格差社会とその対策 資本の自己増殖と給与の上方硬直化 長期グローバル投資を(1)

これまで、このブログでも取り上げてきましたが、「なぜ格差社会になるのか」ということについて、一言で答えるとすると、次のようになります。余りにも簡単化してしまっているので、異論はあるかと思いますが、その本質は

「資本は、本質的に、自己増殖することになっているから」

です。これが、「金持ちは、なぜさらに金持ちになるのか」という、古典経済学での最大の理由です。これが、資本主義の本質なのです。

修正資本主義においては、税や社会保障による富の再配分も行われています。しかし最近では、グローバル競争において各国が税率の低減を検討するなど、どちらかというと規制緩和の方向に進んでいるようです。

では、給与の安い労働者は、どうなっていくのでしょうか?このブログでは、「さらに二極化が進行し、中堅層の給与は低下する」としています。その本質は、非常に簡単に言いますと、

「グローバル経済においては、安価な労働力の国・地域の基準に向かって収束するから」

です。

「とはいっても、日本語の壁は厚いし、中国人が日本人向けのサービス業というのは無理があるのでは?」と思われますか?

それは違います。現実に、ライブドアのコールセンターは中国大連にありますが、日本人オペレーターを時給288円(20元)で雇っています。時給20元は、大連の大卒初任給の2倍にあたるということですが、もちろん、中国での日本人の雇用には、日本の法律(最低賃金法)は適用されません。

(引用開始)

◇「何かが変わる」時給288円

ヘッドセットを着けた日本人の若者が、海を隔てた日本の客に話しかけている。その声とキーボードをたたく音しか聞こえない。

中国・大連。政府が「ハイテク区」に指定した地区の一角にライブドアグループのコールセンターがある。04年、現地に進出した。

働くのは同社の「中国語が学べるインターンシップ制度」に応募した約80人。堀江貴文社長がブログ「社長日記」で「マーケットが確実に拡大する中国でキャリアを積むことには意義があると思いますよ!」と紹介すると、説明会の申し込みは1時間で50件に上った。

時給は20元(約288円)。月給に換算すると、大連の大卒初任給の2倍にあたる。同社は当初、日本語のできる中国人の採用を検討したが、片言では顧客が満足しない。低賃金の日本人を連れてくることでコストを40%削減できた。海外で日本の最低賃金法は適用されない。

記者(28)より一つ年上の五十嵐洋彰さん(29)は大連に来て1年になる。大学を出て親元の新潟で大手食品会社の子会社に就職した。親会社からの天下りが多い。「この人たちの高給を出すために働くのか」と思うと、定年まで働く自分を想像できず、5年で辞めた。

仕事は早朝、日中の2交代。社宅は28階建てマンションで、家賃は半分が自己負担だ。週3回の中国語レッスンは会社持ち。物価が安いから生活には困らないが、日本食レストランは高いから行かない。

「確かな生活を捨ててきた。でも行けば何か変わると思った」。契約は1年ごとの更新で最長5年。契約期間の途中で辞めると、日本からの渡航費やビザの取得経費を返さなければならない。五十嵐さんはもう1年いて中国語をマスターしたいが、どこまで上達できるか不安も感じる。将来の仕事はまだ考えられない。グループの社員になれるのはほんの一握りだ。

同様のコールセンターを運営するマスターピースは03年に進出した。まず時給10元で募集したところ120人もの応募があった。加藤舞子さん(26)は昨年2月から働いている。時給は20元。前は営業事務をしていたが「毎日の単調な繰り返しがいやになった」という。

閉塞(へいそく)感の漂う日本。そのすきを突くように成長企業が若者を引き寄せる。

記者は加藤さんに「使い捨てになるとは思いませんか」と尋ねた。

「はい。それでもいいんです」

縦並び社会:第1部・格差の現場から/6 中国で働く若者ら 毎日新聞

(引用開始)

関連した過去の記事も参照ください。
「実感なき景気回復 個人所得伸び率はマイナス さらなる人件費カットがありうる」
「経団連、法人税、日本版ホワイトカラーエグゼンプション(自律的労働時間制度)」
「日本版ホワイトカラーエグゼンプション(自律的労働時間制度)(2)」

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何度も繰り返しますが、
・働いても働いても、豊かになれない、『ワーキング・プアの時代』が来ると、予測している
トータルのパイが小さくなる中で、特に低所得者層は、インフレと増税の影響を避けることは出来ない
・「スキルを磨けば格差社会は怖くない」とは、気休めに過ぎない

では、どうすればよいのでしょうか?

一言で言うと、「資本を持つこと」です。毎月の所得のうちから、こつこつと、株式投資を積み立てることです。

成長する国・地域・会社への長期グローバル投資、これが、「気休めではない、本質的な、格差社会への対応策」なのです。

「では、成長する国・地域・会社への長期グローバル投資をどのようにすれば?」という質問が来ると思います。それに対しては、次の記事で述べたいと思います。

「格差社会についてしつこく記事を書いているようだが、それと、国家財政破綻は、どのような関係があるのか?」についても、別の記事で述べたいと思います。
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by kanconsulting | 2006-12-24 14:06 | 経済状況
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