原発事故による汚染の急拡大 成長の限界が急速に前倒し

先日のエントリーで、

『日本においては、福島第一原発事故による「汚染」の急拡大により、「成長の限界」が急速に前倒しになり、前提条件が大きく変わってきた(生き延びるためのリソースの奪い合いになる)』

と書きました。これはデマや風説ではありません。

「成長の限界」という文脈で「汚染」と言いますと、その汚染を除去するのにもリソース(エネルギー、金属や石油などの有形資源、工数)が必要ですし、放置すると農業生産が停滞したり/直接間接に人類の健康を損なうことで、どちらにしてもリソースを損なううえに、成長の限界を前倒しする厄介な存在であるというニュアンスがあります。

特に、食物連鎖を通じて体内に取り込まれる汚染物質の恐ろしさは、日本は何度も経験しているはずです(水俣病、その他)。放射能(放射性物質)は、体内の生体組織の内部から直接に遺伝子を破壊するという性質があるため、可能な限り内部被爆を避けるべきであるというのが常識です。

それを担保するために、法律で認められた一般国民の年間被爆量は、1ミリシーベルト/年です(外部被爆+内部被爆)。ちなみに、放射線被爆による白血病発病が労災と認められた最低線量は、5.2ミリシーベルト/年ですから、5倍ほどの安全値を見ていると考えて良いでしょう。

今ここに、「多少は汚染されているかもしれないが、被災地の農産物を買うことで応援しよう」「多少の放射能は日本国民全員で負担しよう」という風潮があります。それに加えて、「検査すると多少の放射能が検出され、忌避されてしまうので、検査自体を拒否しよう」「これくらいなら多分大丈夫だろうし、知らなかったことにして、こっそり出荷してしまおう」という意図があってもおかしくありません。

福島県の小学校で、「今こそ地産地消」「風評被害の解消」「地元産の野菜が安全であることを全国にアピールするため」として、福島県産の野菜が学校給食に提供されていたことも記憶に新しいところです。

放射能が検出されているのは、各種の野菜、牛乳、小型の魚、茶葉、そして新たに肉牛ですが、これも特段に驚くべきことではありません。肉牛はトレサビリティがあるので追跡が容易ですが、「牛乳」のようにブレンドしてしまえるものはどうでしょう?畜肉であっても、ミンチなどに加工してしまえば?

ご存知のように、国は「放射能の除染」には、あまり乗り気ではありません。

そして、おそらく国には「内部被爆は、できるだけ認めない」という方針がある以上、「将来にガン・白血病などが増えたとしても、個々のケースで因果関係を証明することはできず、国は知ったことではないし、当然補償もしない」というストーリーがあるものと思います。

長々と放射能の話を書いたのは、『国(政府)が国民を十分には守らない/守れない』というひとつのケースとして、納得いただけると思ったからです。

上のほうに書いた成長の限界におけるトレードオフから言いますと
・汚染を除去するのにはリソースが必要 ・・・ お金と人手がかかるので、消極的に実施
・農業生産について出荷停止の場合は補償するが、禁止しない ・・・ 規制値以上を出荷しても罰則なし
・やむなく、国民の健康を「薄く・広く」犠牲にする ・・・ 消去法で、この選択肢が残る

今後、食料自給率の低い日本で、エネルギーと食料の輸入がダブルで増えることで、世界の中での日本を巡るマネーフローが、かなり異なった風景となることが予想されます。

(このエントリーは、2011年7月ころに記載していたものですが、長い間、公表をためらっていました。しかし、いつまでたっても良心的な解決策が見られず、逆に「食べて応援」「ガレキ拡散」などの、悪魔的といっても良い方針のみが実施されているところ、もはや救いようがないとして、公表に踏み切るものです。)
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by kanconsulting | 2011-07-13 02:28 | 経済状況
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