させ、「2020年度までに黒字化」すると設定。その上で、残高(ストック)目標を「2021年度以降において、国・地方の公債残高の対GDP比を安定的に低下させる」と明記した。
(中略)歳出面においては、国の一般会計歳出のうち、国債費などを除いた「基礎的財政収支対象経費」を「歳出の大枠」と定め、10年度当初の71兆円程度を「実質的に上回らない」こととした。一方、新たな制度改正で恒久的な財源が確保された場合には、歳入増の範囲内で「歳出の大枠」に加算できるとし、財源が一時的な場合は「国債発行額の抑制」に活用する。
歳入面では「財政健全化目標の達成に向けて、必要な歳入を確保していく」としながら、菅直人首相が言及した消費税増税の取り扱いに対して「税制の抜本的な改革を行うため、早急に具体的内容を決定する」との指摘にとどめた。こうした歳出・歳入の取り組みで、2011年度の新規国債発行額について「10年度予算の水準(約44兆円)を上回らないよう、全力をあげる」と明記した。各年度の予算編成にあたっては「各閣僚別の概算要求枠」を設定。毎年半ばごろをメドに翌年度以降3年間の新たな中期財政フレームに改訂する。
もっとも、政府が併せて公表した試算によると、こうした取り組みを行うとともに、新成長戦略を実行して「2020年度までの平均で名目3%、実質2%を上回る成長」を実現しても財政健全化目標は達成できない。試算では、経済が堅調に推移する「成長戦略シナリオ」の場合、国・地方を合わせたプライマリーバランスは15年度に15兆円の赤字となり、10年度の30.8兆円の赤字から半減を達成するものの、20年度は13.7兆円の赤字と目標である黒字化には大きな開きが生じている。(後略)

(引用終了)
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by kanconsulting | 2010-06-25 08:51 | 経済状況
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