「日本は財政危機ではない/菊池英博」の検証 財政投融資は不良債権、国有資産は換金できない

日本国財政破綻セーフティーネットで紹介されていた、菊池英博(文京学院大学教授)による記事「大増税は天下の愚策!日本は財政危機ではない」を検証します。

簡単に内容をまとめると

・日本政府の粗債務は730兆円(GDP比150%)
・この試算は、一部については債務だけをカウントして対応する資産をカウントしていないので、不適切だ
・政府の金融資産を差し引いた「純債務」は250兆円(GDP比60%)で、財政危機とは言えない
・積極的に政府投資を行い、名目GDPを成長させるべき

(文責小職、元文章は週間ダイヤモンド2005/08/06)
ということになります。

では、「政府の資産」とは何でしょうか?「日本国のバランスシート(平成13年度末)」をご覧になってください。

小職は、以下のように指摘します。
・確かに、負債に見合った資産は存在する。しかし・・・
・政府保有の「金融資産」は、そのほとんどが「(財政投融資の)貸付金」だが、ご存知のように不良債権化が進んでいると推定
・「固定資産」は、減価償却が十分に行われておらず、額面どおりの価値はない上に、売却することが困難と推定
・究極的には、政府の資産は「国民に対する徴税権」であるが、国民に負担を強いることに変わりは無い

このあたりの議論は、以前のエントリー「2008年IMF占領につきまして」にて述べております。

これまでも何回もこのブログで指摘していることですが、国に「借金を返してよ!」と言っても、「お金がないので、固定資産、たとえばダムや道路や連絡橋を売却して弁済します」ということは事実上不可能ですし、「どうしても返して欲しければ、税金を徴収して弁済します」ということになります。

つまり、菊池教授が重要視する「対応する資産」は、遠くから見るとあるように見えますが、詳細に検討すると「やっぱり幻だった」蜃気楼のようなものだということです。

この論文は「財政投融資のどれくらいが不良債権になっているか」「固定資産は本当に換金できるのか」という問題提起としてはいいと思います。これまでも主張していますが、財政投融資と特別会計の見直し、国の会計に複式簿記を採用して正確なバランスシートを作成・公表することが必要ですね。

※「マーケットの馬車馬」さんのブログ記事「「お金であること」を保証するもの(前編)」のバランスシート概念図がわかりやすいので紹介します。
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(説明:引用開始)
日銀は国債を購入し、その信用を元に現金を発行する。民間銀行が貸付を行い、その信用を元に預金を集める(預金証券を発行する)のと大差はない。中央銀行というのは単に貨幣の独占的発行権を認められているだけで、それ自体は一銀行に過ぎない。だから、国債の信用(究極的にはこれは納税者≒現金保有者の信用)で現金に必要な絶大な信用力を補完する必要があるわけだ。ついでに言うと、政府の資産には「将来得られる税金」があり、消費者の負債には「将来支払う税金」があって、それでつながっていると考えることも出来る。
(引用終了)
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by kanconsulting | 2005-08-25 02:42 | 経済状況
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