円キャリーとは? キャリートレードの本質 反対売買によるアンワインド 一般投資家は結局損をさせられる

最近、福井日銀総裁が、「円キャリートレードが生じやすい環境にある。キャリートレードの急激な巻き戻しが起こるリスクが大きく、警戒している」と述べました。

日銀は、金利を正常な国と同じような水準に上げたいと考えています。ですが、今の状態で金利を上げることは、財政破綻に近づいてしまうということも、事実です。

さて、キャリートレードは仮需ですので、必ず「反対売買・決済」を迎えます。これを、巻き戻し(アンワインド)と言います。大きなアンワインドが起こると、仮需で膨らんだ市場が縮小(シュリンク)します。それは、「本来の状態に戻っただけ」なのですが、イケイケになってしまった市場参加者は困ってしまうわけなのです。いきおい、他の資産クラスを処分するなど、経済全体に影響が出ることになります。

円ドルで、キャリートレードの急激な巻き戻しが起こるかどうかは、わかりません。ですが、最近の為替・株式・商品などのいろいろな値動きで、振り返ったときに「あれは、キャリートレードのブームとバーストだったんだな」という理解をした例は意外と多いということだけ申し添えておきます。

このブログをご覧になっている方は、

・カネは、儲かりそうな資産クラスを目掛けて、世界中を駆け巡る
・カネが集まった資産クラスは、ブームとバーストを形成する
・特に、昨今の市場では、カネ余りによる資金が流れ込むことでトレンドを形成する
・一般投資家は、そのトレンドに尻馬で乗り、結局損をさせられることが多い

・イケイケで調子に乗ってはならない。投資のルールに沿って、冷静になる必要がある

ということをご理解いただいていると思います。

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(引用開始)

福井日銀総裁は午前の衆議院財務金融委員会で質問に答え、日本の金利が諸外国に対して低い水準にあるため、円キャリートレードが生じやすい環境にあると説明。その上で先行きの日本の金利観に急激な変化が生じれば、「急激な巻き戻しが起こり、様々なひずみをもたらす。このリスクが非常に大きいため、大変警戒的に見ている」と述べた。

アサヒ・コム 11/10

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財務省の渡辺博史財務官は、・・・「円キャリートレードの規模は、為替市場の規模に比べて小さく、為替市場を振り回すとは思っていない」との見方を示した。
23日のニューヨークでの講演で、円キャリー取引の規模が数兆ドルではなく数兆円だろうと発言したことについて同財務官は、円キャリーの定義は、はっきりしていないと指摘、数字は特に計算したものではなく、為替市場の規模と比べると小さいということを言いたかったと説明。数兆円というのは、意図的に資金を動かしている投資家による円キャリーの数字をイメージしていると述べた。

アサヒ・コム 10/27

(引用終了)

キャリートレードについては、過去の記事も参照ください。

(引用開始)

「購買力平価と為替レートの関係~キャリートレードのブームとバースト」

このブログで何度も指摘していますように、「為替レートは、実需と仮需の両方に影響を受けます」。そして、仮需の例として、金利差に着目したキャリートレードがあります。さらに、「金利とインフレ率は関係が深い」ことも、何度も指摘していることです。つまり、為替レートは、両国の金利とインフレ率にも影響を受けるのです。

キャリートレードとは:低金利の通貨を借りて(売って)、高金利の通貨に投資する(買う)ことです。たとえば、FX(外国為替保証金取引)で、スワップ金利目的で、AUD/JPYのロングポジション(=日本円を売って、豪ドルを買う)を建てることも一種のキャリートレードと言えるでしょう。

キャリートレードの関係にある通貨は、高金利通貨への資金流入でじわじわとブーム(高金利通貨高)を形成し、一定のターニングポイントを迎えると一気にバースト(高金利通貨急落)することが特徴でもあります。そして、長期的に見ると、為替レートは購買力平価の上下を行き来しているだけという見方も可能です。これは、キャリートレードを大掛かりに行っている機関投資家(ヘッジファンドなど)が、「もうそろそろ」と利益確定の為に反対売買(買っていた高金利通貨を売り、借りていた低金利通貨を返す)をすることがきかっけで、一気に低金利通貨高に逆転するためです。

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「量的緩和の解除(2) 経済成長率と物価上昇率で考える、インフレの足音」

機関投資家によるジャパンマネーショートのキャリートレード(だぶついた日本円を使った裁定取引)が、めぐりめぐって世界の金融市場の乱高下をもたらしている可能性も指摘されています。

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「投資の基本と、BRICSへの姿勢 キャリートレードの解消・投売りが一巡するまで調整は続く」

今回の調整は、キャリートレードの解消などによる投売りが一巡するまでは、続くものと思います。


(引用終了)

金利とインフレ率の関係については、過去の記事も参照してください。
「インフレ率と実質金利」

FXについては、過去の記事も参照してください。
「外貨預金、外貨MMF、為替保証金取引」
「FXで金利10%はどう実現するか?」

キャリートレードについては、過去の記事も参照してください。
「日米の金利差と、為替レートの関係」
「ヘッジファンドへの投資(5)」
「スイスフランについて」
「総円高と金利裁定取引」

投資ブログ「国家破産・財政破綻に勝つ資産運用」で紹介している参考図書も参照ください。
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by kanconsulting | 2006-11-23 17:58 | 外国為替(FX)
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