アメリカ民主党と共和党 日本経済クラッシュによる米国債の棒引き 「二つのアメリカの世界戦略/深田匠」

これまでの記事で、「国富消尽―対米隷従の果てに/吉川元忠・関岡英之」や、「アメリカの日本改造計画/関岡英之」を紹介しました。

その中で、『証券・金融関係者の間では、1990年の日本の株価崩壊は、アメリカ系の大手証券会社が大規模なデリバティブを仕掛けたためであるということが、半ば公然の事実となっているのです(国富消尽)』という記述を紹介しました。

さて、コメント欄で、以下のようなやり取りがありました。(一部略、敬称略)

(開始)

わんだぁ
・・・読み終えると、米国に対する見方が変わります。私は、もともと、米国は嫌いな国の一つでしたが、読了後は、北朝鮮や中共、韓国同様「最も嫌いな国」 のひとつになりました。米国はこのままいくと、地球を破壊しかねません。

kanconsulting
・・・このように、ジャーナリズムからは完全無視の扱いを受けていた「アンチ・アメリカ論」が徐々に市民権を得ていく様子には、感慨深いものがあります。・・・日本国民が、世界の中で置かれた立場をしっかりと認識し、自国の行く末をしっかりと考えるために、まずは「知ることが必要」なのだと思います。

(終了)

さて、「一口にアメリカといっても、民主党と共和党では、ずいぶん違うのでは?」という意見があると思います。誤解を恐れずに書くなら、歴史的に、「民主党はどちらかというと親中」「共和党はどちらかというと親日」ということとなります。確かに、共和党は民主党と比べて、親日派の数は多く、日本の自民党との関係は良好とされています。

(ただし、現在では必ずしもそうとは言えない面もあるとも言えます。たとえば、民主党では、人権問題・チベット問題で中国を批判し、対中貿易赤字に敏感であるなど、対中強硬派が台頭しているという指摘もあります。また、共和党も、一般的に親中派とされる人物を陣営に引き入れ、親中派ロビイストから圧力も受けているため、民主党よりも容共であるのが現状という指摘もあります。)

本日は、アメリカの対日政策を、民主党と共和党という切り口から二分した、明快な書籍を紹介します。あまりにも明快に二分しているため、いろいろと取りこぼしはあるようですが、民主党と共和党という二大政党制が、政治思想のみならず経済政策においても対照的であるという理解のベースとしては良いと思います。

(引用開始)

「日本人が知らない「二つのアメリカ」の世界戦略/深田匠」

なお、経済問題では、日本人が強く警戒するべき民主党のある狙いだけは、留意しておく必要がある。これはM&Aを手広く手がける大物経済人から聞いた話だが、民主党と○○○資本は、日本の保有する米国債(40数兆円相当)の事実上の棒引きを狙って、日本経済クラッシュを仕掛ける可能性が高いとのことだ。つまり、日本を完全に経済的に破綻させてIMF管理下に置き、タダ当然で放出された米国債を買い取ってしまえば、アメリカが負う世界一の対外債務は消滅し、「双子の赤字」の片方はなくなる。韓国はすでにこの経済クラッシュを仕掛けられてIMF管理下で米国債を手放すこととなり、韓国大手企業の大半は底値で買い漁られてすでに○○○資本になっている。クリントンは韓国に引き続いて日本もそこまで追い込む腹積もりであったが、韓国とはケタが違う日本経済の底力がそれを阻んだということだ。クリントンの対日経済戦争の背景には、日本から米国債を取り上げる狙いがあったという。その指摘が当たっているのであれば、共和党政権の間は鳴りを潜めていても、再び民主党政権となれば、おそらく日本経済クラッシュを目指した対日経済戦争が再開されることであろう。この情報を教えてくれた経済人は、「もし、ケリー、ヒラリー、と民主党政権が二代続けば、日本はもう終わりでしょう」と危惧しておられた。(P279-280)

(引用終了)

確かに、そういう見方もできると思います。

「韓国はすでにこの経済クラッシュを仕掛けられてIMF管理下で米国債を手放すこととなった」かどうかは、補足資料がなく確認が出来ませんでした。ですが、「韓国大手企業の大半は外国資本になっている」という点は、複数の書籍で見たことがありますので、大方そうなのでしょう。

ですが、共和党は、どちらかというと財界・大企業の意向を汲み、ゴールドマン・サックスやロックフェラーなどから献金を受けている事実からも、「民主党と(国際金融)資本が手を組んで」という主張にも少し違和感を感じます。

もう少し検証してみましょう。中立的に見ると(ウィキペディア)、

①民主党と共和党に本質的・根本的な差異はないとされる例は、

アメリカは政権が民主党でも共和党でも、議会の多数派が民主党でも共和党でも、
・戦争を積極的に推進した事例も、戦争に抑制的だった事例も、対話による外交と国際協調を推進した事例も、対話による外交と国際協調を無視した事例もあり、戦争と外交政策に関する考え方・政策・実績は、民主党の多数派と共和党の多数派に本質的・根本的な差異はない。
・軍事支出増加と軍事力拡大を推進した事例も、軍事支出増加と軍事力拡大を抑制した事例も、軍事支出削減と軍事力縮小を推進した事例も、軍事支出削減と軍事力縮小に反対した事例もあり、軍事支出増加と軍事力拡大、軍事支出削減と軍事力縮小に関する考え方・政策・実績は、民主党の多数派と共和党の多数派に本質的・根本的な差異はない。
・人権保護を推進した事例も、人権保護を無視した事例も、人権侵害を推進した事例も、人権侵害を抑止した事例もあり、人権と人権政策に関する考え方・政策・実績は、民主党の多数派と共和党の多数派に本質的・根本的な差異はない。
・環境保護を推進した事例も、環境保護を無視した事例も、環境破壊を推進した事例も、環境破壊を抑止した事例もあり、環境政策に関する考え方・政策・実績は、民主党の多数派と共和党の多数派に本質的・根本的な差異はない。
財政政策に関して、民主党の多数派と共和党の多数派の考え方・政策・実績に本質的・根本的な差異は無い。政府の予算・収入・支出の絶対額と分野別の比率、年度と累積の財政収支のGDPに対する比率の増減は、時代や国内・世界の状況に影響を受け変動する。

②ある程度の傾向が見られる例としては、

・産業・経済・貿易・投資への政府の監視・管理・介入・規制、規制に対する違反行為の処罰に関して、民主党の多数派は比較的に積極的であり、共和党の多数派は比較的に抑制的であるが、比較上の傾向であり絶対的傾向ではない。
・所得水準が高いかまたは多大な財産を持つ富裕層と社会的影響力が大きい大企業に関する累進性が高い課税・増税と貧困者に対する所得再分配の増加、貧困者に対する行政の支援・救済、法人の事業で算出される付加価値の労働分配率の増加に関して、民主党の多数派は比較的に積極的、共和党の多数派は比較的に抑制的であるが、比較上の傾向であり絶対的傾向ではない。
・社会保障、社会福祉、医療、雇用、職業訓練、教育などの政府の行政サービスに関して、民主党の多数派は拡大・増強に比較的に積極的、共和党の多数派は拡大・増強に比較的に抑制的、共和党の多数派は貧困者を例外として、市民の自己決定を尊重する政策であるが、比較上の傾向であり絶対的傾向ではない。
・妊娠中絶の自由、同性愛者の法律婚、生命科学・技術を利用した生命の創出・改変のための人為的操作に関して、民主党は比較的に寛容的、共和党は比較的に抑制的である。

③では、歴史を振り返って、戦争と民主党・共和党はどのような違いがあるのでしょうか?

共和党政権が外国との戦争を開始した事例は、1898年の米西戦争、1898年-1901年のアメリカ-フィリピン戦争、1902年のコロンビア・パナマ侵攻、1912年-1933年のニカラグア侵攻、1906年-1909年のキューパ侵攻、1970年のカンボジア侵攻、1970年のラオス侵攻、1983年のグレナダ侵攻、1986年のリビア空爆、1989年のパナマ侵攻、1991年の湾岸戦争、1991年-1992年および2001年-2003年のイラク空爆、2001年-現在のアフガニスタン侵攻、2003年-現在のイラク戦争(第二次世界大戦以後の武力行使は1991年の湾岸戦争、1991-1992年および2001年-2003年のイラクへの空爆以外は国連安全保障理事会の承認がない武力行使)
民主党政権が外国との戦争を開始した事例は、1846年-1848年の米墨戦争、1914年のメキシコ・タンピコ侵攻、1915年-1934年のハイチ侵攻、1916年-1924年のドミニカ共和国侵攻、1917年-1918年の第一次世界大戦、1918年-1919年のシベリア出兵、1941年-1945年の第二次世界大戦、1950年-1953年の朝鮮戦争、1961年のキューバ侵攻・ピッグス湾事件、1961年-1973年のベトナム戦争、1993年-2000年のイラク空爆、1995年のボスニア・ヘルツェゴビナ空爆、1998年のスーダン空爆、1998年のアフガニスタン空爆、1999年のコソボ空爆(第二次世界大戦以後の戦争は1950年-1953年の朝鮮戦争、1993年-2000年のイラク空爆以外は国連安全保障理事会の承認がない武力行使)
(アメリカ独立戦争、第二次米英戦争、アメリカ先住民との戦争、アメリカ南北戦争、外国への治安維持部隊の派遣を除く)

④以上を非常に簡単にまとめると、

アメリカは、民主党・共和党のいずれであっても、政治的・経済的・軍事的な利益と、他国に対する優位性の獲得・拡大・保護という現実的利益の追求を行ってきた

ということが出来るでしょう。

引用元:ウィキペディア 民主党 共和党

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以上を総括すると、

・アメリカが負う世界一の対外債務を消滅させたいというインセンティブは、概念上は、民主党のみならず共和党にも働く。
・したがって、経済戦争の一環として、日本経済クラッシュを仕掛ける可能性は、概念上は、民主党のみならず共和党にもありうる。
・民主党でも共和党でも、そのような日本に対する動きに対しては、警戒を怠ってはならない。

ということなのでしょう。
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by kanconsulting | 2007-02-26 00:35 | 経済状況
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