経済状況の発展段階説(1) ヘゲモニーサイクル 永遠に成長できる国はない 国際分散投資が必要な理由

国の経済、またその国の国際的な経済上の地位を考えた場合に、長期的な波動があることは皆様ご存知と思います。たとえば

・国の経済では、コンドラチェフサイクルなどの景気循環サイクル
・国際的には、経済的な覇権国家が移り変わっていくこと(ヘゲモニーサイクル)

など、いろいろあると思います。今日は、国家破綻の話ではなく、経済状況の発展段階説に関連して、どのような投資を行うことが好ましいか述べます。

【引用開始】
日本の経常収支及び貿易収支は1960年代以降黒字基調となり、1980年代以降はGDP比2%から4%程度という比較的高い水準を保っている。他国に目を移すと、・・・かつて世界最大の債権国であった米国は1980年代以降経常収支が赤字化し、今や世界最大の債務国となっている。また、19世紀から20世紀初頭にかけ、GNP比5%以上という経常収支黒字を経験したイギリスでも、その後の経常収支は黒字と赤字を繰り返しながら大きく変動している。
こうした一国の経済発展と国際収支構造の変化を関連づける考え方として、国際収支の発展段階説がある。国際収支の発展段階説とは、一国のISバランスが経済発展に対応して変化することに着目し、資産の蓄積過程を組み合わせて長期的視点により国際収支構造の変化を説明する理論である。
Crowtherは各国の国際収支構造を分類する方法として債権国(所得収支がプラス)か債務国(所得収支がマイナス)か、という基準と、資本輸入国(資本収支がプラス)か資本輸出国(資本収支がマイナス)か、という2つの基準を主に用い、国際収支の発展段階を6段階に分けた。ただし、Crowther自身もある程度循環的にとらえており、第6段階に至れば一国の経済発展が終焉を迎えるわけではない。
【引用終了:通商白書2002 第2章より。下の図もここから引用】

これを簡単に言うと、
・国を若年期→壮年期→老齢期と推移していくと考えるとわかりやすいです。
・若年期は他国より借金をして事業を開始・拡大し、壮年期は事業収益で借金を返済し、老齢期は他国へ資金を貸してその投資収益で暮らしていくのです。

これを視覚的にあらわしたのが、下の図です。

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さらに、日本の統計数字(2003年)を当てはめると、
経常収支       +15.8兆円
貿易サービス収支  +8.5兆円(12.2-3.9)
所得収支       +8.3兆円
対外純資産残高   +172.8兆円(世界1位)
資本収支       +8.1兆円(30年ぶり黒字)
となり、段階としては(4)未成熟債権国、に相当します。ここでは資本収支が30年ぶりに黒字になっていますが、これは外国資本の流入・日本株買い上げによるものとされています。

通商白書では、例として
(4)未成熟債権国は、日本、オランダ、フランスなど
(5)成熟債権国は、スイス
(6)債券取り崩し国→(1)未成熟債務国は、イギリス、アメリカ
となっています。

イギリスは産業革命による工業国で、ポンドは非常に強い通貨だったのですが、徐々に衰退し、覇権はアメリカに移っていきました。その過程で、国際的な投資を行うことで、国力の衰退をソフトランディングさせることが可能だったと見ています。

永遠に単調な成長を続けることのできる国はありません。日本とて、例外ではないのです。日本国が、壮年期から老齢期に移行する国であるならば、自国経済の弱体化や自国通貨の下落は避けられません。

そこで国際分散投資をすることで、自国の金融資産の目減りを防ぎ、衰退をマイルドにすることが可能と考えます。株式市場は、その国の成長率と相関があることは基本的には間違っていないと思います。また為替は、長期的にはファンダメンタルズ、所得収支・資本収支で決まると考えて良いと思います。

すべての通貨に対して円高が永遠に続くと思うほうが無理がありませんか?
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by kanconsulting | 2005-01-11 00:31 | 経済状況
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