次期政権で消費税増税? 消費税は福祉目的税?

これまで何度も報道が繰り返されてきていますのでご存知とは思いますが、消費税は、いつの間にか「福祉目的税」になっているようです。

プライマリバランス達成のためには、歳出削減と、増税が不可欠です。ですが、増税は、消費増税である必要はありません。なぜ「消費税増税ありき」なのでしょうか?よく考えてください。

簡単に言いますと、累進課税を強化させると、高所得者層が逃げ出すからです。高所得者層は、徴税庁にとって、後で「相続税」「贈与税」が見込める、大切なお客様です。高所得者がたとえばオーナー社長である場合には、その所得は、自宅を担保に入れて借り入れを受けるなど大きなリスクを負って得たリスクマネーですので、高い累進課税には「やってられない」と思うことでしょう。

法人税増税などは、「もってのほか」なのだということでしょう。経団連の意向を強く反映していると思います。

日本では、「税金の9割を1割の国民が、税金の1割を9割の国民が納めている」と言われます。もちろん法人税もあると思いますが、これだけを見ると、いかに高所得者層・高額納税者の納税が寄与しているかがわかります。

税の公平性とは、「税額の公平」「税率の公平」「税引き後の所得の公平」と言われます。ですが、「基本的生存権の保証」と「所得の再配分」を加味しても、税の公正性は「所得税・住民税・消費税・相続税・贈与税などに社会保険などを含めた、トータルでの社会的負担額」で議論されるべきものです。

増税はやむを得ないと思いますが、それ以前に、税制のシンプル化と、課税庁の裁量を大幅に削減することが必要だと思います。その上で、「誰が、どの程度、トータルでの社会的負担(税金・社会保険)を負担するか」の議論が必要だと主張します。

税率を低くしたほうが、経済活動は活性化されるというのが、一般的な見解です。究極の規制緩和は、税制のシンプル化・税率の低減なのです。

たとえば、給与・事業・贈与・相続などすべての所得を損益通算した上で、すべての国民に申告課税を義務付け、一律20%の国税を課すというのが、シンプルでわかりやすい税制ではないでしょうか。税制がシンプルであるほど、脱税のうまみは無くなります。その上、課税庁の裁量を削減・無力化する事で、納得性の高い税制が可能です。納税者の納税意欲が増すのではないでしょうか。

特に、すべての国民に申告課税を課すことで、「自分は本当にどれだけの税金・社会保険を負担しているのか」を感じてもらうことが、納税者としての意識高揚につながることと思います。

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話を簡単にするために所得税の説明をします。

所得税の累進課税は、高額納税者は90%の税率だった時代もあったようですが、ここ何年かで急速に累進度を弱めました。現在では、所得税の累進課税は以下のようになっています。最高税率は37%ですが、住民税がかかってきますので、合計税率は約50%となります。
なお、H19年度から、700万円以上の税率を3%アップさせ、最高税率が40%となる予定です。

課税される所得金額 (千円未満切捨て) 税率 控除額

330万円以下                 10% 0
330万円超~900万円以下        20% 33万円
900万円超~1,800万円以下      30% 123万円
1,800万円超                 37% 249万円

小職は、何度も繰り返しますが、以下のように主張します。

・財政再建は、外国の事例を見習い、歳出削減を中心に
・特別会計を解散して一般会計に編入
・国会計への複式簿記の導入
・増税もやむをえないが、税制のシンプル化、徴税庁の裁量大幅削減が必要

関連した過去のエントリーも参照ください。

(引用開始)

「国家予算作成ゲーム「財務大臣になって予算を作ろう!」について」

実際は、これまでに述べているように、少子高齢社会を迎えますので、医療・福祉は減らすことが困難です。地方交付金の減額は、地方税の増税につながりますので、国民にとってはトータルでは変わらないと言う見方も出来ます。そして、このような「縮小均衡」が、活力ある社会を生み出すとは、ちょっと思えないというのがホンネです。

国家支出の削減は、そのまま、公務員や行政法人職員、行政関連事業の受注者の収入減少につながります。ケインジアン(ケインズ政策を良しとする方々)は、公務員の給料でさえ乗数効果があるとして、削減に反対するでしょう。いわく、「公共工事は無駄遣いと言われているが、乗数効果という視点で言うと、無駄遣いではなく、景気浮揚に貢献しているのだ」ということらしいです。

小職は、「国の活力を維持しつつ、国家財政の維持可能性の高いシナリオを描ける出口政策が必要である」と主張しています。

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「「ワイロ・カルテル・談合」はなぜ悪いのか? ~日本の「公共事業支出/GDP比」は他国の2倍~」

これまで、このブログでは、
「国家予算(一般会計+特別会計+地方)がGDPの半分に到達しており、正常な財政運営とは言えない」
「日本の公共投資は、投資に見合ったリターンが得られておらず、ムダが多すぎる」
「予算を使い切ることが目的となっており、国民の税金を扱っているというモラールが崩壊している」
などと指摘してきました。

(中略)小職はこのブログにおいて、「単に穴を掘って埋めるだけでも、乗数効果がある」とするケインジアン的発想を、「もはやそのような時代ではない」と厳しく否定してきました。

なぜならば、そのような「統制経済」の行き着く先は、国全体の終焉であるからです。そのことは、ソビエト連邦を含む共産圏諸国のたどってきた道、あるいは北朝鮮の現状を見ればわかるはずです。

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「国家公務員の人件費」

今後の社会保障費の増額がやむないということについては、すでに別エントリーで述べました。これについては、ほぼ異論の無いところだと思います。

また、公務員の人件費に手をつけざるを得ないが、それでもプライマリバランス達成には焼け石に水だとも指摘しました。公務員給与については、「乗数効果の有る社会還元」とみなせなくもありませんので、その削減分だけデフレに寄与することも考えられます。

さらに、「増税を伴いつつ財政再建を進めるには」という一文がさらりと示すように、「増税は規定路線」であることを再確認することが出来ます。

小職は、
・国民の所得が減少しているのだから、公務員給与削減やむなし
・それとは別に、本来税金は、真に意味の有る用途に使って欲しい
・その意味は、最終負担者かつ公共サービス受益者である国民が判断すべき
・増税は、消費税増税ではなく、累進課税とすべき
と主張します。

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「特別会計についての記事」

ですが、記事にも「徹底した歳出削減を実施し、かつ、2%台の名目経済成長率が確保できた場合でも、10年代前半の基礎的財政収支の黒字化には、消費税率を現行より3%引き上げて、8%にすることが必要」とあるように、「歳出削減だけで財政再建を実現するのは困難」なのです。

普通で考えると、徹底した歳出削減はデフレ効果をもたらすので、昨今の素材インフレと相互作用した場合には「不況なのに物が高い」というスタグフレーションを起こす可能性すらあります。消費税の増税は、さらに景気を冷やして逆に税収全体を下げることも予想されます。

小職は、何度も書きますが、

・徹底した歳出削減、特別会計の見直しが必要
・あわせて、国・地方・特殊法人の連結決算、複式簿記による正確な開示が必要
・規制緩和によるGDPアップ・経済活性化、雇用の創出が必要

と主張します。

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「富田俊基氏の語る「総選挙と財政再建」」

小職も、「歳出削減(公共投資削減・公務員削減を含む)による財政健全化」を支持します。ですが、ここで「特別会計の見直し」を見落としては片手落ちです。特別会計の原資は税金ではないことも多いのですが、不透明・不自然なカネの流れを作り、その規模は国家予算を大きく上回っていますので、大規模な見直しが必要です。

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「国家破綻を回避する方法(3)」

①財政再建は、なぜ必要か?

政府債務は、将来の財政黒字で返済しなければなりません。当たり前のことですね。「国の借金は(インフレで相殺できるので)返す必要が無い」と主張される方もおいでなのですが、かねてより「それは甘い考えだ」と指摘しており、ここでは繰り返しません。
財政再建は、増税と歳出削減からなります。しかし、それは大きなデフレ効果をもたらしますので、その需要の減少を相殺できる以上の内需拡大を同時に行う必要があります。

(引用終了)

以下は、消費税の福祉目的税に関連したニュースです。

(引用開始)

谷垣氏「消費税は社会保障の財源、逃げずに取り組む」

谷垣禎一財務相は22日午後、横浜市内での自民党南北関東ブロック合同大会で、消費税の社会保障財源化に関して、「皆さんの不安を突き詰めると我々の社会保障は長続きするのか、という点に行き着く。消費税を社会保障の財源であると位置付けて、負担を子供たちや孫たちの世代に先送りしないようにする。これに逃げずに取り組む必要がある」と決意を強調した。
また、「必要な給付、サービスについては不断に見直すと同時に、必要な財源については逃げることなくきちんと議論して、負担を先送りしないようにしていくことが大事だ」とも述べ、消費税率の引き上げに正面から取り組む姿勢をアピールした。
また、年金の財源問題に関しては、「どれだけ負担すればどれだけのサービス、見返りがあるのかはっきりさせてモラルハザードを防ぐためには、税ということよりも社会保険方式をきちんと維持することが大事だ」と述べ、基礎年金の全額税国庫負担化などには反対する姿勢を明確にした。〔NQN〕 (17:05)

(引用終了 ニッケイネット
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by kanconsulting | 2006-08-25 19:44 | 経済状況
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