ユーロは消滅するのか(2) 0.5兆ユーロオペの期日 世界同時国債増刷の果て 中銀マネーのジプシー化

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グラフは毎日新聞より

ユーロ安、株安、金利安(債券高)がクライマックスとなっています。

これまでに、「リスクは各国の中央銀行に移転され、いわば壮大な『飛ばし』となっている」と指摘してきましたが、昨年6月末にECB(EUの中央銀行は、約5000億ユーロ足らずという莫大な額の1年物オペ(簡単に言うと資金供給)を実施していました。昨日はその期日到来ということで、それに向けて市場から莫大なマネーが回収されたことにより、ユーロ安と世界株安となったと解釈できます。

何度も述べていますが、中央銀行が供給したマネーは、本来意図した実需(設備投資など)ではなく、仮需(短期株式投資(インデックス先物)、短期現物投資(ゴールドや原油の先物)、債券投資)に向かいます。なかでも、リスク回避という観点では各国の国債にマネーが流れ込みやすくなっています。(中央銀行が供給したマネーが国債消化に向かうとは、皮肉な限りです。)それを回収すれば、マーケットが下げるのは当然です。

このように、世界の中でのマネーフローについて、注視が必要です。

「財政信認が低下しているという割には、金利はしっかり下がっているではないか。国債をいくら増刷しても金利は上がらない。まだまだ国際を増刷しても大丈夫だ。ソブリンリスクなどというのは虚構の存在だ。」

というご意見あるかと思いますが、それに対しては、

「マネーが中銀→銀行→国債購入、と循環(フロー)しているうちだけの花見酒であり、永遠には続かない。ストックがなくなったところから破綻する。」

と指摘します。

何度も書きますが、金融危機の引き金は「過剰流動性の終焉」でした。そしてこれも何度も書きますが、ポスト金融危機のキーワードは「リスクの押し付け合い」と「中央銀行へのリスク移転(中央銀行による節操のないマネー供給)」です。そして「ペーパーマネーの連鎖的減価(マネーが、価値が劣化する資産クラスから逃避し続ける、ジプシーマネーになる)」に至ります。

(引用開始)

米金融・債券市場=株価下落で国債価格が上昇、2年債利回りは過去最低更新
2010年 06月 30日 06:28 JST 記事を印刷する
[ニューヨーク 29日 ロイター]
29日の米金融・債券市場では、国債価格が上昇し、2年債利回りは過去最低を更新した。ユーロ圏の債務問題への懸念から世界的に株価が下落したこと、また米経済が二番底に陥るとの懸念が台頭したことが背景。(中略)
こうした動きのなか、イールドカーブはフラット化している。2年債と10年債の利回り格差は235ベーシスポイント(bp)と、2009年10月以来の水準に縮小した。(中略)
BNPパリバの国債トレーディング部門のマネジング・ディレクター、リック・クリングマン氏は(中略)「欧州中央銀行(ECB)の1年物資金供給オペが近く期日を迎えることに対する不安感もある(中略)」と指摘した。
ECBが昨年6月に実施した1年物オペ(4420億ユーロ)は7月1日に期日を迎える。(中略)
RBS証券の米国債部門を統括するウィリアム・オドンネル氏は、過去3年以上にわたって続いていたイールドカーブのスティープ化のトレンドの変化は28日に現れたと指摘。
期間が長めの国債の利回りは今後さらに低下するとの見通しを示し「フラット化への扉が開かれた今、10年債利回りは少なくとも2.75%まで低下する」と予想した。(後略)

ユーロが下落、対円で8年半ぶり安値=NY市場
2010年 06月 30日 07:21 JST
[ニューヨーク 29日 ロイター]
ニューヨーク外国為替市場ではユーロが下落した。欧州の銀行の資金調達懸念が圧迫材料となり、対スイスフランで最安値をつけたほか、対円で8年半ぶり安値をつけた。弱い経済指標を受け世界経済の回復をめぐる不透明感が高まり、ドルと円が買われた。
欧州の銀行間金利は8カ月ぶり高水準を記録した。欧州中央銀行(ECB)の1年物オペが今週期日をむかえ、市場から0.5兆ユーロ近くの資金が吸収されることから、一部の銀行が資金調達難に直面するとの警戒感がある。
6月の米消費者信頼感指数が大幅に低下したことや、中国の景気先行指数が下方修正されたことに加え、日本の失業率が予想外に悪化したことから、世界経済の先行きに対する不安が高まった。
リスク回避の動きから、豪ドルやニュージーランドドルなどの高金利通貨は売りが優勢となった。
HiFXのシニア為替ストラテジスト、ガレス・シルベスター氏は「株式市場はきょう、大幅に下げた。これがある程度ドル高につながった。カナダドルや豪ドル、ニュージーランドドルのようなリスク通貨は米ドルに対してかなり売り込まれた」と語った。 
(中略)ユーロ/円は1.6%安の107.91円。一時2001年末以来の低水準となる107.33円をつけた。
ロイターのデータによると、ユーロ/スイスフランは1.3167スイスフランと、ユーロ導入以来の安値をつけた。(後略)

長期金利は7年ぶり低水準を連日更新、一時1.08%-世界景気懸念受け
6月30日(ブルームバーグ):
債券相場は続伸し、長期金利は一時1.08%と連日で約7年ぶりの低水準を更新した。前日の米国市場で、世界的な景気鈍化懸念から主要株価指数が急落し、米債相場が上昇した流れを継続して、買いが優勢となっている。
(中略)現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の308回債利回りは、前日比0.5ベーシスポイント(bp)低い1.09%で始まった。その後も水準を徐々に切り下げ、一時は1.5bp低い1.08%と、新発10年債利回りとして2003年8月半ば以来の低水準を更新した。その後は1.085%で推移している。
欧州の信用不安や株安などで安全資産とされる国債に資金が流れ込んでおり、金利先高観は高まっていない。しかし、日本の長期金利は前日からの低下幅が7bp程度にも及んでおり、金利低下への警戒感から買いが鈍くなる可能性がある。ドイツ証の山下氏は、「現物市場も売り材料が乏しい中で金利低下基調が続くが、さらに買い進むには10年債利回りの1%割れを視野に入れる必要がある」と話した。
(中略)一方、米国債相場は上昇。米10年債利回りは約1年ぶりに3%を下回り、7bp低下の2.95%と、09年4月28日以来の低水準となった。

(引用終了)
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by kanconsulting | 2010-07-01 19:26 | 経済状況
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