租税法律主義

先日掲載しましたが、「ストックオプション裁判 最高裁判決」について追記します。

この事件の問題点は、
・行政庁が、いったん公式に合法と認めていた解釈を、昔にさかのぼって否認したこと
・最高裁が、それを認めてしまったこと
です。

この判決の問題点に関しては、「鳥飼総合法律事務所」さんの解説が詳しいです。
(http://torikai.way-nifty.com/sokuhou/2005/01/post_1.html)
(引用開始)
・・・当時の課税庁の見解を反映した税務署の指導に従って「一時所得」として申告および納税をした納税者に対して、平成11年中ごろから突如として、課税庁が「給与所得」に見解変更をして、平成8年分まで遡って、「給与所得」として更正処分をしてきた(ペナルティである延滞税・加算税まで課してきた)という事実がこの訴訟の本質にあるのです。
この点について、・・・「・・・信義則に違反する」という主張をしてきました。・・・納税者が課税庁の見解(指導)を信頼して行動したにもかかわらず、その信頼に反する処分がなされ予測可能性が害されたことです。
しかし、最高裁第三小法廷は、全員一致で、信義則違反の主張を「重要ではない」として上告審として受理することすらしませんでした。・・・
・・・結果的に、最高裁は、課税庁の遡及課税を追認したことになります。
(引用終了)

国には、徴税権と通貨発行権がありますが、その上位概念として、立法・行政・司法の三権があります。つまり、新たに法令を制定し、それを執行し、違反を裁判で裁くのです。

財産権の保障は、近代私法の原則です。しかし、それを踏みにじる行為が、たびたび起こります。「租税法律主義」は憲法に定められた原則ですが、その運用方法・実質内容については通達一本で好きなように変えられてしまうのが、現実です。つまり、課税という形式で、行政庁は国民の財産権を好きなように侵害してしまえるのです。

私は、そのような行為については、行政不服審査法(異議申し立て・審査請求)、行政事件訴訟法(抗告訴訟)で対抗できると思っていました。しかし、それを見事に裏切ってくれたのが、今回の「ストックオプション裁判 最高裁判決」だったのです。

このような「通達一本でどんどん法律の運用が変わる国」で、財産を守ることは難しいのではないでしょうか。見方によっては、中国のような社会主義国よりカントリーリスクが高いと思われても仕方ないですね。

http://www.asahi.com/national/update/0118/039.html
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20050118AT1G1802018012005.html
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by kanconsulting | 2005-01-30 00:40 | 資産保全一般
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