以前、「円資産のリスク回避を検討してください」の記事で、以下のように指摘しました。
(引用開始) 外国市場は、「改革が進む=規制緩和が進んで投資がやりやすくなるとともに、郵貯マネーがリスク市場に流れ込む」と解釈しています。ですので、基本的には「ここ2~3年くらいは、日本株は買い。郵貯マネーを巻き込み、最後は売り逃げる。」と思っているのではないでしょうか。 小職は、「財政破綻する可能性がある国の株式でトレードするのは、タイタニックの上でポーカーゲームに興じているようなもの。そういった遊びは、逃げる船を持っている人だけに許される」と指摘します。 私たち一般市民は、・・・海外投資をスタートさせるのが得策ではないでしょうか。・・・海外株式投資は基本的に日本株式よりも期待リターンが大きいですし、グローバル経済の勉強にもなります。 (引用終了) 対ドルのみならず、他通貨に対しても円安傾向が続いています。小職の見解では、ドル/円は年内にも120円台がありうると見ています。 そして、国際的な株式市場では、ドル建てでの投資が主流です。ユーロなどの通貨で投資をしようと思うと、基本的にはヨーロッパの現地証券会社を使うことになります。 (※ETF編で紹介している証券会社は、香港にあるにもかかわらずマルチカレンシーで、米国、台湾、韓国、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、オーストラリア、日本の株式市場に投資可能。) ですが、アメリカドルは、「戦時債券であるアメリカ国債の信用によって発行されている通貨」です。歴史を振り返ってみると、戦時債券は不良債権でした。アメリカ帝国は日本を属国として支配していますので、日本より先にコケルということはないとは思いますが、ドルのインフレに対するヘッジも考える必要があります。(ということは、日本円を多量に持ちながら、少量しかないドルの値下がりを心配するのは、合理性が無いということです。) とはいえ、ユーロもまだまだ安泰とは言えませんし、オーストラリアドル・カナダドル・イギリスポンド・スイスフランなどのマイナー通貨はあくまで補助的に考えるべきでしょうから、 「日本円以外に通貨分散する。株式投資はドル建てを主力とするが、ドルに対してヘッジをかけるために、ユーロ・マイナー通貨・貴金属への分散も考える。」 のが、合理的な選択ではないでしょうか。 いずれにしましても、「黄金の相場学/若林栄四」の内容は、ピンポイントではありませんが、大筋では当たっていると考えています。「黄金の相場学」は、今後の円・ドル・アメリカ経済・ユーロの見通しについて、きわめて深い示唆を与えています。参考になると思いますので、ぜひ一読をお勧めします。 ちなみに、2006年のドル円相場は「1ドル=161円」という予想が書かれています。 その若林栄四の見解では、「相場を動かすエネルギーの中で、最も破壊力があるのが、『損切りの力』だ」ということです。読者の皆様は、「海外からの投資が、日本での投資対象を利食いし(見捨てて)、その資金の引き上げに引き続く『暴落』」に巻き込まれないようにご注意ください。 そのような事態には、日本人の11%以上が気づいて、「リスク資産である日本円の損切り=キャピタルフライト」を行うことが考えられます。そのような「損切り」においては、相場にどのような影響があるのか、想像できません。 ※11%というのは、そのラインを超えると物事の流れが変わってしまうというとされている数字です。出典は「ランチェスターの法則」と言われています。 --- 最近は国家財政問題について書いていません。ですので、「国家破綻はどうなのだ。国家破綻について書いていないが、もう心配ないのか。」と思われるかもしれません。それに対する小職の答えは、 「今の時点で、財政破綻が回避できるとする証拠は無い。であれば、その確率を議論する前に、そのリスクをしっかりと認識し、有効な対策を立案・実行すべき。」 です。 若林栄四は、「日本株を保有して良いのは2006年まで。その後は、金利上昇による「日本版ブラックマンデー」があっても、おかしくない」と指摘しています。(まだお読みで無い方は、まずご一読をお勧めします。似た題名の破綻本とはレベルが違います。) (「円資産のリスク回避を検討してください」より、引用開始) 私たち一般市民は、「国家の興隆と没落」という大きな流れに逆らうことはできないと考えています。ですが、生き延びればこそ明日もあるのだと思っています。 そのために必要なのは ・地域による自助努力ネットワーク ・自給による食料確保 ・自警による安全確保 ・備蓄や自家発電によるエネルギーの確保 ・信頼できる人物からの情報の確保 ・復興後に必要となる資産を保全すること です。 (引用終了)
by kanconsulting
| 2005-11-04 10:07
| 経済状況
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