日銀金融政策変更 政策金利引き上げ 無担保コールレート誘導水準は0.50% ロンバート金利は0.75%

首記の件、昨日に日銀より発表されたとおりです。

何度も書いていますが、日銀は、金利を正常な国と同じような水準に上げたいと考えています。ですが、今の状態で金利を上げることは、財政破綻に近づいてしまうということも、事実です。

今回の金利引き上げでは、大きな流れに影響はないものと見ています。また、アメリカなどとの金利差はいまだに大きく、キャリートレードの解消には至らないようです。

為替相場についても、すべて「織り込み済み」なのです。ニュースを聞いてから売買するようでは、まだまだ一般投資家の域から出ることは出来ません。くれぐれも、「ニュースに踊らされない投資」を心がけてください。

関連した過去のエントリーも参照ください。

(開始)

「インフレ+低金利」の破壊力

「インフレに誘導して実質の債務額を削減し、かつ、低金利を続けて利払い費を抑えることが出来れば、デフォルトさせることなく巨額の債務の軟着陸が可能だが、インフレ・低金利により、国民に見えない負荷を転嫁していることになる。」

とは、意図するかせざるかはわかりませんが、インフレになってしまったケースを想定しています。望ましくないインフレを抑制するためには、金利を上げることが一番です。ところが、金利を上げると国公債の利払い費が増加し、「インフレによる公的債務の目減り」効果が相殺されてしまいます。そこで、量的緩和を継続するなどで長期金利を低く抑えることができれば、「公的債務の実質額を大きく削減」できることとなります。

もちろん、その場合の代償は高くつきます。低金利のままモノが高くなる「スタグフレーション」で、合法的な収奪が行われるのです。

量的緩和の解除(2) 経済成長率と物価上昇率で考える、インフレの足音

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量的緩和の解除(3) 経済成長率と物価上昇率を振り返る

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増える国債 残高600兆円 それだけが長期公的債務ではない 経済成長率・インフレ率・名目金利の関係

結論から言いますと、繰り返しになりますが、

・経済成長によって、名目金利は5~6%に上昇する可能性がある
・名目金利が5~6%になると、物理的に国債の利払いが不可能になる事態がありうる
・普通国債以外にも、同程度の額の長期公的債務が存在するため、名目金利が3~4%程度でも、危機的な事態が発生する可能性がある
・増税と、低金利継続によってのみ、この事態を回避できる
・それが失敗に終わった場合には、インフレで債務の価値を調整することになる

と指摘します。

(終了)

キャリートレードについては、過去の記事も参照ください。

(開始)

円キャリーとは? キャリートレードの本質 反対売買によるアンワインド 一般投資家は結局損をさせられる

日銀は、金利を正常な国と同じような水準に上げたいと考えています。ですが、今の状態で金利を上げることは、財政破綻に近づいてしまうということも、事実です。

さて、キャリートレードは仮需ですので、必ず「反対売買・決済」を迎えます。これを、巻き戻し(アンワインド)と言います。大きなアンワインドが起こると、仮需で膨らんだ市場が縮小(シュリンク)します。それは、「本来の状態に戻っただけ」なのですが、イケイケになってしまった市場参加者は困ってしまうわけなのです。いきおい、他の資産クラスを処分するなど、経済全体に影響が出ることになります。

円ドルで、キャリートレードの急激な巻き戻しが起こるかどうかは、わかりません。ですが、最近の為替・株式・商品などのいろいろな値動きで、振り返ったときに「あれは、キャリートレードのブームとバーストだったんだな」という理解をした例は意外と多いということだけ申し添えておきます。

このブログをご覧になっている方は、

・カネは、儲かりそうな資産クラスを目掛けて、世界中を駆け巡る
・カネが集まった資産クラスは、ブームとバーストを形成する
・特に、昨今の市場では、カネ余りによる資金が流れ込むことでトレンドを形成する
・一般投資家は、そのトレンドに尻馬で乗り、結局損をさせられることが多い
・イケイケで調子に乗ってはならない。投資のルールに沿って、冷静になる必要がある

ということをご理解いただいていると思います。


(終了)

関連したニュースを掲載します。

(引用開始)

日銀総裁「金利調整、経済物価丹念に点検しゆっくり進める」

日銀の福井俊彦総裁は21日午後、2006年7月以来7カ月ぶりの追加利上げを決めた金融政策決定会合後の記者会見で、先行きの金融政策運営について、「今後とも金利調整は経済・物価情勢を丹念に点検しながらゆっくりと進めていく」との方針を示した。
追加利上げに踏み切った背景については、「(前回会合の)1月と2月の間に出てきたデータだけで判断したわけではない」と説明。1月会合以前の経済指標なども踏まえたうえで、「日本経済の先行きを展望すると、生産・所得・支出の好循環メカニズムが維持されるもとで、緩やかな拡大を続ける蓋然(がいぜん)性が高いと判断した」と語った。米国経済についても「ソフトランディング(軟着陸)の蓋然性がいくばくか高まったことが確認された」と述べた。〔NQN〕

日本経済新聞

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日銀が利上げ決定、先行きも徐々に金利調整へ

[東京 21日 ロイター] 日銀は21日の金融政策決定会合で、無担保コールレートの誘導水準を現行の0.25%から引き上げ、0.50%にすることを決めた。利上げは、賛成8、反対1で決定した。直ちに実施する。日本の政策金利が0.50%程度となるのは1995年以来。金融政策変更は、昨年7月14日にゼロ金利解除を決めて以来、約7カ月ぶり。また、先行きの金融政策については、引き続き極めて低い金利水準による緩和的環境を維持しながら、経済・物価情勢の変化に応じて徐々に調整を行うとの方針を示した。
日銀は、同時に補完貸付の適用金利である基準貸付利率(ロンバート金利)を0.40%から0.75%に引き上げた。決定は、賛成8、反対1。直ちに実施する。
当面の金融市場調節方針は「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.50%前後で推移するよう促す」とした。
利上げと基準貸付利率引き上げに反対したのは岩田一政日銀副総裁だった。
日銀は金融市場の調節方針と関連し、長期国債の買い入れについて、先行きの日銀の資産・負債状況をなどを踏まえつつ、当面はこれまでと同じ金額、頻度で実施していく方針も決めた。
利上げの背景となる景気認識について、生産・所得・支出の好循環メカニズムが維持される下で緩やかな拡大を続けるがい然性が高いとの判断を示した。海外経済の不透明感が和らいでいる下で、企業収益の好調と設備投資の増加が続くとみられるとした。個人消費も昨夏の落ち込みは一時的であり、緩やかな増加基調にあると判断した。 
消費者物価指数(CPI)は原油価格動向などにより目先ゼロ近傍で推移する可能性があるが、より長い目で見れば、設備や労働の稼働率が高まっており、景気拡大が続くと考えられることから、基調として上昇していくとの見方を示した。
これまでの金利水準を維持した場合、金融面の刺激効果は次第に強まっていくとし、低金利長期化期待が定着すれば、行き過ぎた金融・経済活動を通じ、資金の流れや資源配分にゆがみが生じ、息の長い成長が阻害される可能性があるとした。

ロイター2007年2月21日

(引用終了)
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by kanconsulting | 2007-02-22 09:14 | 経済状況
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