IPO(新規公開株式)の注意点

IPO(Initial Public Offering)とは、いわゆる「株式公開・新規公開株式」のことです。株式公開の方法は証券取引所市場への上場とJASDAQ市場への登録があります。株式公開時においては、通常、新株を発行して株式市場から新たな資金調達を行う「募集」や、既存株主が保有株式を売却する「売出し」が行われます。株式公開により、株式市場・不特定多数の投資家からの資金調達(エクイティ・ファイナンス)が可能となり、知名度の向上や社会的信用の増大といった効果があるとされています。また、業績・決算(B/S・P/Lなど)の情報を開示する義務が生じます。

株式会社は、株式未公開会社と株式公開会社に分かれます。
・未公開会社:株式がオーナー・少数の株主により所有されており、自由な株式譲渡が制限されている状態の会社。
・公開会社:不特定の多くの株主により所有され、株式市場において自由に売買が可能な状態の会社。

昨今の株ブームにおいて、「IPOが儲かる!」と、非常に注目されています。個人投資家が、複数の証券会社に口座を開き、IPOの抽選を多数申し込むことも、ネット上では普通に見られる光景となってきた感があります。

さて、IPOについては、株式で成功した複数の先人から、コメントがあります。

「株式成功の基礎 10億円儲けた人たち/林輝太郎」には、『絶対の禁止事項』として、以下の項目が挙げられています。

(絶対に手がけてはいけない種類の株) P90
・仕手株
・人気株
・テーマ株
・品薄株
新規公開株
・二部上場株、青空株(店頭株) 今で言うマザーズ、ヘラクレス、ジャスダックか

ではなぜ、新規公開株が「絶対の禁止事項」なのでしょうか。

理由はカンタンです。「買うほうは、期待がパンパンに詰まったプレミアム価格で買う。すると、売るほうは、会社が将来利益を上げなくても、プレミアムで高くなったPER分の将来利益を手にすることができる。そして、公開幹事の証券会社は、高額の手数料を手にすることが出来る。」からです。

もう少し詳しく見てみましょう。

①「買うほうは、期待がパンパンに詰まったプレミアム価格で買う」

これは、皆様ご存知のとおりです。将来の成長期待は、利益による裏づけがありません。実態がなくプレミアムだけで形成された株価は、崩壊する可能性が高いのです。

「シーゲル博士の株式長期投資のすすめ/ジェレミー・シーゲル」による解説を載せます。

(引用開始)

1970年から1990年まで、株を公開したすべての会社(およそ5000社)を追跡調査した。公開した日の終値で買い、5年保有すると、平均年率リターンはわずか5%だった。公開(IPO)値の年率リターンでさえ、12%だった。IPO株の成績が悪いのは、成長株のため、とんでもない高い株価収益倍率(PER)で値がつく銘柄があるからだ。
IPO株をIPO値で手に入れたら、・・・じっと持っていると必ず後悔する。

(引用終了)P78

②「売るほうは、会社が将来利益を上げなくても、プレミアムで高くなったPER分の将来利益を手にすることができる」

これは、「株式公開すれば、オーナー・ストックオプション保持者は爆発的に儲かる」ということの裏返しなのです。また、将来有望そうに粉飾した会社が新規公開していることからもわかるように、「合法的な詐欺まがい」のようなIPOがあることも注意しなければいけません。

③「公開幹事の証券会社は、高額の手数料を手にすることが出来る」

これは、意外と知られていないのではないでしょうか。

『企業が株式を新規上場(IPO)すると、株式の発行会社は、資金調達額の6~10%を引受手数料として証券会社に支払っています。この手数料の25%が主幹事証券に支払う主幹事手数料、25%が引受幹事証券に支払う引受責任料、50%が実際に販売した証券会社に支払う販売手数料となっています。』(松井証券HPより)

公開時の調達額が少ないと、証券会社の正味の手数料が少ないので、「株式公開は、今のような株式ブームの時に」というのが定説のようです。

小職は、セミプロの方々のされる「いわゆる、IPOの売り逃げ投機」を否定するつもりはありません。ですが、一般の方々がIPOに手を出されるのは、このようなリスクがあることをご承知の上、くれぐれも自己責任でと申し上げるしかありません。
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by kanconsulting | 2005-12-22 02:47 | 経済状況
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