アメリカ景気減速か サブプライムローン破綻 世界景気減速・世界同時株安ふたたび? 日本国破産の遠因か

4ヶ月ほど前の記事で、次のように述べました。

(開始)

「「2011年金利敗戦」とサブプライムローン・デリバティブ破綻 国家破産のための保険を」

そして、アメリカに目を転じれば、サブプライムローン(サブプライムモーゲージ。日本で言う、住宅金融公庫のようなもの)の破綻が影を落とします。アメリカの景気は減速するでしょう。信用創造の縮小によって、50兆ドル(5000兆円)とも言われる巨額のデリバティブ(派生金融商品。非常に簡単に言うと、レバレッジの効いた権利取引)の焦げ付きも懸念されるところです。

このように、世界経済と日本の財政も、来年が見えない状態になってきています。

(終了)

サブプライムモーゲージ、サブプライム・ローンとは、簡単に言うと、信用度の低い個人(借り手)を対象にした高金利の住宅融資のことです。現在、アメリカでは、金利上昇を背景に、サブプライムローンの延滞や差し押さえが急増しているということです。そういった状況の中、アメリカの格付け会社であるS&Pとムーディーズは、「サブプライムローンを担保にした証券」を、大量に格下げすることとなりました。

「サブプライムローンを担保にした証券」とは、資産担保証券(ABS)ということです。サブプライムローンだけではなく、その他のローンや債券と混ぜ合わせることで、計算上はそれら単体よりもリスクは減少するということで、格付けが高い証券にできていたのです。

サブプライムの規模は、以下のように推定されています。
・米国の住宅ローン残高は約10兆ドル(約1200兆円)
・このうち、サブプライム向けは約10%=約1兆ドル(約120兆円)
・このうち、焦げ付きにつながる延滞率は15%程度=約1500億ドル(約18兆円)

金額的には、それほど巨額というわけではありませんが、問題点はいくつかあります。
・そういった証券を多量に購入しているヘッジファンドの信用不安・経営悪化
・こうしたヘッジファンドを通じて、世界的に影響を及ぼす可能性
・もちろん、米住宅市場の減速を招く可能性
・普通で考えて、金利上昇期には高金利ローンの延滞率は上がり、それによる投売りが住宅価格の下げ圧力となることから、さらに損失は膨らむ可能性

一例として、サブプライムモーゲージ証券投資で損失をだしたヘッジファンドに、ベアー・スターンズ投資銀行が32億ドルの融資(といえば聞こえはいいが、実質上の救済)をすることになっています。LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)と同規模の損失補てんとなっています。

この勢いで、現在の延滞率に相当する約1500億ドル(約18兆円)のマネーが消えると、どうなるでしょうか?世界景気の減速は避けられず、世界同時株安を再び見ることになるでしょう。

さて、ウォーシュFRB理事は、以下のような見解を示しています。
・サブプライムモーゲージ問題は、連鎖的破綻・金融危機などのシステミックリスクにつながらない
・しかしながら、サブプライムモーゲージ問題に起因する、さらなる損失があることは確実
・サブプライムモーゲージ問題は、まだ底打ちしていない可能性がある

FRBのメンバーが「連鎖的破綻・金融危機が起こる」というと、それは自己実現型予言になってしまいますので、口が裂けても言えないはずです。ですので、「連鎖的破綻・金融危機はない」というのは、安心のためのポジショントークですので、それを100%真に受けることはできません。

また、アメリカは危機に際しては、挙国一致して対処に当たるという特徴があります。ですので、どんな手を使っても、たとえば日本からカネを引っ張ってでも、この穴を埋めにくるかもしれません。

現実問題として、金額的には、サブプライム・モーゲージ問題は、直接には金融危機にはつながりにくいと思います。ですが、このような信用創造の縮小は、過熱気味の世界景気に、ボディーブローのように効いてきます。それを先送りするかのようにジャブジャブに供給される円とドルですが、それとてもある一定の臨界点を超えると、巨額のデリバティブの焦げ付きもありうるのではないでしょうか。

今後とも注視が必要だと思います。

(引用開始)

サブプライム担保証券、米で大量格下げ・ヘッジファンドに打撃

【ニューヨーク=山下茂行】米格付け大手は10日、信用力の低い個人(サブプライム)向け高金利型住宅ローンを担保にした証券の大量格下げに動き始めた。サブプライムローンの延滞や差し押さえが急増しているためで、同証券に投資するヘッジファンドの経営悪化や米住宅市場の一段の減速を招く可能性もある。
格下げ対象はサブプライムローンの元利金を投資家に支払う証券化商品で「住宅ローン担保証券(RMBS)」の一種。ムーディーズ・インベスターズ・サービスは当初発行額で52億ドル相当の格付けを引き下げた。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も120億ドル相当を格下げする方向で見直す。

日本経済新聞

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S&P、120億ドル相当のサブプライムRMBSを格下げ方向に

ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)サブプライムローン(信用度の低い借り手への融資)市場の危機拡大が、米2大格付け会社を巻き込んでいる。
スタンダード&プアーズ(S&P)は10日、米国のサブプライムローンが担保となっている、総額約120億7800万ドル相当の住宅ローン担保証券(RMBS)の信用格付けについて、格下げの可能性があることを示す「クレジットウオッチ・ネガティブ」に指定したと発表した。対象となるRMBSのクラスは612に上る。
S&Pはクレジットウオッチに指定した理由として、担保となっているサブプライムローンの債務不履行が膨らんでいることを挙げている。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスも10日、399のRMBSを格下げしたと発表。さらに32のRMBSについて格下げの方向で見直すとした。担保となっているローンの不履行率が予想を上回っていることを理由として挙げた。
これらの発表を受け、米住宅市場の低迷はさらに深刻化し、回復には少なくとも数カ月かかるとの見方が広がった。株式や格付けの低い債券を売る動きがみられ、米株式市場のダウ工業株30種平均は10日、前日比148ドル27セント(1.09%)安の1万3501ドル70セントで引けた。

日本経済新聞

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サブプライムローン  米焦げ付き続発 ファンドに信用不安/「日本への影響限定的」

米格付け会社が高金利型(サブプライム)住宅ローンを担保とした債券の格付けを引き下げると発表したことで10日のニューヨーク株式市場は大幅に下落しました。サブプライムローンの焦げ付き問題が再燃したことにより、関連の投資ファンドが経営危機に陥り解散を余儀なくされたり、金融当局が監視を強めているとの情報もあります。問題の根源はどこにあり、なぜ今再燃しているのでしょうか。
サブプライムローンは、所得や信用力の低い人向けの消費者金融の一種で、自動車や住宅などを担保に年率20~30%の高金利で貸し出すものです。米国では総世帯の約4割が年収2万5000ドル以下で、サブプライムの対象になるといわれ、市場が非常に大きいのは確かです。
問題となっているのは住宅担保融資ですが、米国の失業率は歴史的な低水準にあり、景気も悪くないなかで、借り手が返済不能に陥るケースがそれほど多く発生するのは腑に落ちません。
実は、サブプライムローンは、低所得者の住宅購入だけに使われているわけではありません。将来の値上がりを期待して、高級リゾートホテルや別荘を買いあさる個人投資家の利用も多いという実態があります。米国は住宅バブルが続き、こうしたリスクの高い投資に多くの個人が参入していたわけです。住宅価格の上昇率が鈍っただけで、これら“にわか投資家”が返済不能に陥っているのです。
サブプライム問題は、実際どの程度の規模なのでしょうか。米国の住宅ローン残高は約10兆ドルで、このうちサブプライム向けは約10%とみられ、焦げ付きにつながる延滞率はその中の15%程度といわれています。金額的なリスク規模は意外に小さい可能性があります。また、住宅価格が下落したわけではなく、上昇率が鈍化した程度です。このため、3月には問題が沈静化していました。
ここにきて再燃したのは、サブプライムローン債権を証券化した金融商品の購入先に対する不安からです。これら金融商品の格付けが大幅に引き下げられたこともあり、多くを購入しているヘッジファンドなどに信用不安が広がったわけです。ファンドには世界中の金融機関、投資家が資金を拠出しており、影響が国際的な広がりを見せる可能性もあります。
日本にも波及するのでしょうか。大和総研の近藤智也エコノミストによると「サブプライムローン債権を1割程度組み込んだ金融商品を購入している機関投資家は一定数存在する」といいます。ただし、サブプライムローン債権だけで運用しているわけではなく、「日本への影響は限定的」とみています。(高山豊司)

FujiSankei Business i. 2007/7/12

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米サブプライム問題に揺れる市場、損失表面化には時間

[東京 12日 ロイター] 米国のサブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手への住宅融資)問題の再燃で、国内外の金融市場は不安定な動きにさらされている。米金融当局者は同問題がシステミックリスクにつながることはない、との立場をとっているが、今後、関連したファンドの損失が表面化する可能性もあり、市場は依然リスク要因とみている。
足元で好調な成績を出すヘッジファンドの中にも先々、パフォーマンスが低下するところも出てくることも考えられる。

<ヘッジFのパフォーマンスは良好、住宅セクターに空売りも>
米サブプライムモーゲージ問題を抱えながら、ヘッジファンドのパフォーマンスは、実は良好に推移している。ヘッジファンドの運用成績を地域別にデータ化しているユーリカヘッジの地域別ヘッジファンド指数は、12日現在、ユーリカヘッジ・グローバル・インデックスをはじめ、全ての地域で年初来プラスになっている。
最もパフォーマンスが高いのは新興国市場で15.63%、次いで東欧・ロシアの13.70%と、新興国市場がけん引している格好だ。
また、クレディ・スイス/トレモント・ヘッジファンド・インデックスによると、同指数のパフォーマンスは年初来で7.86%。戦略別では、デディケイテッド・ショート・バイアス戦略(マイナス3.31%)を除き、全てがプラスになっている。イベント・ドリブン(同10%)や同マルチストラテジー(11.73%)、株式のロング・ショート(9.25%)を筆頭にパフォーマンスは良い。
あるヘッジファンド関係者は「米国サブプライムモーゲージ問題が噴き出す中で、住宅セクターに空売りをかけるようなファンドは高いパフォーマンスをたたき出している」と話す。

<サブプライム絡み、今後損失の表面化も>
ヘッジファンドの破たん危機などが伝えられているが、総じてヘッジファンドのパフォーマンスが良好な背景には「サブプライム絡みのものに投資する戦略は限られている」(前出のヘッジファンド関係者)ためだ。
一方、春先から米サブプライム問題でヘッジファンドの破たんを指摘していたマネックス・オルタナティブ・インベストメンツのマネージング・ディレクター、白木信一郎氏は「ハイ・イールド債に投資するファンドの中には(サブプライム絡みが)一部入っているものもあるかもしれない。一部で損失が明らかになっているように(サブプライム絡みの保有では)レバレッジをかけるなど偏りが大きかった」と話す。
保有資産にはマーケットバリューがつかないこともあり、かつ、ファンドのバリュエーションは独自で行い、頻度が少ないところもある。こうした場合はバリュエーション上の減価が行われるまでに時間がかかることもあり、減損部分が表面化していないものも多いのではないかという。同氏は、今後、一部の投資戦略でパフォーマンスの低下につながる可能性もあるとみている。

<リスク要因吸収し、個人マネーは海外資産へ>
他方で、足元の国内投信マネーは海外市場のリスク要因を踏まえながら、海外資産への投資を加速させている。
野村総合研究所(NRI)が算出している国内投信の資金流出入状況(設定額マイナス解約額、新規ファンド分は3カ月目から算入)によると、海外資産に投資するファンドのカテゴリー(海外株式型、海外債券型、海外ハイブリッド型)に、7月は10日までの7営業日で4446億円が流入。6月の同営業日ベースの流入額3450億円をほぼ1000億円上回るペースで資金が流入した。
1日平均約600億円を超える資金が投信を介して国内外の金融市場に流入している計算だ。同じベースで計算した6月の月間流入額は1兆1731億円で、1日あたりの流入額は約559億円。足元の流入額は着実に膨らんでいる。
新規ファンドへの資金流入などを加味すれば、海外資産への投資額は更に膨らむ見通しで、一大投資家となった個人マネーの「円売り/外貨買い」の傾向に今のところ大きな変化はみられない。春先から話題に上った米国のサブプライムモーゲージ市場をめぐる問題で、個人マネーの海外資産選好に歯止めがかかるのではとの見方も一部にはあったが、現状では海外リスク要因をものともしない個人マネーの姿が浮かび上がった。

アサヒコム・ロイター 2007年07月12日

(引用終了)
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by kanconsulting | 2007-07-13 01:58 | 経済状況
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