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官製破綻本「税財政の本道」について 元国税局長官が語る「国家破産・財政破綻への対策」とは

先日のブログで、「税財政の本道 国のかたちを見すえて/大武健一郎」を紹介しました。

(引用開始)

「今後、当局の解釈で適用が厳しくなっていく可能性はある」について、税務当局は、「解釈」ではなく、「法律の変更」を視野に入れて検討しているという書籍を紹介します。

「税財政の本道 国のかたちを見すえて/大武健一郎」

著者は、財務省主税局長、国税庁長官を歴任しています。国(国税局・財務省)が持っている、財政危機の回避策、人口減少社会・少子高齢化時代の税制度についての考えをうかがい知ることが出来ます。

この本のポイントの一つに、「属人主義」があります。

・現在の日本の考え方である「属地主義」は、これからのグローバル社会では徴税の機会が減るため、アメリカのような「属人主義」が必要だ。
・国民に対する徴税の法的根拠を拡張し、海外で働く日本人からも徴税するとともに、キャピタルフライトを無効化したい

「属人主義」は、先進国ではアメリカのみが採用している税制であり、批判も強いと言われています。日本が「属地主義」を廃止して「属人主義」を採用する合理的理由はなく、「キャピタルフライトを無効化して、富裕層の国外脱出を阻止したい」という理由があることは、火を見るよりも明らかでしょう。

(引用終了)

実は、「税財政の本道」は、官製破綻本なのです。

といいますのは、「前(現在は退職している)」とはいえ、国税庁長官が、「このままでは日本は財政破綻する、歳出削減だけでは不可避である」と主張しているからです。(内容的には、このブログでも再三指摘している内容と重複しますし、驚くこともないかと思います。)

そして、普通の破綻本であれば、「ゴールドを買え!海外ファンドを買え!NZドルを買え!」となるのですが、この本では「増税あるのみ。消費税を増税し、富裕層(相続)や海外資産からも徴税すべき」と結んでいるのです。

つまり、元国税局長官が語る「国家破産・財政破綻への対策」とは、「消費税増税!資産課税!属人主義課税!」なのです。

このような、国の財政政策に対抗する手段は、税法よりも上位の概念である「憲法」と「租税条約」に基づいて、課税根拠を無効化するしかありません。

ですが、そのようなノウハウは、高度な国際税法の実務力が必要とされますので、「誰にでもできるものではない」というのも確かです。

この続きは、後日掲載します。

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by kanconsulting | 2006-11-06 00:07 | 経済状況
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