個人向け国債 広告費10億円 販売額は7兆円 問題の本質は「個人向け国債」ではない

個人向け国債の売れ行きが、財務省の思うように伸びてはいないようです。
・国債は売りたい、売れてくれないと困る
・でも、「貯蓄から投資へ」ということで、株式市場にも個人マネーが流れ込んでほしい
ですが、個人資産に限りがある以上、そのどちらも、というのは無理な話です。

では、実際の数字はどうなっているのでしょうか?個人向け国債の販売高を見てみましょう。

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データ:財務省

このように、ここ3年間の実績は、7兆円前後の販売額のようです。
H16 6.8兆円
H17 7.3兆円
H18 7.1兆円

次に、個人向け国債は、国債発行額の中で、どのような位置づけになっているのでしょうか?

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データ:財務省

このように、中期債・長期債で、その7割を占めています。個人向け国債は、わずか3%前後となっています。

H18 内訳(%)
15年変動      5.9%
10年物価連動   0.8%
超長期債(10年超)12.0%
長期債(10年)   42.4%
中期債(2~6年)  29.2%
短期債(1年以下) 6.2%
個人向け国債    3.5%

将来的にも、5~10%で推移する計画となっています。確かに7兆円は巨額ですが、借換え債※を含めて年間140兆円以上にもなる国債の安定消化には心もとない数字です。さすがに国も、あまりに巨額の国債を個人に押し付けることは不可能だ、と思っているようです。

※2007年度の実績 (地方などは含まず)
借換え債         99.8兆円
新規財源債       25.4兆円
財投債(経過措置分) 7.6兆円
財投債(市中発行分) 11.0兆円
合計            143.8兆円

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国債問題の本質は、「個人向け国債(が売れないこと)」ではありません。ではそれは何でしょうか?

一言で言うと、これまでも何度も言っていることですが※、「巨額の国債を発行して需要を喚起したことは、将来の税金の先食いなので、かならずツケが回ってくる」ということです。本来であれば、身の丈に応じた財政運営が必要だったのですが、それを回避しておいしいところだけをつまみ食い、しかも増税は受けが悪くて断行できなかった、という過去の放漫財政にありそうです。

※過去のエントリーなども参照ください。(開始)

国債も同じです。つまりは需要の先食いですので、短期的には使えても、長期的には使えない手段なのです。長期的には、全体の財政規模のパイが大きくなることしか、財政規模をキープさせる方法はありません。
「公的長期債務の原因」

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バーロウの中立公題に言うように、「国債は、結局は国民に対する税金なのである」なのでしょう。
「日本国破産・国家財政破綻宣告」

(終了)

関連したニュースを掲載します。

(引用開始)

財務省、個人向け国債の販促に躍起

財務省は8日、個人向け国債の販売実績が高い金融機関と「国債トップリテーラー会議」の初会合を開いた。個人マネーが定期預金や投資信託などに流れ、国債の販売が低迷していることから、販売促進策を協議する目的だ。財務省は既に様々なてこ入れ策に着手しており、まずは13日から募集が始まる7月債でその効果が試される。(小野田徹史、宮崎誠)

中つり広告、ランキング…
会議では、金融機関の累積販売額のランキングが示された。大手銀行グループでは、みずほ銀行の1兆2080億円がダントツの首位で、三菱東京UFJ銀行の4392億円、埼玉りそな銀行の2701億円、三井住友銀行の2505億円が続く。財務省はランキングをインターネットで公表し、金融機関同士の競争を促す考えだ。
国債の広報予算も、2007年度は9億8800万円と06年度より2億円近くも増やした。9日以降、全国7都市の電車の中つり広告をジャックするほか、テレビCMを増やす。金融機関の店頭には、購入経験者の声を載せたパンフレットを並べている。
財務省が販売促進に躍起になるのは、最近の販売実績が低迷しているからだ。07年4月債の販売額は「固定金利型5年満期」「変動金利型10年満期」を合わせて1兆1805億円で、06年7月債(計2兆2243億円)の約半分に落ち込んだ。
個人向け国債は、日本銀行のゼロ金利政策で銀行の預金金利が0%近辺に張り付いていたころ、少しでも有利な運用先を求める個人の人気を集めた。しかし、06年7月のゼロ金利解除で市場環境は逆風に転じた。
景気回復を受けて長期金利がこの先上昇(債券価格は下落)するとの期待が高まり、今、国債を買うことの有利性は薄れた。
個人マネーは、国債に代わり投資信託などに流れ始めた。日銀によると、金融機関の保有分を除いた投信残高(元本のみ)は1月以降、前年同月比20%以上の高い伸びが続いている。
投信人気を受け、大手行は、投信や外貨預金とセットで定期預金に預け入れると、当初3か月の定期預金金利を年率換算で4~5%に優遇するサービスを展開している。07年4月債(変動金利10年)の年0・87%という金利にはかつてほどの注目を集める力がなかった。
郵政公社は07年度の投信の販売目標を1兆1000億円と06年度実績(5954億円)の約2倍に引き上げた。一方、07年4月債については、3100億円の販売計画に対し、実績は約6割の1953億円にとどまる。投信の販売手数料は約200円で個人向け国債の約4倍だ。より多い手数料収入が見込める投信の販売に軸足を移したとの見方がある。

個人向け国債
購入者を個人に限定した国債で1万円から買える。金利は直近の10年固定利付国債の市場金利に連動する。2003年の3月債から発売され、その後は毎年度4月債、7月債、10月債、1月債の年4回発売されている。「変動金利型10年満期」と「固定金利型5年満期」の2種類がある。

2007年6月9日 読売新聞

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個人向け国債、元本割れ解消へ


個人向け国債について、最終的な手取り額が払込額を下回る「元本割れ」を来年4月以降なくす措置を財務省が講じる。売れ行きが伸び悩む個人向けの販売促進に向け、買い手に安心感を与えるのが目的だ。1万円単位で解約でき、元本割れリスクがなくなることで銀行の定期預金の商品性に一歩近づく。
具体的には、満期前に換金する際の条件を見直す。個人向け国債は、変動金利型の10年物と固定金利の5年物の2種類あり、10年物は発行から1年間、5年物は2年間は換金できない。その後に途中換金すると、10年物は税引き前利息の直近1年分、5年物は直近2年分を「中途換金調整額」として差し引かれる。換金した人が実際に受け取れる利息は税引き後(税額は利息の20%)の金額なので、早期に換金すると元本割れが生じる場合があった。
この「調整額」を税引き後の利息額にすることで、元本割れをなくす。これに伴い、取り扱い金融機関のコンピューターシステムを修正する必要があるため、新制度は来年4月以降の中途換金から適用する。

アサヒコム 2007年06月09

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10億円かけ個人向け国債PR 全国で車内「広告ジャック」 財務省

財務省が個人向け国債のPR強化に乗り出した。より幅広い層への浸透を目指すため、2007年度は過去最大となる約10億円を広告予算に計上。電車や地下鉄など公共交通機関の車内を独占する「広告ジャック」といわれる新手法の大規模広告も近くお目見えする予定だ。
同省はこれまでも電車の中づり広告を出していたが、今回はこれを大幅に拡充。9日の札幌、福岡を手始めに、全国7都市で「広告ジャック」を展開する。都内では17日から、この手法を取り入れた車両がJR山手線を走る。
新たな車内広告に合わせたテレビCMも9日から始める。サラリーマン、主婦、団塊世代の夫婦が登場する3種類を作成。1回の放送時間をこれまでの30秒から15秒に短縮することで、放送回数を増やす。また、パンフレットの内容も購入者の体験談を加えるなどして充実させる。
財務省がPRに力を注ぐ背景には、国債の安定消化に欠かせない個人保有の比率を拡大したいからだ。しかし、直近の4月分の販売実績は1兆1805億円と、ピークの05年4月からほぼ半減。「国債より高利回りが期待できる投資信託の販売に金融機関が力を入れているのが響いている」(理財局)という。
このため同省は、さらに個人が国債を購入しやすくなるよう、08年4月から償還前に途中換金しても、元本割れしない新たな仕組みを導入する方針だ。

FujiSankei Business i. 2007/6/6

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個人向け国債販売てこ入れ財務省 上位金融機関公表へ

財務省は8日から、個人向け国債の販売額上位の金融機関をホームページ上で公表する。個人向け国債の販売額は、競合する定期預金の金利が上がってきたため減少傾向だ。あまり熱心に個人向け国債を売っていない機関に販売努力を促す狙いもある。
「同じ業態で同じような規模の金融機関で販売額に100倍もの差がついた事例もある」と財務省幹部。証券会社や銀行、信用金庫といった業態ごとに、原則として直近2回の販売額が多かった1~数社を、半年に1回公表する。次回は今年9月ごろの予定。
個人向け国債は03年3月に登場。超低金利で預金金利がほとんどつかない状況を追い風に、販売はおおむね好調だった。だが、日本銀行による利上げに伴い預金金利が上がり始めると販売額は減り、今年4月発行分は1兆1805億円とピークだった05年4月分に比べほぼ半減。金融機関側も、投資信託を販売して得られる手数料の方が手厚いため、販売努力をシフトさせているという。
今年度末の国債発行残高は547兆円に膨らむ見通し。財務省は国債の買い手を広げようと、国内の個人や海外投資家への販売に力を入れている。


asahi.com 2007年06月05日

(引用終了)
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by kanconsulting | 2007-07-03 01:46 | 経済状況
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