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バブル崩壊の見破り方(1) 大前研一

大前研一氏が、安藤忠雄(建築家)の何気ない一言をヒントに、1992年の時点でバブル崩壊を見破った方法を書きたいと思います。

(引用開始)

彼の言葉を聞いて、私はすぐマッキンゼーに、建築事務所の設計の作業量(受注残高)を調べさせた。その結果、以前に比べて減少し始めていることが分かったのだ。設計の受注残高が少ないということは、数年後に、作るべき建築物の件数が確実に減ってしまうことのシグナルでもある。しかも、設計している物件の最後が建ち上がるのが、1995年の12月だった。それ以降は、設計しているものがほとんどなかったのである。
ここから予想できるのは、バブルの頃不足していると騒がれた商業用ビルが、すでにその実需要を上回り、以降建築されるビルはすべて過剰供給になって賃貸料が下落するだろうこと、さらには、それに伴って土地需要がなくなり、土地価格もまた下落していって、土地を担保にした銀行の融資に大きな歪が生じるだろうということだ。
私は、まず前者の予想を検証してみることにした。
ちなみに、1995年12月までに投入される新規のビルの総床面積とそのときのビル需要が分かれば、そこから空室率が予測できる。そこで私は、世界の代表的なバブル崩壊都市の事例、たとえばヒューストン、ロサンゼルス、ニューヨーク、メルボルン、ロンドンで、空室率が何%のときに賃貸料がどのくらい下がったかを調べた。その数字を見ると、このまま需要が増えなければ1995年12月に大きなビルの空室率は15%にも達し、東京の不動産の収益還元価格が5分の1になってしまう計算になったのである。

(引用終了)

収益還元価格とは、株価で言うところのPERと似た概念です。

(利回り)=(賃貸料)/(不動産価格)
(不動産価格)=(賃貸料)/(想定利回り)

バブル崩壊前の空室率を0、想定利回りを固定と仮定すると、

バブル崩壊前 (不動産価格A)=(賃貸料A)/(想定利回り)
バブル崩壊後 0.2*(不動産価格A)=0.85*(賃貸料B)/(想定利回り)

(賃貸料B)/(賃貸料A)=0.2/0.85=23.5% 賃貸料の下落率は100-23.5=76.5(%)

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では、「日本国財政破綻」を事前に見破る方法はないのでしょうか?

これは、以下の3つのパラメーターを継続して監視することで、ある程度可能であると考えています。

・日本国債の長短金利動向(イールドカーブ)とインフレ率のバランス(実質金利)
・長期公的債務額(ストック)
・一般会計+特別会計+地方の「連結プライマリバランス」(フロー)

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by kanconsulting | 2006-11-10 00:19 | 経済状況
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