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購買力平価と為替レートの関係~キャリートレードのブームとバースト

このブログで何度も指摘していますように、「為替レートは、実需と仮需の両方に影響を受けます」。そして、仮需の例として、金利差に着目したキャリートレードがあります。さらに、「金利とインフレ率は関係が深い」ことも、何度も指摘していることです。つまり、為替レートは、両国の金利とインフレ率にも影響を受けるのです。

金利とインフレ率の関係については、過去の記事も参照してください。
「インフレ率と実質金利」

(※キャリートレードとは:低金利の通貨を借りて(売って)、高金利の通貨に投資することです。たとえば、FX(外国為替保証金取引)で、スワップ金利目的で、AUD/JPYのロングポジション(=日本円を売って、豪ドルを買う)を建てることも一種のキャリートレードと言えるでしょう。)

FXについては、過去の記事も参照してください。
「外貨預金、外貨MMF、為替保証金取引」
「FXで金利10%はどう実現するか?」

キャリートレードについては、過去の記事も参照してください。
「日米の金利差と、為替レートの関係」
「ヘッジファンドへの投資(5)」
「スイスフランについて」
「総円高と金利裁定取引」

キャリートレードの関係にある通貨は、高金利通貨への資金流入でじわじわとブーム(高金利通貨高)を形成し、一定のターニングポイントを迎えるとそして一気にバースト(高金利通貨急落)することが特徴でもあります。そして、長期的に見ると、為替レートは購買力平価の上下を行き来しているだけという見方も可能です。これは、キャリートレードを大掛かりに行っている機関投資家(ヘッジファンドなど)が、「もうそろそろ」と利益確定の為に反対売買(買っていた高金利通貨を売り、借りていた低金利通貨を返す)をすることがきかっけで、一気に低金利通貨高に逆転するためです。

ブームとバーストについては、過去の記事も参照してください。
「では、どのファンドがいいのか(2) ポートフォリオ」
「では、どのファンドがいいのか(4) 収益環境指数」

これまでも一貫して「アメリカドルのFFレート>日本の公定歩合」でした。アメリカドルは日本円よりインフレに負けやすい通貨ですので、基本的にはドル円で見た購買力平価は下がって(円高になって)いきます。グラフで見てみますと、以下のような関係になります。

購買力平価と為替レートの関係~キャリートレードのブームとバースト_a0037933_20272093.gif


(購買力平価は78年を基点とし、米は生産者物価コア最終財(US PPI - FINISHED GOODS LESS FOODS & ENERGY)、日本は企業物価指数(需要段階別・用途別指数/国内需要財)に基づいた。)
引用元:http://www.geocities.jp/infobunch/twfx2.htm

上で書きましたように、特に1995年以降で、
・ドルへの資金流入でじわじわとドル高(円安)を形成し
・そのうち一気にドル安(円高)になる
傾向があることがわかります。

さて、今年は、アメリカドルの金利が上げ調子になってきた一年でもありました。それを受けてか、ドル円の為替レートも101円から116円まで約15円も円安になっています。

当面は、ドル高円安の動きは継続すると考えています。ですが、「急に円高になってしまう」潜在的リスクも否定し切れませんので、FXでUSD/JPYロングをされている方は、シートベルトのつもりで「逆指値」を入れておくことをお忘れなきようにお願いします。

(余談1)
下の図のように、インフレ率に何を使うか(GDPデフレータ、卸売物価、消費者物価)によって、結果は変わってきます。
購買力平価と為替レートの関係~キャリートレードのブームとバースト_a0037933_2135248.gif

引用元:http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je00/image/wp-je00fu-1-1-7(11)fz.gif

(余談2)
「ホントは教えたくない資産運用のカラクリ(2)/安間伸」にも、同じような説明が掲載されています。この本は、いろいろと興味ある記事が掲載されていますので、一度ご覧になってください。

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海外銀行を使うテクニックは「国家破綻に勝つ資産保全 オフショア編」
海外ヘッジファンドへの投資は「国家破綻に勝つ資産保全 ヘッジファンド編」
海外証券会社を使った投資は「国家破綻に勝つ資産保全 ETF編」
外国為替取引(FX)を使った投資は「国家破綻に勝つ資産保全 FX編」
を参照ください。
by kanconsulting | 2005-10-28 21:28 | 経済状況
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