自治体の財政悪化指標 「夕張ショック」の後に

総務省は、非公式に、2002~2004年度の平均値となる「財政悪化指標」を公表しました。この数字が18%以上だと、財政状況が悪いとみなされ、地方債の起債には国の許可が必要となります※。

以下に示すグラフは、「都道府県」「政令市」の財政悪化指標です。

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実質公債費比率(3ヶ年の平均)とは、以下の式で導かれる値です。

 借金の元利返済額
----------
 地方税収・交付税

   (A+B)-(C+D)
= ---------
      (E-D)

A:地方債の元利償還金(繰上償還等を除く)
B:地方債の元利償還金に準ずるもの(「準元利償還金」)
C:元利償還金又は準元利償還金に充てられる特定財源
D:基準財政需要額(元利償還又は準元利償還に係る基準財政需要額)
E:標準的な規模の収入の額(「標準財政規模」)

「非公式に」という理由は、
・この秋に2003~2005年度の数値を発表するため
・今回の数字が悪く自治体経営・地方債市場に誤解を生むのを避けるため
とされていますが、意味が良くわかりません。正しい現状の数字を国民にタイムリーに開示することが、国の責務なのではないでしょうか。

さて、大阪府ホームページでは、以下のような記述が見られます。

(引用開始)

「元利償還が確実な大阪府債。繰上償還も行いません。」

・地方自治体は、憲法に存在の根拠を有する普遍の存在です。
・地方税法により徴税権を認められています。
・そもそも自治体自身が倒産することはありません。
・また、地方債は、地方税及び地方交付税を担保とした債務であり、その信用力は、国債、政府保証債と同様、BISの信用リスクウエイトはゼロとされています(これは、平成18年末適用開始予定の新BISでも変わらない見込みです)。

(引用終了)

また、総務省ホームページでは、以下の記述が見られます。

(引用開始)

1.地方債の元利償還に要する財源の確保
○ 自らの課税権に基づいて地方税収入を確保
○ 地方財政計画の歳出に公債費(地方債の元利償還金)を計上
○ 公債費を含めた歳出総額と歳入総額が均衡するよう地方交付税の総額を確保
○ 地方交付税の算定において、標準的な財政需要額(基準財政需要額)に地方債の元利償還金の一部を算入
→ 地方債の元利償還に必要な財源を国が保障

2.地方債の借入れ時の措置=起債許可制度(平成18年~は起債協議制度)
○ 起債制限比率が高い地方公共団体に対する起債制限
○ 赤字団体への起債制限
→  個々の地方公共団体が地方債の元利償還に支障を来さないよう、地方債の発行を事前に制限

3.実質赤字が一定水準以上となった場合の措置=財政再建制度(財政再建をしない場合には起債制限)
○ 国の管理による財政再建(財政再建計画について、国への協議及び同意が必要。また、毎年度の予算は財政再建計画に基づいて調製することが必要。)
→ 国が予算編成に関与することにより、地方債の元利金を確実に償還

(引用終了)

「そもそも自治体自身が倒産することはありません」とは、倒産処理の法制が無いから倒産できないだけで、倒産しないという本質的理由が明示されていません。「地方自治体が破綻した場合、国が直接保証する」とは書かれておらず、あくまで間接的な表現なのです。

交付金・補助金が減額される中で、本当に「地方債の元利償還に必要な財源を国が保障」することができるのでしょうか?「自らの課税権に基づいて」とありますが、本当に「課税権」だけでまかなったら住民は逃げ出すのではないでしょうか?

また、将来的には、誰が地方債を引き受けるのでしょうか?政府の引き受けが減ると予想した場合に、民間の引き受けが増えるのでしょうか?「政府保証も明確には付いていないし、こんな危ない自治体の債券は、かなりのリスクプレミアムを上乗せしてくれないと買えないなあ。」と思うのではないでしょうか。

平均的な「自治体の財源に占める自主財源収入の割合」は約38%で、残りは依存財源(中央政府から支出されるお金、市町村の場合には都道府県からのお金を含む)です。そもそも、経済成長が期待できない自治体が、身の丈に見合った財政運営をせずに、過度に借金(地方債)に依存してきたということ自体が間違っているのではないでしょうか。

まさに、借金スパイラルなのではないでしょうか。

---

(引用開始)

総務省が自治体の財政健全度の指標として新たに採用する「実質公債費比率」の試算値が4日明らかになった。各自治体の収入に対する借金の負担割合を示したもので、47都道府県で最も高いのは長野県の20.1%。政令指定都市では福岡市の22.8%。
                  
(引用終了 日本経済新聞 7月5日)

※地方債の起債は2006年4月から原則自由になっています。

(引用開始)

地方公共団体の自主性をより高める趣旨から、平成18年度より許可制度が廃止され、協議制度となりました。起債協議制度の概要は以下のとおりです。

・協議:地方公共団体は、地方債を発行する場合には、都道府県・指定都市にあっては総務大臣、市町村・特別区等にあっては都道府県知事に協議をしなければなりません。
・同意のある地方債に対する公的資金の充当:地方公共団体は、同意を得た地方債についてのみ、公的資金を借入れることができます。
・同意のある地方債の元利償還金の地方財政計画への算入:同意を得た地方債についてのみ、その元利償還金が、地方財政計画に算入されます。
・同意のない地方債を発行する場合の議会報告:同意を得ないで地方債を発行する場合には、地方公共団体の長は、あらかじめ議会に報告しなければなりません。

なお、起債協議制度に移行した後も、実質公債費比率が18%以上の地方公共団体については、例外的に国の許可を要することとされています。

(引用終了 大阪府ホームページ)
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by kanconsulting | 2006-07-22 01:29 | 経済状況
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