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「金融商品取引法」、いわゆる「投資サービス法」

ご存知の方もおられると思いますが、「金融商品取引法」、いわゆる「投資サービス法」が成立の見込みです。

内容は、以下のとおりです。

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≪金融商品取引法案の要旨≫

 【業者規制】
・原則登録制とし、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、金融商品仲介業に分類。
・投資事業組合を含む投資ファンドも登録・届け出を義務付け。

 【罰則】
・粉飾決算など違反行為の最高罰則を十年以下の懲役または一千万円以下の罰金に引き上げ。
・相場操縦行為の「見せ玉」も課徴金の対象に追加

 【企業情報開示】
・株式大量保有報告制度の特例を大幅縮小。
・買い付け期間の延長など、TOB(株式公開買い付け)制度の見直し。
・有価証券報告書の適正性について経営者の確認を義務付け。

 【販売・勧誘規制】
・変額保険や外貨預金など投資性の高い預金や保険に販売・勧誘規制を適用。
・投資家を「特定投資家」と「一般投資家」に分類し、特定投資家に対する規制を緩和。

 【その他】
・証券取引所の議決権の20%超取得・保有を原則禁止。
・金融商品販売法を拡充し、被害者が損害賠償請求する際の立証責任を一部免除。

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ポイントは以下のとおりです。
・事業者への検査・監督権限は金融庁
・売り手責任を明確に(リスクを投資家に十分説明)
・株式公開買い付け(TOB)などの制度整備
・投資事業組合も新たな規制対象、法令違反が疑われる場合などには立ち入り検査
・一般投資家への高リスク商品の販売は、原則禁止となる可能性

メリットは、
・包括的に金融商品を扱う法律により、規制の網をかけやすくなる。
・似た金融商品なのに、片方に規制する法律がない・投資家保護のルールが異なるといったことはなくなる。
・業界にとっても、扱う金融商品を増やしても、一度の登録で済むメリットがある。

たとえば、FX(外国為替証拠金取引)は、以前は法規制がありませんでした。その間に、高齢者などへの詐欺による被害が急増したのは、皆様ご存知のとおりだと思います。現在は、「改正金融先物取引法」により、投資家保護のルールが整えられつつありますが、後手後手の印象は否めません。

こういった事態を未然に防ぐことが出来る、という法律です。

ですが、「投資家保護」の美名の下に、「一般投資家」、つまり、機関投資家以外の全ての投資家、もちろん個人投資家も含まれます、への高リスク商品の販売は、国によって規制されるということも意味します。

これまでも、このブログなどで何回も指摘していますが、日本の金融商品は、

・海外の似たような金融商品と比べると、パフォーマンスが悪い
・手数料が高い、使い勝手が悪い
・まだまだ海外投資の垣根が高い
・つまり、魅力的な投資商品が少ない

のです。 

悪質な金融業者を排斥することには、賛成です。ですが、投資とは、そもそもリスクを取ることから始まるのです。

「国民は○○だから、国がきっちり規制して、安心できる金融商品、つまり国債や日本株式をもっと買ってもらおうではないか。国の権限が及ばない海外投資は、少なくとも国がきっちり把握して、できれば「高リスク」として規制すべきだ。」

という意図があると考えるのは、うがった見方でしょうか?

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(追記)

「投資信託のブログ・ファンドの海」さんの記事のコメント(「素人個人投資家の投資観察日記」さん)で、これまで法規制が無かったところで暗躍してきた業者が、今回の法規制で、乗り換えが起こっているとの指摘がありました。
「増えてきそうなのは、海外商品先物オプション取引です。法規制がありません。」
とのことです。

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(引用開始)

金融商品取引法案を閣議決定、投資家保護に向け包括規制

政府は10日、元本割れの恐れがある金融商品を幅広く規制する金融商品取引法案を閣議決定した。今国会に提出する。事業者には商品販売時にリスクの説明を義務づけるほか、企業に四半期開示など情報開示の徹底を求めたのが特徴。同日午前に記者会見した与謝野馨金融担当相は「(包括的な規制で)市場が育ち、投資家も保護される」と法案の意義を強調した。

金取法は、証券取引法を軸に投資顧問業法や金融先物取引法など他の金融関連の法律を統合した法律。通称「投資サービス法」と呼ばれる。

株式や社債といった証券関連商品のほか、金融派生商品(デリバティブ)を使った預金、運用成績次第で保険金額が変動する保険商品なども規制対象にした。ライブドアが悪用して問題となった投資事業組合についても、金融庁に登録や届け出を求めて規制の網をかける。

開示規制もきめ細かくしており、例えば不備が指摘されてきたTOB(株式公開買い付け)規制は大幅に見直す。市場内外の取引を組み合わせた買収手法は、原則としてTOB手続きの対象となる。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060310AT2C1000510032006.html

(引用終了:日本経済新聞)
by kanconsulting | 2006-03-26 12:41 | 経済状況
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