「2008年IMF占領」につきまして

「2008年IMF占領 財政史から見た日本破産 森木亮 光文社 1000円」
を紹介します。
内容を簡単に要約しますと

・日本は、60年償還ルール・巨額の借換債のために、「単年度の利払い費+借換債が税収の250%以上」という、返す当ての無い借金まみれ
・日本の国家会計はフローとストックが連動せず(単式簿記)、一般会計と特別会計が連結していないために、資産と負債の総額が不明
・税金にたかる存在(レントシーカー)のために、負債がさらに膨れ上がる
・今後、国債・借換債発行があまりに巨額のため消化できず、国家予算が組めないという事態も予想される
・単なる増税ではプライマリバランス達成は不可能。「国債のデフォルト・国債保有者への100%課税」「ハイパーインフレで債務を洗い流す」という手段が取れないなら、IMF(アメリカ)による破綻処理が待っている
(要約文は小職によるものです)

また、当該書籍で紹介されている「ネバダレポート」は皆様ご存知と思いますが、ご存知で無い方はこのリンクからご覧ください。

さて、この書籍に対する私のコメントは以下の通りです。

・大筋で指摘の通りと思います。財政資料について、事実誤認はないようです。
・財政の約半分を借金で賄うフロー、国債残高のGDP比が世界最大というストック、いずれも異常です。
・現在、ドーマー条件が満たされていない(名目成長率<名目金利)ので、数学的に破綻は避けられません。(といってインフレ誘導を行っても、狙い通りに「名目金利<インフレ率」となる保証はありません。名目金利=期待成長率+期待インフレ率+リスクプレミアム)
・国債残高の対GDP比の破綻限界ラインは明確には存在しませんが、200%~300%の間ではないでしょうか。国債発行残高をこれ以上増やす余地はありません。日本人がこれ以上国公債を買うと言う保証はないのです。
・国家財政の建て直しのためには、緊縮財政です。しかし、それは需要の冷え込みと恐慌を生む可能性もあります。
・この書籍に対する批判として、「円をどんどん刷ればいい」という意見もあるようです。しかし、ヘリコプターマネー・減税はある程度の景気拡大効果はありますが、政府・日銀を連結したバランスシートは悪化し、利払い負担も増加することから、財政を破綻させるのを早めます。しかも、負債GDP比率が非常に高く、短期の負債が多い状態でインフレにするというのは諸刃の剣です。インフレを抑制するためには、金利を物価上昇率以上に上げる必要があるが、そうすると利払い負担による資金繰りのショートが発生し、「国家財政破綻」になります。

長くなりました。一言で言うと「財政破綻はあと数年で来る可能性が高い。しかし、クラッシュが来るのか、じわじわ衰退するのかは分からない」ということになります。
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by kanconsulting | 2005-04-08 01:36 | 経済状況
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