「郵貯・簡保の自然縮小と国家財政基盤の崩壊」について

「河宮・青木:郵貯・簡保の自然縮小と国家財政基盤の崩壊」を読みました。

・河宮信郎:中京大学経済学部教授
・青木秀和:民間の「財政問題研究者」のようです

長い論文ですので、小職が簡単にまとめてみました。

・郵貯・簡保の本質は、民間の資金を政府機関が吸い上げることにある。
・郵貯・簡保に集まった資金を財政投融資に投入してきたが、そもそも採算性がないために、巨大な不良債権を生み出している。
・郵貯・簡保にとっての最大の債務者は政府であるが、債務があまりに巨大であるので、まともに返済することも、切り捨てることも、金融危機につながる。
・同じ理由で、郵政公社は、十分な自己資本を有する金融機関になることは不可能。
・同じ理由で、郵政の保有する国債に自由な処分を認めると、金融危機につながる。
・預託金も、財務省によって実質的に食いつぶされつつある。預託金の残高が底をつくのは2008年3月である。
・郵貯・簡保は純減時代に入り、財政を下支えする能力を急速に失っている。
・まとめると、郵政民営化は、政府の資金欠乏と、国債の消化困難を引き起こし、財政破綻の危機を高める。
(文責:kanconsulting)

この論文は、小職のこれまでの主張と合致しています。
・郵貯・簡保の投資先である財投については、不良債権化が進んでおり、全額回収は事実上不可能と書いてきました。
・論文で指摘のあった「現金と債券(国債)のキャッチボールによる花見酒」は、小職が去年に「合法的な粉飾決算と同じ」だと指摘しているのと同じことです。
・「財投債の内容がそれなりの割合で不良債権となっており、郵貯の資本は危うい状態となっている可能性が高い」と指摘しました。
・「一度膿を出し切る(=郵政の不良債権を分離・処理する)のも悪くはないが、その体力(資金余力)があるのか?」と指摘しました。

「貞子ちゃんの連れ連れ日記」によりますと、
 『政府保証債』は 政府が保証している財投機関債で
 『財投機関債』は 政府保証は受けていません。
 『財投債』は 呼び方だけを変えた国債そのものと考えてよいと思います。
とのことです。

(過去の記事)
「郵政民営化の功罪と、国公債」
「最後の砦 郵便貯金」

この論文では、さらに論を進めて、「郵政の不良債権を分離・処理する主体は存在し得ない」と結論付けています。

この問題は、小職が予想していたよりも根深く、平和的解決が困難であるとの判断に至りました。現時点で考えうる解決方法は以下のとおりです。

・海外からの資金により、郵政の不良債権を分離・処理する。よく言えば外資による救済、悪く言えば金融占領です。
・債務超過による破綻処理・新旧勘定分離を宣言し、政府保証を外した上で、郵貯・簡保の債権者(預金者)に負担を求める。
・インフレによって政府債務を洗い流し、実質的に預金者に負担を求める。

もちろん、景気の好転による税収増加、資産インフレなどの要因による「郵貯・簡保の破綻回避」も、可能性として全くありえないわけではありません。
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by kanconsulting | 2005-10-16 01:12 | 経済状況
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