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量的緩和の解除 ゼロ金利からの脱出?

2001年3月から約5年間にわたって続いてきた「日銀の量的緩和」の解除が近いようです。
量的緩和は、確かに効果がありました。ですが、もともと緊急避難的な金融政策ですので、あまり長期間続けるわけにも行きません。

先日のエントリー「NZドルのリスク」でも指摘しましたが、機関投資家によるジャパンマネーショートのキャリートレード(だぶついた日本円を使った裁定取引)が、めぐりめぐって世界の金融市場の乱高下をもたらしている可能性も指摘されています。(ただし、あくまで「可能性の指摘」ですので、日本の量的緩和が世界マーケットにどの程度影響があるかについては、よくわかりません。)

日銀は量的緩和解除の条件として、以下の3つの条件をあげています。各種報道では、これら条件が、今春には満たされる可能性が強いと指摘されています。
・生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)の前年比が安定的(数カ月間継続)に0%以上になること
・それが再びマイナスにならない見通しがあること、
・経済・物価情勢を考慮して総合的に判断する

今後の見るべきポイントとして、
・日銀当座預金の残高目標
・ゼロ金利は当面維持されるのかどうか
だと思います。

量的緩和については、過去の記事もご覧ください。
「「インフレ+低金利」の破壊力」
「財務省のとある会議室にて」(少し古い記事ですが)

「財政政策・金融政策に続く『第三の政策』」については、過去の記事もご覧ください。
「戦争は最後の不況対策」

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量的緩和のいきさつについて、簡単に説明します。

2001年3月に金融不安が起こり、その危機回避策が求められていました。しかし、ゼロ金利政策だけでは、公定歩合の調整により市場をコントロールすることが事実上不可能です。そこで導入した新たな金融政策が「量的緩和政策」です。

量的緩和とは、簡単に言うと、日銀が、銀行などの民間金融機関から債券や手形を買い入れる金融政策です。民間金融機関は債券・株式・融資などで資金運用しますので、債券・株式市場の活性化、消費・設備投資の増加につながると期待されている政策です。

債券や手形を買い上げた代金は、銀行が日銀に保有する「日銀当座預金」に積み上げるのですが、量的緩和政策ではその残高に目標値を定めています。当初の目標値は5兆円でしたが、2004年1月から30~35兆円となっています。

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「量的緩和はモルヒネだ※」と言われています。それは、
・そもそも、緊急避難的な金融政策
・公定歩合による市場調整といった日銀の本来の機能を犠牲にしている
・量的緩和が続けば、またバブルを誘発するという副作用もありうる
ことを指しています。

※以下のサイトも参照ください。
週間!木村剛「量的緩和の解除 正常化へ動き出す」
為替王「日本経済はモルヒネ経済」
本石町日記「西村委員が就任=量的緩和はモルヒネだ」

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(引用開始【東京 17日 ロイター】)

福井日銀総裁は衆院予算委員会で、「生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)が安定的にゼロ%以上になるまで粘り強く量的緩和政策を続ける」とした上で、「この条件が満たされたら、量的緩和政策の枠組みは修正し、その後も、物価安定の下に持続的な経済成長を確実に実現していくために、できる限り緩和的な金融環境を用意し続けていきたい」と語った。

(引用終了:ロイター

(引用開始[東京 17日 ロイター])

小泉首相は17日、官邸で記者団に対し、量的緩和解除の判断は日銀総裁に任せると述べた。
2005年10―12月期の実質国内総生産(GDP)は、年率5.5%の高成長となった。小泉首相は「予想以上に良いということだが、まだ、デフレ状況を脱却したとは言えない」との認識を示し「この良い状況をいかに持続させて、デフレを脱却するか、これからの課題だ」と指摘した。
「GDPの数字は量的緩和解除の追い風になっていると思うが、来月の解除はまだ早いか」との質問に対しては「それは良く日銀総裁が判断されるだろう」とし「日銀総裁に任せるのか」との重ねての質問に対しては「そうですね」と答えた。
小泉首相は、昨年11月に「(量的緩和解除は)まだ早いのではないか」と述べていた。また、福井日銀総裁が2月9日の会見で量的緩和解除に一段と踏み込んだ発言をしたことを受けて10日には「よく状況を見極めてもらいたい。デフレ状況を脱却したかどうか、そのうえでの判断だ」としていた。

(引用終了:ロイター
by kanconsulting | 2006-02-18 18:15 | 経済状況
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