量的緩和の解除(2) 経済成長率と物価上昇率で考える、インフレの足音

以前のエントリー「量的緩和の解除 ゼロ金利からの脱出?」にて、次のように述べました。

(引用開始)

2001年3月から約5年間にわたって続いてきた「日銀の量的緩和」の解除が近いようです。
量的緩和は、確かに効果がありました。ですが、もともと緊急避難的な金融政策ですので、あまり長期間続けるわけにも行きません。

先日のエントリー「NZドルのリスク」でも指摘しましたが、機関投資家によるジャパンマネーショートのキャリートレード(だぶついた日本円を使った裁定取引)が、めぐりめぐって世界の金融市場の乱高下をもたらしている可能性も指摘されています。

(中略)

「量的緩和はモルヒネだ」と言われています。それは、
・そもそも、緊急避難的な金融政策
・公定歩合による市場調整といった日銀の本来の機能を犠牲にしている
・量的緩和が続けば、またバブルを誘発するという副作用もありうる
ことを指しています。

(引用終了)

では、量的緩和が解除されると、どういった状態になるのでしょうか?

それに答えるためには、デフレ=物価下落、インフレ=物価上昇、とだけ捉えていたのでは、少し見落としがあるように思います。ここでは、「経済成長率」と「物価上昇率」を分けて考えることにしましょう。

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多少無理矢理ですが、「経済成長率」と「物価上昇率」、それぞれの(+)と(-)で、4つの象限に分けました。

※ここで使っているリフレなどの用語は、便宜上ゾーン分けのために使っており、必ずしも経済学の定義に沿っているわけではありませんのでご注意ください。

さて、日本経済は、「デフレ」ゾーンにいました。マネーサプライを上げることで、物価上昇率がじわじわですが(+)のゾーンに移行してきたようです。つまり、「リフレ」ゾーンか、「インフレ」ゾーンになるのです。ここで、
貨幣:供給>需要
資源:需要>供給
となれば、「インフレ」ゾーン、そうでなければ、「リフレ」ゾーンになると考えます。

「経済成長率」と「物価上昇率」がともに(+)ですと、国家債務は実質的に減少していきます。むろん、債権保有者や年金生活者は、その分、割を食うことになります。国家としては、出来ることなら、低金利を続けて、借り換えを続けながら、債務を目減らししたいと考えるのは自然なことでしょう。

ところが、政策低金利は貨幣バランスにおいて「供給>需要」となり、過度のインフレを引き起こしかねません。スタグフレーションとなるため、もちろん、好ましくありません(下図)。ですので、金融引き締めを行って、「ディスインフレ」ゾーンに移行させる必要があるのです。

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量的緩和を解除して、現在のゼロ金利を平和裏に継続するのは難しそうです。
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by kanconsulting | 2006-03-08 23:52 | 経済状況
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