会計監査のはらむリスク(2)

以前のエントリー「会計監査のはらむリスク ~日本市場にひそむ悪」にて、次のように述べました。

(引用開始)

・・・これまで、事実として、公認会計士が多くの上場企業の粉飾決算を見逃してきたと言われています。このような会計上の不正を指摘するのは、本来は監査法人の仕事なのですが、実は、それがほとんど機能していないのが日本の市場なのです。

これは、監査される企業が、監査法人を選び、監査報酬を支払うのというシステムと無縁ではありません。つまり、会計上の不正を指摘しても、監査法人には経済的メリットが無い上に、監査される企業にとって都合の良い監査法人に代えられてしまうこともありうるのです。

記事も指摘していますが、監査法人は顧客の好むような意見を述べる機関に成り下がってしまっており、このような馴れ合いを防ぐ仕組みは事実上無いようです。これでは、『監査される企業と、監査法人は、出来レース』と言っても過言ではありません。コンプライアンス(法令遵守)、正確な会計情報公開という観点からは、全くお粗末なのが、日本の株式市場なのです。

・・・「資本市場の取引は企業の経営内容の正しい開示が前提」なのです。この前提が裏切られている以上、「財務諸表を信じない」「日本株では長期株式投資をしない」というのが、適切な自己防衛です。

どうしても株式投資をしたいと考える場合は、

・自分で、財務諸表の正当性や、粉飾を見抜く分析力を身につけること
・財務諸表の監査が日本より厳しい、アメリカやヨーロッパ上場の株式に投資すること
・個別株のリスクが事実上存在しない、ETF投資をすること

が必要なのだと考えます。

(引用終了)

そのカネボウの中央青山監査法人に、業務停止命令が出ました。監査先企業2300社が対象となるようです。

(引用開始)

金融庁は10日、中央青山監査法人に対し、上場企業など「法定監査」先約2300社(1月時点)の監査業務を、7月1日から2カ月間やめさせる一部業務停止命令を出した。4大監査法人に対し業務停止命令を出すのは初めてで、異例の厳しい内容となった。

金融庁が行政処分を下すことにしたのは、監査先企業だったカネボウが1999年3月期―2003年3月期の決算書類を粉飾した際、所属の公認会計士がその作業に加担したため。中央青山の内部管理体制などを調査した結果、審査や教育など会計士を監督する体制などに不備があったとしている。金融庁は10日、こうした状況の是正や責任の明確化を、6月10日までに報告するよう命じた。

法定監査は証券取引法で義務づけられている有価証券報告書の監査と、会社法に基づき企業が株主総会に提出する財務諸表などを監査する業務がある。中央青山の法定監査先は今年1月時点で約2300社。上場企業や資本金5億円以上か負債200億円以上の企業、保険会社、信用金庫、労働金庫などが含まれる。 (20:44)

(引用終了 NIKKEINET

四大監査法人は、以下の4つです。4大監査法人の監査シェアは約82%(共同監査を含めた場合)と、寡占状態です。
あずさ監査法人 (KPMG系)
監査法人トーマツ (デロイト トウシュ トーマツ系)
新日本監査法人 (アーンスト&ヤング系)
中央青山監査法人 (プライスウォーターハウスクーパース系)

さて、中央青山監査法人は、話題となった以下のようなケースを担当していたようです。

・カネボウ(今回の処分の原因)
・足利銀行
・山一證券
・ヤオハン

自浄機能がないのではないか?と思わせる経歴ですね。

『会計上の不正を指摘するのは、本来は監査法人の仕事なのですが、実は、それがほとんど機能していないのが日本の市場なのです』を卒業してもらういい機会と考えたいところです。
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by kanconsulting | 2006-05-11 22:27 | 経済状況
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