バフェットが語る「インフレに勝つ株式投資」 究極のファンダメンタル投資 インフレ、ROA、グレアム

ウォーレン・バフェットは、買収したシーズ社と、架空の平凡な企業を比較して、次のように述べています。長文になりますが、重要なポイントですので、おつきあいください。

(引用開始)

「バフェットからの手紙/ローレンス・A・カニンガム」

それがなぜかを理解するために、物価水準が倍になるインフレが、2つの企業(シーズ社と、架空の平凡な企業)に与える影響について考えて見ましょう。両者とも、利益水準をインフレのペースにあわせるためには、名目の当期利益を400万ドルに増やさなければなりません。このことは、それほど難しいとは見えないかも知れません。もし利益率が同じならば、同じ量の製品を倍の値段で販売すれば、利益は倍になるというだけのことです。

しかしここで重要なのは、これを実現するためには、両社とも純有形固定資産への名目の投資額を倍に増やさなければならないことです。それが良しにつけ悪しきにつけ、インフレが企業に与える経済的な影響です。販売金額が増えるため、ただちに在庫や売掛金の手当て資金が必要になります。固定資産に投下される資金額はインフレにあわせてゆっくりと、しかしおそらく確実に増えるでしょう。これらインフレによって必要になる投資追加すべては、投資収益率の改善には関係がありません。このような投資が必要なのは単に事業を続けるためであって、株主により利益をもたらすためではないのです。

・・・

しかし、こうしたインフレの状況下では、シーズ社のような事業を行う企業の株主にしても、単に利益を実質価値ベースで現状維持するだけのために800万ドルの追加投資が必要になるということは、覚えておいたほうが良いと思います。事業の上で、何らかの有形固定資産を必要とし(ほとんどすべての企業がそうです)、借入金のない企業の全てはインフレによって被害をこうむります。有形固定資産をより少なくしか必要としない企業ほど、インフレの被害は小さくて済むのです。

もちろん多くの人にとって、このような事実は理解しがたいものです。伝統は長くとも賢明さに欠ける説によれば、インフレ対策に最も有効な投資対象は天然資源や工場・機械などの有形資産を多く所有する企業であるとしてきました。ところがそうは行きません。有形資産を多く抱える企業は、一般的に低い利益率しか示せず、しばしばインフレによって必要になる追加資本すら生み出すことができず、実質的な成長率、株主への配当金や新規の企業買収のための資金はほとんどありません。

対照的に、インフレ期では、長期的な価値を持つ無形固定資産を持ち、有形固定資産への資本投下が相対的に少なくて済む企業への投資が不釣合いなほど大きな成果を上げてきました。そのような場合には、利益の名目価値は急増し、それがさらなる企業買収に寄与しているわけです。・・・インフレ期における「のれん」は、金の卵を産み続けてくれるニワトリなのです。

「バフェットからの手紙/ローレンス・A・カニンガム」

(引用終了)

このケースを数字で示すと、以下のようになります。シーズ社を取得した1972年において

シーズ社 純有形資産800万ドル 利益200万ドル ROA25%
架空X社 純有形資産1800万ドル 利益200万ドル ROA11%

この架空のX社を売却するのには、1800万ドルで十分だと述べています。ですが、バフェットは、シーズ社を買収するのに、2500万ドルという、資産額を大きく上回る額を支払っていたのです。なぜでしょうか?

もし2倍のインフレがあったとして、利益水準をインフレのペースにあわせるためには、名目の当期利益を400万ドルに増やさなければなりません。そのための必要な追加投資は以下のとおりです。

シーズ社 追加投資800万ドル (合計純有形資産1600万ドル)
架空X社 追加投資1800万ドル (合計純有形資産3600万ドル) 

ここで、バフェットはシーズ社を2500万ドルで買収したことを思い出しましょう。投資価値を同じ通貨ベースで評価すると、5000万ドルの価値になります。株主資本のうち、800万ドルを追加投資に使うだけで、名目価値で2500万ドルの利益が上げられることになります。つまり、1ドルの追加投資で3ドル以上の利益となるのです。

シーズ社 追加投資1ドルにつき名目価値3ドル
架空X社 追加投資1ドルにつき名目価値1ドル

なんだか騙されたような気がしますか?

しかしながら、このようなグレアム的な投資手法によって、バフェットは世界二位(ちなみに1位はビル・ゲイツ、3位はラクシュミ・ミッタル)の富を築いたのです。その事実は誰にも否定できません。

詳しくは、以下の書籍も参考にされてください。
「バフェット流長期投資」
「バフェット投資の王道~株の長期保有で富を築く/ロバート・マイルズ」
「バフェットからの手紙/ローレンス・A・カニンガム」
「バフェット流投資術(CDブック)/ロバート・P・マイルズ」
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by kanconsulting | 2006-11-28 23:47 | 株式投資
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