三角合併解禁と株式交換 グローバルマネーによる収奪 外資と年次改革要望書 グローバリズムに立ち向かう

本日(2007年5月1日)より、改正会社法の一部が施行され、いわゆる「三角合併(さんかくがっぺい)」が解禁となります。

三角合併とは、存続会社の親会社の株式を、被合併会社の株主に交付することによって行う、会社の吸収合併です。外見上は株式交換に近いのですが、実質的には合併に近いとされています。

これまでも述べているとおり、資本への投資(直接投資と株式投資)が、富を生み出すのだと思います。逆に、資本を抑えられるというのは、経営権・将来利益の分け前を握られるということであり、簡単に言うと生殺与奪を握られるということでもあります。

「だから何だ。何か問題があるのか。規制緩和で資本の流動化を加速させ、外資も呼び込むことで、日本経済の活性化につながるのではないのか。外資を全部悪者のように言うな。」と思われる方もいるかも知れません。

確かに、すべての外資を排除すべきとは思いませんし、日本の経済発展に寄与することとなる外資導入も当然ありえるでしょう。私は、決して外資アレルギーではありません。むしろ、その金融能力を高く評価しているのです。アメリカ系金融機関の、貪欲ともいえる富の創造能力は、日本人をはるかに超えています。日本人の仕手筋などは可愛いものだと思います。

ですが、その裏側にある、強欲思想・拝金主義(ラチオ、レイシオの思想。合理主義とも)は、「いかにして合法的に収奪するか。どうすれば周辺国から上げる利益を最大化できるか。」という考え方も生み出します。日本人は、こういった強欲思想に向かい合うにしては、あまりにもピュアすぎるのです。

以下のような意見もあります。

>「上げるのも、下げるのも、資本を国際政治の権力であるというスタイルの人々の考え次第、スキャンダルと戦争を使って大きく上下できる以上はそのようになると考えてそう伝えました。上下がわかっていれば簡単に利益をあげることができます。」
>「小泉改革はデフレで株価を下げ、外資に低金利でそれを買わせる。株価は上昇する。次に三角合併によって、100%に整理する。そして、転売。そのように既に決まっていたように考えています。理由は同じようなことがIMF韓国で行われたからです。」

グローバルマネーは、国際政治の武器です。問題なのは、グローバリズムが国際政治・経済と結託して、すべてを収奪して飲み込まないと気がすまないことです。後にはペンペン草も生えません。

本日から三角合併が解禁されますが、すでに第一弾の仕込みは済んでいるものと見ています。そして、資本(三角合併の解禁)、労働(労働契約法制・ホワイトカラーエグゼンプション)、郵政においては、「年次改革要望書(規制改革要望書・対日年次要求書)」どおりに、日本はすでに堀を埋められました。後に残る堀はどこですか?

そう、憲法9条です。

関連した過去のエントリーも参照ください。

「経団連・法人税と格差社会 グローバリズムとトリクルダウン効果 ホワイトカラー・エグゼンプション(3)」

「ジョセフ・スティグリッツと内橋克人の「グローバリズムと格差社会」 経済財政諮問会議と労働ビッグバン」

「アメリカ民主党と共和党 日本経済クラッシュによる米国債の棒引き 「二つのアメリカの世界戦略/深田匠」」

「バブル崩壊の見破り方(2) 吉岡元忠・関岡英之が語る1990年の株価崩壊の口火」

「書籍紹介 国内の構造的問題と、国際関係・アメリカ問題 ~特別会計と年次改革要望書」



(引用開始)

三角合併解禁、買われる日本企業の条件は?

来る5月1日、外国企業による三角合併を用いた日本企業買収が解禁される。さて、どの程度のインパクトがあるのだろうか。
正直なところ、これで日本企業が、どんどん外資に買収されるような事態になるとは思えない。三角合併自体は、買収される側が買収に合意した後の手続きの選択肢が、1つ増えただけだ。
また、東証一部の平均PER(株価収益率)が22倍強になる日本企業の株価は、必ずしも安いとは言えないし、買収の際には、大体3割くらいの上乗せ価格(「コントロール・プレミアム」と呼ばれる)が必要だから、単純に日本企業を買って連結しても、妙味がない。外国の大企業の時価総額がいかに大きいとはいっても、彼らとて買収後に、資本効率が下がるような企業買収をやりたくはないはずだ。よほどの「お買い得」株価の企業が残っていれば別だが、日本企業を買収するにあたっては、何らかの「魅力的なストーリー」が必要だ。
どんな業種の企業が買収対象になるかを考えてみよう。
食品や薬品などは、日本企業の時価総額が世界の大企業に対して小さく、業界再編が必要なので、外資の買収対象になりやすいと巷間言われている。確かにグローバルな市場での競争を考えると、研究開発や広告などのマーケティング費用、原料の調達などにあって、ある程度の規模を確保しないと、競争力のある独特の製品を持っているのでないと、対抗しがたいという面はある。
ただし、こうした業種の日本企業の側に、規模拡大の必要性があるとしても、買う側から見るとどうなのか。日本市場での販路の確保などに魅力がある場合を除くと、株価が十分安いということでなければ、それほどの魅力は無いかも知れない。想像力をたくましくするなら、例えば日本のビール会社を外国の酒メーカーが買って、ビール会社の保有不動産などを売却して買収コストを確保し、酒類販売の販路を安く手に入れるといった戦略は、あるかも知れない。
世界的な再編が進んでいる鉄鋼はどうか。実は、三角合併の解禁を1年延ばした理由を、その1年間に起こったことから推測すると、買収対抗策に特に熱心だったように見えるのが大手鉄鋼メーカーである。1つの仮説だが、財界への影響力が大きな鉄鋼メーカーが、買収防衛策のために時間稼ぎをしたかったのではないか。
世界の鉄鋼業界再編の中心にいるミタル・スチールなどは、まだ日本の鉄鋼メーカーを買いたいと思っているのかも知れないが、現在のような調子で、素材需要が続くのかということが気になる。目下業績は絶好調なのだが、それゆえに個人的には、魅力を感じない。
ところで企業が巨大化すると、売り手・買い手両面で価格交渉力が強まるが、これによって発生する利益は独占利潤そのものだ。世界市場での独占・寡占という問題をどう考えるのかは、今後の世界経済にとって大きな問題だ。
買収が功を奏するためには、買う前と買った後とで、買収対象となるビジネスの価値が、大きく変化することが必要だ。そう考えると、豊富な潜在力を持ちながら、これが現在十分に活かされていないような会社に魅力がある。逆説的に聞こえるかも知れないが、現在、経営がまずい会社こそが、支配目的で買収するにはいい会社といえるだろう。
たとえば、いくらか意表を突く狙いとして、「重電」あるいは「総合電機」と呼ばれるような業種はどうだろうか。特許を含めて豊富な技術を持っているし、技術系の優秀な人材を多数抱えている。加えて、不動産などの資産も多い。
しかし、プロダクトのデザインやマーケティングが洗練されていないおかげで、消費者向けの市場でもう一つ伸び悩んでいる。また、多数の事業部門、あるいは子会社を持っているが、この状況はちょうど「選択と集中」の逆を行っており、非効率的だ。PBR(株価純資産倍率)から見ても、株価は安い。
はっきり言って、最大の弱点は経営にある。事業ポートフォリオの再編と、プロダクト・デザインやマネジメントの方法の変更で、すっかり生まれ変わる可能性があるのではないか。大手であっても時価総額は2~3兆円と、世界企業にとっては、買えないサイズではない。テレビ番組の提供の表示などで、こうした会社が持つ子会社・関連会社の名前が延々と流れる様子を見ると、総合電機のグループ企業を再編すると面白いだろうなあ、と思わずにはいられない。
随分前の花形産業で、数年前にはすっかり斜陽産業の印象だった鉄鋼、造船、海運などが、華々しく復活し、株価も高い。かつて「ハイテク株」として名を馳せた総合電機が、大ブレイク(株価が3倍くらいになるような!)する可能性は、ないものだろうか。
総合電機に限らず、実際に買収されなくても、外資に買収されたつもりで経営改革が出来る会社は、面白い(出来ないから今の株価なのかも知れないが)。

読売新聞

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三角合併、国内企業の46%「懸念」 帝国データ調査

5月に解禁される三角合併について民間信用調査会社の帝国データバンクがまとめた国内企業の意識調査で、2社に1社が「期待よりも懸念の方が大きい」と考えていることが分かった。外資からの買収攻勢を受けるような事態に警戒感を強めているようだ。
調査は全国約2万社を対象に実施し、9736社から回答を得た。
「懸念が大きい」と答えた企業は46.4%、逆に「期待が大きい」と答えたのは7.9%。具体的な懸念としては、「大企業による寡占化」(52.4%)、「外国資本による買収攻勢」(45.9%)をあげる企業が多かった。ほかには「技術流出」(23.2%)、「雇用の合理化」(19.8%)という声もあった。
自社が属する業界の再編が加速するかどうかについては、「加速する」(34.7%)、「加速するとは思わない」(29.2%)に見方は割れた。小売業や金融業では「加速する」と見る企業が過半数を占めた。
三角合併は、外国企業が自らの株式を買収先の日本企業の株式と交換できるようにすることで企業買収をしやすくする仕組み。帝国データバンクは「解禁をきっかけに国内競争がより激しくなることにも不安感があるようだ」と分析している。

朝日新聞2007年04月23日

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「M&A(ジャングル)資本主義/小倉正男(東洋経済新報社・1785円)」

■株主重視で外資襲来防衛

2007年5月-。敵対的買収の始まりに続き、「三角合併」がいよいよ解禁される。つまり、外資企業による株式交換での日本企業買収が始まるのだ。三角合併成功の決め手は時価総額。外国企業は生き残りをかけて、M&A(企業の合併・買収)をテコに業界再編を繰り返し、トップ企業の時価総額は巨額化、日本企業を圧倒する。日本のM&A市場を一時期跋扈(ばっこ)した“ホリエモン”らとはスケールが違う。ということは、狙われたら最後、飲み込まれるしかない。
襲来する外資から逃れるにはどうする?「株主に顔を向けた経営こそが最大のM&A防衛策」と著者はいう。一般的にいわれるM&A防衛策であるホワイトナイトやポイズンピルではなく、株主、株価を意識した経営で時価総額を引き上げる、言い換えるとIR(投資家向け広報)活動を基本に安定株主を増やすしかないというわけだ。IRがうまいとか下手とかは単なるテクニカルな問題でしかない。増配、自社株買いに前向きで、あらゆる利害関係者にしっかりと説明する経営姿勢が重要と指摘する。

FujiSankei Business i. 2007/4/23

(引用終了)
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