金利上昇とグローバルソブリン ~グローバルソブリンの注意点(3)

金融商品については、「売る側の論理と、買う側の論理は異なる。それをしっかりと見極める能力=ファイナンシャル・リテラシーが重要だ。」と述べてきました。

特に、これまで何度も述べているように、「何でもいいから分散すればいいと言うものではない
」「特に、今ブームが来ている物への投資は、注意が必要」
なのです。

ちょうど1年前のエントリーにて、次のように述べました。

(引用開始)

「グローバルソブリンの注意点(1)」

ここ何年か、国際投信投資顧問の「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」が、高齢者を中心に人気のようです。このファンドは、通称グローバルソブリン、略してグロソブなどと言われています。人気を集めた理由は、
・信用力の高い国の国債に分散投資している、安定運用の投資信託
・以前のオープン型投資信託には珍しかった、毎月分配
とされています。

以前のエントリーで、「今ブームが来ているグローバルソブリンには要注意」と書きました。今回は、「なぜ要注意なのか、どう注意すればいいのか」について述べます。(中略)

①運用手数料が高い

このファンドの運用手数料は、総資産額に対して年に1.25%と、株式投資信託並の高さです。それだけではなく、販売手数料として、購入時に購入価格の1.5%が必要です。これまでも「1兆円ファンド」の例などで検討してきたように、運用手数料の高いファンドは、それだけで運用成績の低下につながりかねません。

②それ以前の問題として、運用が稚拙

これだけの運用手数料を取っているのだから、さぞ素晴らしい運用をしているに違いないとお思いでしょうか。実際は、債券と言う比較的安全なもので運用しているにもかかわらず、基準価額は、基準の1万円を下回り続けており、利回りはマイナスになっているのが現状です。

③新規の投資資金流入により、これらの問題が基準価額に反映しない

外国債券の利回り(既発債、残存期間10年未満)は、たとえば、
アメリカ国債(ドル) 3.6~4.1%
ドイツ国債(ユーロ) 2.5~4.5%
です。

流動性などを考えると、アメリカ国債を中心にすることになりますので、本来の利回りが4%といったところでしょう。株式に比べると低い期待利回りですが、そこから運用手数料を毎年1.25%取ると、実質利回りは1.75~2.75%といった状況になります。

手数料を抜いた後で利回りが3%を切るようなファンドが、なぜ年5%もの配当を確実に実施できるのでしょうか。また、配当は、原理的に「元本を取り崩して」行うのですが、にもかかわらずなぜ基準価額がそれほど下がらないのでしょうか。(中略)

(引用終了)

さらに、

(引用開始)

「グローバルソブリンの注意点(2)」

以上の注意点を簡単に言うと、「グローバルソブリンは、今はいいかも知れないが、買ってはいけないファンドだ」ということです。(中略)

毎月の分配金が本当に必要なのか、つまり、再投資による複利効果を生かして資産形成するほうが本来の目的を達成できるのではないか、ということを検証します。(中略)また、海外債券ファンドに投資したい場合は、ETFを活用します。

まとまった資金があり、外貨ベースで長期固定運用したいのなら、個人で外国債券を購入することも可能です。ただし、国内の証券会社で購入すると、債券価格自体が不透明な上に、為替レートも不利ですので、「自分でFXなどを活用して外貨に換えて」「海外証券会社で直接債券を購入する」ことが一番有利です。

(引用終了)

世界的な金利上昇を迎えて、グロソブからの撤退を推奨します。その背景としては、

・外国債券を直接買っても、それなりの利率で運用できる
・直接投資が難しいなら、外債インデックスでも良い
・手数料と、毎月配分への税金のために、複利再投資が困難

です。ですが、アメリカなどが金利を引き上げてきたのは「インフレ懸念に対応するため」です。基本的には、債券はインフレに弱い金融商品ですので、くれぐれもご注意ください。どうしても債券が良いという場合には、「購入時期の分散」「銘柄(満了期間)の分散」に加えて、「通貨の分散」もご検討ください。
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by kanconsulting | 2006-08-10 08:24 | 海外投資
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