特別会計についての記事

選挙後になっても、「特別会計」についての報道が数多く行われています。政府与党も、特別会計を見直すと言っています。もともと、「特別会計の徹底的な見直し」は民主党の旗印でしたが、政府与党がそれを取り入れているような感じですね。

本来の民主主義とは、国が国民にデータを開示し、その批判に耐えることです。つまり、国民一人一人が無駄遣いを許さないように監視の目を光らせることが、健全な民主主義には必要なのです。

ですが、記事にも「徹底した歳出削減を実施し、かつ、2%台の名目経済成長率が確保できた場合でも、10年代前半の基礎的財政収支の黒字化には、消費税率を現行より3%引き上げて、8%にすることが必要」とあるように、「歳出削減だけで財政再建を実現するのは困難」なのです。

普通で考えると、徹底した歳出削減はデフレ効果をもたらすので、昨今の素材インフレと相互作用した場合には「不況なのに物が高い」というスタグフレーションを起こす可能性すらあります。消費税の増税は、さらに景気を冷やして逆に税収全体を下げることも予想されます。

小職は、何度も書きますが、

・徹底した歳出削減、特別会計の見直しが必要
・あわせて、国・地方・特殊法人の連結決算、複式簿記による正確な開示が必要
・規制緩和によるGDPアップ・経済活性化、雇用の創出が必要

と主張します。

(引用開始)
特別会計見直し本格化

◆無駄遣いにメス “連結”決算導入

2005年度予算編成に向け、「特別会計」の見直し作業が本格化する。経済財政諮問会議は、それぞれの特別会計を所管する省庁に改革案づくりを課した。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は、民間企業の会計手法を取り入れるよう求めている。こうした見直しで、特別会計の無駄遣いを無くすことができるだろうか。(加藤 弘之)

■特別会計とは

国の予算には、教育費や防衛費など政策経費を扱う一般会計のほかに、厚生保険特別会計や道路整備特別会計など計31の特別会計(特会)がある。

予算は本来、一般会計で一体的に管理することが望ましいが、国が保険など特定の事業を行う場合、事業ごとの収支を明確にするため、財政法で例外的に、一般会計と区分した特会の設置が認められている。

特会は、国民の「受益と負担」との関係を分かりやすくし、弾力的かつ効率的に予算執行するのが本来の趣旨だ。

しかし、実際には、31特会の予算規模はあわせて387兆円、特会同士の重複部分などを除いても207兆円にのぼり、例外のはずの特会が、一般会計の5倍近い規模に膨らんでいる。さらに、特会の収入のうちの47兆円は、一般会計からの繰り入れでまかなわれ、一般会計歳出の6割近くを使っている。

■既得権益の温床

ここまで肥大化したにもかかわらず、特会の資金はこれまであまり監視されてこなかった。

特会の資金は一般会計からの繰り入れや独自財源、民間からの借り入れなどが入り組んで出入りが分かりにくく、国会などでも追及しにくかった。社会保険料やガソリン税など特定の財源を持つ特会では、財務省も支出だけを減らせとは言いにくい。この結果、各特会を所管する官庁が自分の財布のように自由に予算を使い、特会は各省庁や族議員の既得権益の温床になってしまった。

厚生保険特会や国民年金特会では、巨額の予算が不採算の保養施設「グリーンピア」の建設や、特殊法人や関係団体に天下った厚生労働省OBの高額の報酬などに使われていることが判明した。「母屋(一般会計)でおかゆを食っているのに、離れ(特会)で子どもがすき焼きを食っている」(塩川前財務相)ひどい例は、他の特会にも数多い。

今年度予算編成では、財務省が特会の事業の見直しを進め、5000億円以上の実質削減につなげた。

■2年目の改革

財務省は見直し2年目となる2005年度予算編成でも、予算執行調査などで無駄遣いの洗い出しをさらに進める方針だ。

一方、経済財政諮問会議は、関係省庁が成果目標と中期的な歳出抑制目標、達成時期を盛り込んだ改革案を年内に策定するよう求めた。特に、各種の保険事業については、廃止を含めた検討を求めている。改革案と毎年の実施状況も報告させることにした。

各省庁には、もう1つ宿題が課せられた。財政制度等審議会は17日、省庁別に財務書類をつくるための作成基準を発表し、9月をめどに、一般会計と特別会計を合わせた2002年度分の財務諸表をつくり、来年春には、さらに特殊法人も加えた2003年度分を公表するよう求めた。


閉鎖されたグリーンピア指宿(鹿児島県指宿市)。特別会計で行われたグリーンピア建設では多くの無駄遣いが指摘された

◆「特会とばし」「隠れ借金」…あぶり出す

■国民の監視

企業の決算では、グループ全体の業績を示す連結決算が主流となっている。連結決算ならば、グループ内の一部の企業に損失を隠すなどして、業績をごまかすことができないからだ。

国もこの手法を導入し、省庁ごとに一般会計と特会をあわせて複雑な資金の流れを整理し、資産と負債の状況などをはっきりさせることにした。一般会計では予算をつけにくい案件を特会に回して、財政融資資金で手当てする「特会とばし」「財政融資とばし」や、民間からの借り入れによって不足を手当てする「隠れ借金」などをあぶり出す狙いがある。2005年度決算の連結財務諸表ができるのはまだ先だが、ずさんな実態が明らかになれば、予算編成作業にも反映できる。

新手法は、財務省だけが予算削減を求めるのではなく、情報を透明化して、各省庁に自己改革を促す手法をとっている。財務省は「情報が明らかになれば、中途半端な改革案は世論の集中砲火をあびる」(財務省幹部)と、国民が無駄遣いを許さないよう監視の目を光らせることで、新手法が改革の突破口となることを期待している。

(引用終了)2004年6月22日 読売新聞

(引用開始)
(4)財政再建

特別会計 見直し急務

「すべての特別会計を再点検してほしい」――。

東京・霞が関の財務省で、14日開かれた財政制度等審議会の特別会計小委員会(委員長=富田俊基・中大教授)。出席した有識者委員たちは、会議の冒頭、こう強調する財務省幹部の意識の変化を敏感に感じ取った。「財務省も改革にようやく本気になってきた」

道路や空港の整備、公的年金・保険など特定の事業を、事業収入や国民の税金、保険料などで賄う特別会計。衆院選で自民党圧勝をもたらした有権者の「改革を加速せよ」という声が、ほとんど手つかず状態だった特別会計の抜本的な見直しへ、ついに動かした。

先進国でも最悪の状態となっている日本の財政再建には、歳出・歳入の一体改革が不可欠だ。小泉政権が、財政健全化に向け、新たな借金に頼らず財政の政策的な経費を賄っていく「国と地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2010年代初頭に黒字化」するには、一般会計の歳出削減だけでなく、特別会計の改革は避けて通れない。

国の特別会計は現在、国債整理基金特別会計など31あり、9省が所管している。2005年度予算の歳出総額は411・9兆円に上り、特別会計間の取引などを除いた歳出の純計額だけでも205・2兆円と、一般会計82・2兆円の2・5倍にも膨れている。このうち、一般会計から47・7兆円が繰り入れられている。

従来無駄遣いや不透明さが指摘されていたが、特別会計が独自財源を持つものもあるため、所管官庁の発言力が強く「聖域化」されがちだった。

財務省は今後、小委員会で週1回のペースで特別会計の見直し議論を進め、11月中旬に最終報告をまとめ、06年度予算編成に反映させる。最終報告は政府の経済財政諮問会議(議長・小泉首相)にも上げられ、政府は特別会計の予算の見直しや廃止、独立行政法人化などを盛り込んだ整理統合計画を策定する方針だ。

財政の健全度を示す基礎的財政収支だが、財務省が公表している05年度の国の一般会計の場合、15・9兆円の赤字を見込む。だが、内閣府の試算では、地方も合わせた基礎的財政収支は20・5兆円の赤字と、さらに深刻となっている。

このうち、地方は2・5兆円の黒字だが、国全体の赤字は23兆円に上り、一般会計と比べて赤字が約7兆円増えるという。内閣府によると、その大半が特別会計で占め、約2・5兆円程度は地方財源を補うために一般会計から繰り入れを受けている「交付税及び譲与税配付金特別会計」だ。

財政再建に向けて、小泉首相は、圧倒的な世論の支持をバックに「(関係省庁などが)悲鳴を上げるまで歳出削減を徹底する」と周囲に話しているという。首相が目指す「小さな政府」の実現には、一般会計と特別会計の両面から官邸主導で徹底的に無駄をあぶり出す必要がある。

とはいえ、歳出削減だけで財政再建を実現するのは困難だ。三菱総合研究所によると、徹底した歳出削減を実施し、2%台の名目経済成長率が確保できた場合でも、10年代前半の基礎的財政収支の黒字化には、消費税率を現行より3%(7・5兆円分)引き上げて、8%にすることが必要だ。

歳出削減の徹底は、小泉政権が「信頼される政府」になるための試金石だ。(湯本浩司)

(引用終了)2005年9月16日 読売新聞
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by kanconsulting | 2005-10-04 00:21 | 経済状況
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