(1)「また損をさせられる一般投資家」からの卒業 世界株式の急落への対処方法
先日のエントリー「チャイナ・ショック再び 世界同時株安 二度ある調整は三度ある 一般投資家はまた損をさせられる」のコメント欄から転載します。 (開始) Commented by welpal at 2007-03-07 23:27 x はじめまして。いつも参考にさせてもらっています。 今回の暴落で、世界の株式市場(特に中国の株式市場)がバブル崩壊に非常にセンチメンタルになっていると感じました。 中国株価指数を、http://www.translink.co.jp/stock/ で見てみましたが、 過去1年で、上海総合は2.32倍、上海Bは2.25倍、深セン成分は2.34倍、深センBは1.78倍と、急激に株価が上昇しています。2006年1月頃までは、のんびり株価が推移していましたが、この後急激に株価が上昇し、あきらかなバブルを形成しています。 チャートを見ると、日本のバブルの頃の株価にそっくりです。特に、私は今年の1~2月がピークのように見えます。 そのため、市場はバブル崩壊に非常にセンチメンタルになっていて、今回のようなちょっとしたきっかけで、暴落してしまうのだと思います。 また、上記サイトで月足チャートを一覧すれば、今回の暴落と呼ばれた下げ幅は、まだまだ小さく、本格的な暴落の序曲のように思えます。 カンさんやここに読まれている方たちは、このバブルの今後をどのようにお考えでしょうか? --- Commented by kanconsulting at 2007-03-08 09:36 x welpalさん コメントありがとうございます。 今回が底になるのか、まだ今後二番底を形成するのかは、わかりません。ちなみに昨年は、1月と5月で2つの底を形成していました。良く言えば再調整、悪く言えば振り落としです。 ですが、過剰流動性がシュリンクしていく中で、調整が一巡すれば、いったんは落ち着くのだと思います。 「質への逃避」と言っても、良質な投資先はそれほどあるわけではありません。リスクマネーは、まだエマージングを物色するのだと思います。 さて、中国B株は、このブログでは「お勧めしておりません」。A株などは、狂気の沙汰です。中国への投資で意味があるのはH株だけです。くれぐれもご注意ください。 ちなみに、私は今回の調整で、本日まで、「ポジションを全く触っていません」。文字通りのほったらかしです。株安も、円高も、横目で涼しく見ていただけです。「また、ポジションを膨らませた一般投資家が、振り落とされるだろうな」というのが感想です。 このブログでは、何度も繰り返し主張していますが、大事なことなので何度も書きます。 『投資の前に、まず、ファイナンシャル・リテラシーを身につけてください。市場の圧倒的な力から、自分を守る方法は、それしかないのです。』 (終了) では、調整(急落)にあたっては、どのように対処すれば良いのでしょうか?過去の記事のコメント欄から転載します。 (開始) 「投資の基本と、BRICSへの姿勢 キャリートレードの解消・投売りが一巡するまで調整は続く」 Commented by BRICS投資家 at 2006-06-13 14:00 x ところで、私は今回のBRICS株調整で胃もキリキリ痛む毎日です。 ”今回の投売りが一巡するまでは、続く”なる記述がありますが、ちなみにkanさんはどのぐらいのスパン(一ヶ月?)を考えておられますか。推測でかまいませんので教えていただければ幸いです。 Commented by kanconsulting at 2006-06-13 22:59 x 調整が終了する時期はわかりません。これは、しっかりと場帳をつけて、感覚でつかんでいただくしかないと思います。 胃が痛むということは、ヤラレ玉を抱えていてそれが心理的に耐えられないということですから、ポジションをすべて決済してゼロにする(仕切りなおし)というのも必要なことと思います。 Commented by BRICS投資家 at 2006-06-14 00:24 x ”ポジションをすべて決済してゼロにする”とは、今の私の所有株を適当な値で売却する、損きりということをおっしゃているのでしょうか? Commented by kanconsulting at 2006-06-14 00:36 x ご指摘のとおりです。下げのナンピンは、精神的にも資金的にも余裕のある場合にのみ許される相場手法です。いずれかに余裕が無いなら、損切りしかありません。 だから、昔から「満玉張るな」という格言があります。 (終了) 「急落があれば、必ず損切りせよ」と言っているのではありません。非常に簡単に言うと、メンタル面と、資金面の、両方の余力を持って、ポジション操作をしてください、ということなのです。 そのためには、「年に1~2度は、調整があるかも」と考えて、「その時に、どの程度なら耐えられるか」を自問自答することが必要なのです。「調整には耐えられない」と思ったなら、妥当な程度までポジションを落とす(投資額を減らす)ことです。 ファイナンシャル・リテラシーがある「大人の投資家」は、高騰し過熱した相場よりも、下落して落ち着いた相場を好みます。 なぜならば、過熱した相場では ・売らないなら、どこが天井か気になるので、気が休まらない ・一般的には、お祭りになり、距離を置きたくなる ・「洗練された投資家」は、天井で売り抜けることは不可能と知っているので、適当なところで売り抜けて、あとは休憩となる 下落した相場では ・割安なバーゲン品が出るため、「投資の安全域」(ベンジャミン・グレアム)を確保できる ・恐怖心や、過度のリスクを許容できなくなった叩き売りが出る ・つまり、欲しい投資対象を安値で買える、絶好の買い場となる もっと簡単に言うと、「大人の投資家は、相場が高くなると、売りたくなる。安くなると、買いたくなる」ということです。 ですが、「一般投資家は、相場が高くなると、買いたくなる。安くなると、売りたくなる」というのが、実情ではないでしょうか?その、基本的なところを、根本的に変える事が必要なのです。 --- (2)今後のエマージング あくまで、ご参考に、小職の私見を書いておきます。 上のほうで「過去1年で、上海総合は2.32倍、上海Bは2.25倍、深セン成分は2.34倍、深センBは1.78倍と、急激に株価が上昇しています」と引用しましたが、非常に簡単に書くと、「中国やエマージングの経済成長率が高くても、経済規模が2~3倍になったわけではない。実態を超えたオーバーシュート」なのです。 実態を超えた相場が調整するのは自然なことで、特段に驚くには値しません。 もう一度書きますが、今回が底になるのか、まだ今後二番底を形成するのかは、わかりません。ですが、調整が一巡すれば、実態に見合った相場になり、いったんは落ち着くのだと思います。 --- (3)為替と変動感覚 為替についても、過去の記事から転載します。 (開始) FX(外国為替取引) ドボンしないために Commented by 高レバ at 2005-12-17 08:21 x 最大限の高レバのせいで、追証・追証、それでも間に合わず最後に強制決済されました。 ドルならまだまし。NZ・豪ドルで運用していた為一瞬でした。 +200万が、-200万へ・・・。自己資金じゃない分、余計いたし。他の評価損益を合計すると1500万は溶けた、地獄の2週間でした・・・。立ち直れん・・・ --- キャリートレード通貨に乗っかって、積極的に為替差益ねらいやスワップかせぎをしようとする場合は、次の点に留意する必要があります。 (共通) ・場帳、玉帳をつけて、変動感覚をやしなうこと ・余裕資金で、少しずつ買っていく(売っていく)こと ・恐怖心や射幸心をほどほどにおさえ、冷静に相場を見ること ・押し目でナンピンし、平均値を有利にすること ・一発狙いはお勧めしません (為替差益ねらい) ・高レバレッジでもかまわないが、その場合は損きりポイントは必ず入れておくこと ・損きりポイントは、購入時より1~2円 ・損きりポイントは、絶対に下げないこと ・逆に、損きりポイントを上げて、利益確定ポイントに変更するのは推奨 (スワップ狙い) ・あらかじめ、過去最高の円高がありうるものとしてレバレッジを低めにすること ・多少の相場変動には動じないこと、デイトレードはしない ・計画的ナンピン推奨、利乗せはほどほどに この中で重要なものを3つあげるとすると 「変動感覚」 「損きりポイント」 「低レバレッジ」 です。 「変動感覚」は、林輝太郎の本などにくわしく掲載されています。小職は、林輝太郎の本を読む前から、 ・大きなポジションをいきなり立てるのは心理的にギャンブル性が高く、うまくいかない ・恐怖心を克服するために、小さなポジションを少しずつ立てることが、精神的に楽 ・そうすることで、動揺することなく、「上がった」「下がった」を冷静に受け止めることが出来た ・だから、相場が下げても安心して長期投資が出来る ・有利な場面が来れば少しずつ買い増しが出来る と思っていました。 皆様にも「変動感覚を身につける」ことをお勧めします。 (終了) (4)では、どうすればいいのか 「では、どのようにすればいいのか?」という質問が来ると思います。それに対しては、小職の答えは一貫しています。 『まず、最優先で、ファイナンシャルリテラシーを磨くこと』です。 ファイナンシャル・リテラシーについては、過去の記事を参照してください。 「ファイナンシャル・リテラシー」 「「儲かる株の本」「儲かる外貨取引の本」にはご注意(ファイナンシャル・リテラシー)」 「「儲かる株の本」「儲かる外貨取引の本」にはご注意(2)」 「「儲かる株の本」「儲かる外貨取引の本」にはご注意(3)」 「投資本の9割はクズ~「儲かる株の本」「儲かる外貨取引の本」にはご注意(4)」 「【ご注意】 「国家破産・財政破綻対策」系の情報商材への注意喚起」 「「買いを急がせるものにロクなものはない」 投資には見送りの三振はない ファイナンシャル・リテラシー」 「「近未来通信」営業停止 詐欺的商法の「甘い言葉と派手な広告」とファイナンシャル・リテラシー」 次に、長期投資、世界投資、分散投資について学ぶことです。この「なぜ短期ではなく長期なのか、なぜ日本国内だけではなく世界なのか、なぜ集中ではなく分散なのか」という、「長期・世界・分散」という、3つのキーワードを理解してください。 「経済状況の発展段階説」 「長期国際分散投資とETF ~ なぜ外国株式ETFなのか?」 「投資の基本と、BRICSへの姿勢 キャリートレードの解消・投売りが一巡するまで調整は続く」 「世界分散投資には、上場投資信託(ETF) 海外証券取引所にダイレクトアクセス」 「海外カントリーETFへの投資 PERとPBR」 その次に、株式投資の原理、メリットとデメリットを理解してください。 「株式からのリターンの根源~なぜ株式で資産が殖えるのか?」 「「インフレに勝つ資産運用」とは? 「株式長期投資のすすめ/ジェレミー・シーゲル」に見る」 「バフェットが語る「インフレに勝つ株式投資」 究極のファンダメンタル投資」 「貯蓄から投資へ!」と簡単に言いますが、日本株式はその対象として必ずしも適切ではありません。その理由と対処方法を理解してください。 「日本株式投資の真実」 「会計監査のはらむリスク ~日本市場にひそむ悪」 「誰がカモか? ~日本株は投資か?投機か?」 「国家破産に勝つ株式投資(1) 『ある特別な方法』とは?」 「国家破産に勝つ株式投資(2) 日本株式の3つの投資法」 「国家破産に勝つ株式投資(3) 3つの投資法の特徴」 投資ブログ「国家破産・財政破綻に勝つ資産運用」で紹介している参考図書も参照ください。 --- (「変動感覚」についての参考書籍) 以前から紹介しています株式投資の本ですが、基本精神はFXにも通じるものと思います。リンクの張ってあるものは、アマゾンから購入可能です。アマゾンで購入すれば、3000円以上は送料無料です。 (入門) 「株式上達セミナー これで成功は約束された/林輝太郎」 「株式成功の基礎 10億円儲けた人たち/林輝太郎」 (初級) 「あなたも株のプロになれる 成功した男の驚くべき売買記録/立花 義正」 「自立のためにプロが教える株式投資/板垣浩」 (中級) 「うねり取り入門 株のプロへの最短コース/林輝太郎」 「ツナギ売買の実践/林輝太郎」 (上級) 「株式サヤ取り」の参考書籍 「売りのテクニック/林輝太郎」 投資ブログ「国家破産・財政破綻に勝つ資産運用」で紹介している参考図書も参照ください。
by kanconsulting
| 2007-03-08 10:47
| 資産保全一般
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