地方財政・地方債の状況について

夕張ショック以降、地方財政や地方債について、いろいろな動きが出てきています。関連したニュースを掲載したいと思います。

①赤字地方債については、「赤字地方債は、銀行への『飛ばし』による債務隠しよりマシだ」ということらしいです。「地方自治体の自転車操業を、公に認める」ということなのでしょうか。
ですが、これは「サラ金で生活資金を借りる」ことに似ています。生活資金に困ったなら、生活を切り詰めるのが本筋のはずです。

本筋を言えば、
・赤字債ではなく、支出の切り詰めと資産の売却
・地方債の、債務カット・金利減免・リスケジュールの法制化
・つまり、住民と債権投資家にもリスク負担を求める
でしょうか。

②全市町村の財政の健全性は国を上回るといいますが、これは表現が間違っています。
『全市町村の財政の健全性は悪いが、国の財政はさらに悪い。』が正しい表現です。

小亀(地方自治体)が親亀(国)よりも背負えるはずがありません。

③神戸市が財政危機というのは、今に始まった話ではありません。「大きすぎてつぶせない」規模なのをいいことに、神戸空港などの「巨大なムダ」を止めることができなかったという背景もあるのでしょう。

自治体は、「財政再建団体」になるだけで、「清算」ができるわけではありません。

④自治体を財政再建団体に指定する新たな指標として、地方債や一時借入金のほか、自治体が出資する第3セクター、公社などの債務残高を加えるという「連結ベース」で判断するというのは、まっとうな考え方だと思います。

ですが、話が国になると、「一般会計、特別会計、特殊法人」などを連結ベースで考えることができないのは、なぜなのでしょうか?極めて疑問に思います。

関連した過去のエントリーも参照ください。

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「自治体の財政悪化指標 「夕張ショック」の後に」

「そもそも自治体自身が倒産することはありません」とは、倒産処理の法制が無いから倒産できないだけで、倒産しないという本質的理由が明示されていません。「地方自治体が破綻した場合、国が直接保証する」とは書かれておらず、あくまで間接的な表現なのです。

交付金・補助金が減額される中で、本当に「地方債の元利償還に必要な財源を国が保障」することができるのでしょうか?「自らの課税権に基づいて」とありますが、本当に「課税権」だけでまかなったら住民は逃げ出すのではないでしょうか?

また、将来的には、誰が地方債を引き受けるのでしょうか?政府の引き受けが減ると予想した場合に、民間の引き受けが増えるのでしょうか?「政府保証も明確には付いていないし、こんな危ない自治体の債券は、かなりのリスクプレミアムを上乗せしてくれないと買えないなあ。」と思うのではないでしょうか。

平均的な「自治体の財源に占める自主財源収入の割合」は約38%で、残りは依存財源(中央政府から支出されるお金、市町村の場合には都道府県からのお金を含む)です。そもそも、経済成長が期待できない自治体が、身の丈に見合った財政運営をせずに、過度に借金(地方債)に依存してきたということ自体が間違っているのではないでしょうか。

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(引用開始)

①赤字地方債解禁を検討・総務省、自治体の財政改革条件(9/13)

地方自治体の財政破綻を防ぐために総務省が導入を検討している早期是正措置の大枠が明らかになった。財政悪化の度合いを測る新指標を導入し、より深刻な赤字自治体には地方債の発行を、社会資本の整備だけではなく、財政赤字を補てんする資金繰り目的にも認めることを検討する。赤字を銀行からの一時借り入れなどで隠すことを避け、透明度の高い改革を進める。国主導で大胆な歳出入改革を軸とした再建策をつくることを条件にする。
総務省は財政が悪化した自治体に適用する新たな再建法制(再生型破綻法制)を3年以内に導入することをめざしており、「新しい地方財政再生制度研究会」を発足させ具体策を議論している。12日の会合で早期是正措置の議論を開始。15日の会合で大枠の方向性を固める。 (07:00)

日本経済新聞

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②借金額は「年収」の6倍以下=財政の健全性、国を上回る-全市町村まとめ・財務省(9/9)

財務省が9日までにまとめた全市町村の財政状況に関する調査で、債務残高が1年間の収入に当たる一般財源の何倍かを示す「負債倍率」が、最高でも6.1倍にとどまっていることが明らかになった。国の負債倍率は18倍に上っており、財政基盤が弱いとされている町村レベルでも、財政の健全性では国を大きく上回る実態を示した。これと併せて、国の財政事情の深刻さも浮き彫りになったといえる。

時事通信

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③神戸市借金地獄 「倒産」間近い?

兵庫県・神戸市の「倒産」が騒がれ始めている。『週刊ダイヤモンド』の「倒産危険度」によれば、神戸市は堂々のトップ。経済誌『ザ・ファクタ』でも「住民1人あたり潜在債務ランキング」で3位だ。本当に危ないのか。
『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)の2006年8月26日号の全国・市「倒産危険度」ランキングによると、神戸市が危険度第一位だった。財政再建団体への移行を決定した北海道・夕張市を押さえて、というのが、何とも衝撃的だ。この倒産危険度ランキングは、経常収支、起債制限比率、純返済年数、財政力を同社編集部が偏差値に換算し、算出したものだ。財政的に危機だ、と見る決定的な数字がある一方、経済誌『ザ・ファクタ』8月号では、「住民1人あたり潜在債務ランキング」で3位だった。こちらは、地方債残高、債務負担行為支出限度額などから、一人当たりの債務を計算している。両者を見ても、神戸市が「倒産」しかねない過剰な債務を抱えているのは確かだ。
神戸市が2006年8月11日に発表した2005年度決算見込みによれば、市債残高は復興基金の償還分を含めて1兆1,204億円。三位一体の改革で臨時財政対策債が減少し、前年度比で3,522億円ほど減らしたことになっているが相当な額であることには変わりがない。一方で一般会計の実質収支の方は約7,000億円の黒字。しかし、神戸新聞によれば、この黒字も財源不足を職員の給与カットや市有地の売却で補填しているため、実質的には約55億円の赤字だという。
神戸市が財政的に危機だ、と見る決定的な数字も出ている。財政の健全性の指標とされる実質公債費比率だ。これは06年度から導入された新しい財政指標で、18%以上になると地方債の発行には国の許可が必要となり、25%以上になれば起債が制限されることになる。神戸市は24.1%と、政令指令都市のなかでこちらも堂々のワースト記録。06年度から地方債の発行が原則自由になったのにもかかわらず、神戸市の財政は起債が制限されるギリギリところにある。空港など「ハコモノ建設」が厳しい批判にさらされている実際に借金がこれほどにも膨れ上がったのは何故なのか。神戸市は大きな理由として、震災の復興基金の出捐金・貸付金の市債償還に伴う公債費が莫大に膨らんだことを挙げている。しかし、市の財政危機の真相は違うところにある、という見方も有力だ。
それは神戸空港の建設をはじめとしたハコモノ建設だ。06年2月に開港した神戸空港は、3,140億円の総事業費を要するもので、市はこれの大半を起債によって補っていると言われる。しかも、神戸市の右肩上がりの需要予測に反して、開講当初の好調から一転、搭乗率が右肩下がりになっている。市の甘い需要見込みが、今では厳しい批判にさらされている。
また、2002年から市が始めている「医療産業都市」への巨額の投資も大きな懸念材料だ。大学、公的研究機関等を核とした「日本版シリコンバレー」を建設しようというものだ。
こうしたハコモノ建設には、市民社会フォーラム、神戸再生フォーラムといった市民団体、新社会党・共産党といった政党からも批判の声が上がっている。神戸新聞が報じたところによると、2005年の市議会では新市庁舎の建設が新たな議題になり、「財政問題の解消が先決ではないか」と議員が迫る一幕もあったという。
いずれにせよ、「倒産か」と騒がれるにはそれなりの根拠があり、今や神戸は「借金地獄」状態といってもおかしくない。神戸市行財政局財政部財務課に「倒産しないのか」と聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。
「震災があったため、公債費の使用が膨らんでいたのは事実です。ただし、直ちに倒産するとは思っていないし、倒産するような赤字に至るような状況ではない。市も市債残高の削減や職員の人件費削減などで、倒産しないように努力しています。『週刊ダイヤモンド』の計算には問題があるし、そのような指摘も実際にしました」

J-CASTニュース

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④自治体財政 破たん指標に地方債 3セクの債務も 総務省検討 未然に是正措置(8/18)

総務省は17日、財政危機に陥った自治体を財政再建団体に指定する新たな指標として、地方債や一時借入金のほか、自治体が出資する第3セクター、公社などの債務残高を加える方向で検討に入った。
指標を増やし、3セクなどと「連結ベース」とすることで財政難の自治体を早めに把握するのが狙い。北海道夕張市のように突然破たんが明らかになる事例を避けるため、自治体に財政運営の改善を勧告する「早期是正措置」も導入する方向だ。
具体的な制度設計を検討する有識者による研究会を月内にも設置し、秋に概要を固める。早ければ来年の通常国会にも地方財政再建促進特別措置法の改正案を提出する。
現行は同法に基づき、単年度決算で標準的な財政規模に占める赤字比率を指標とし、都道府県は5%、市町村は20%以上になった場合に再建団体の対象となる。夕張市は赤字穴埋めのために決算に表れない、金融機関からの一時借入金を利用し表面上の決算を黒字に装った。単年度決算の赤字比率だけだと財政悪化が表面化しにくいのが現状だ。
指標とする債務残高は、自治体の一般財源に対する比率などが考えられ、今後研究会で詳細を詰める。是正措置については勧告を行う第三者機関設置の是非や、水準をどう設定するかについて検討する。
研究会では金融機関などに対する債務を免除する「デフォルト制度」の是非も課題となる。

■「隠れ借金」早期発見へ

【解説】総務省が財政再建団体を指定する新たな指標の検討に入ったのは、財政難の自治体が増す中、現行制度では自治体財政の全体像をとらえきれず、自治体破たんの芽を早期に見つけられないためだ。
現行の地方財政再建促進特別措置法は、半世紀も前の1955年に制定された時限的な法律。戦後復興の過程で財政赤字に陥った自治体を支援するのが目的で、抜本的な法改正はなく「現状に合っていない」との指摘は以前からあった。
自治体ではバブル経済崩壊後、第3セクターや公社などで「隠れ借金」を抱える例が増えているが、こうした実態をチェックする仕組みになっていない。
1992年に再建団体となった福岡県旧赤池町の場合も土地開発公社の巨額債務の表面化がきっかけで、再建団体入りが決まった時には北海道夕張市と同様、既に立ちゆかない状態になっていた。
財政が逼迫(ひっぱく)している自治体は多く、「(夕張市の)ほかにも危ないところはある」(総務省幹部)という。制度が改正されれば、監視の目は厳しくなるが、自治体もより責任ある財政運営が迫られる。

■自治体の再建法制

地方財政再建促進特別措置法に基づき、標準的な財政規模に占める実質収支の赤字額が都道府県で5%、市町村では20%以上になった場合、自治体は国の管理下に置かれる財政再建団体への移行か、自主再建を選ぶことになっている。自主再建では地方債の発行が制限されるため、再建団体入りすることが多い。民間企業の倒産に例えられるが、自治体の場合、国が債務の返済を事実上保証しているため、債務免除の仕組みはない。

西日本新聞朝刊

(引用終了)
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by kanconsulting | 2006-09-19 22:21 | 経済状況
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