少子化と国家破産 人口減少による日本国消滅の危機 経済同友会の予測 債務負担増・経済縮小税収減

このブログでは何度も述べていますが、少子高齢化・人口減少により、日本の経済成長を達成することは年を追うごとに困難になっていきます。この問題は根深く、10年単位で日本の没落を確実なものとしていきます。もちろん、年金などは満足に支給されるはずもありません。

さて、今年4月に経済同友会からリリースされた「日本の未来は本当に大丈夫か―改めて問う少子化対策―」においては、以下のように指摘されています。

(開始)

諸々の改革が十分に実施されず、政治、経済、社会の諸要素の趨勢が上方に大きく屈折しない場合(自然体ケース)には、以下のような諸問題が発生もしくは深刻化する恐れがある。(以下の諸数値は昨年度時点の実績、および予測に基づくものである。)

(1)人口減少に連動した経済力低下の恐れ
日本の総人口は2050 年には9,600 万人程度まで減少する。年平均でみれば、毎年68 万人ずつ人口が減ることとなる。また、経済成長の重要な要素である生産年齢人口(15-64歳人口)は、2050 年までに約40%減少する。したがって、生産性が相当に高まらない限り、経済力の低下は免れない。
(2)食料・エネルギー等の輸入購買力の低下、調達不能の恐れ
日本の現在の食料自給率(40%)、エネルギー自給率(20%)は主要先進国の中で最低レベルにある。他方、世界人口は今後も膨張を続け、世界的な資源不足、価格高騰の恐れがある。このような環境下で、経済力が低下すれば輸入購買力を確保できず、最悪の場合、調達不能の恐れもある。
(3)社会保障、防衛、治安、国土保全、教育等社会インフラのための支出に耐えられなくなる恐れ
生産年齢人口と老年人口の比率は、現時点では3.4:1であるが、2050 年には1.4:1になる。つまり、お年寄り1人を現役世代1.4 人で支えなければならない。このような状況下で、経済規模が縮小すれば、社会保障のみならず、その他の社会インフラの支出にも耐えられなくなる恐れがある。
(4)国・地方の財政破綻の恐れ
「債務負担の増勢」と「経済縮小に伴う税収減」が同時進行すれば、財政再建が困難になるだけでなく、最悪の場合、財政破綻に陥る恐れがある。

(5)基礎的社会サービス(上下水道・学校・消防・医療等)の提供が困難な地域が拡大する恐れ
人口の減少スピードは全国一律ではない。地方においては「過疎」の問題がさらに深刻化し、財政力の脆弱さと相俟って、諸々の基礎的社会サービスの提供が困難な地域が拡大する恐れがある。
(6)社会の活力が大幅に低下する恐れ
生産性の伸び悩み等から国民一人当たりの実質所得がマイナスに転じる恐れがある。また、社会保障負担の在り方によっては世代間対立が表面化し、現役世代の労働意欲が減退するなど、社会の活力が低下する恐れがある。
(7)世界における存在感が大幅に低下する恐れ、特に中国・インドとの経済的地位の逆転の影響
経済力の低下に伴い、世界の中での存在感が低下する恐れがある。とりわけ、中国とは経済的地位が大幅に逆転する恐れがある。現在の中国のGDPは日本の4割程度であるが、2050 年には日本の6~7倍に達するとの予測もある。

(中略)

自然体ケース(中位~下位):政治、経済、社会の諸要素の趨勢が上方に大きく屈折しないという前提の自然体で伸ばした姿
改革ケース(上位~中位):人口減少から発するマイナス面克服に向けた諸々の改革・施策が実施され、効果を上げる姿

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自然体ケースでは、労働力の減少に加え、全要素生産性の伸び悩み、高齢化の進展に起因する貯蓄率の低下による資本ストックへの下押し圧力等により、早ければ2010 年代後半、遅くとも2020 年代後半には、潜在成長率がマイナスに転じると予想される。国民一人当たりの実質GDPも予測期間後半にはその伸びがマイナスに陥る可能性が高い。政府のプライマリーバランスはおおむね赤字のまま推移し、予測期間後半では赤字幅が拡大する。その結果、政府債務残高も増加の一途を辿る。
改革ケースでは、国民一人当たりの実質GDPの伸びはプラスを維持できると考えられるが、一国全体で考えた場合の潜在成長率はマイナス幅こそ大きくないものの、予測期間後半にはマイナスに転じると予想される。プライマリーバランスについては、消費税率引き上げ等により、一旦は黒字化すると考えられるが、高齢化の進展に伴う社会保障費の増大から、予測期間後半には再び赤字に陥る可能性がある。
以上のように、わが国は、自然体ケースでは危機的状況に陥ることとなり、改革ケースですら安泰とはいえない状況となる。

(中略)

出生率が改善した場合の人口の前提としては、・・・最も出生率が高い前提(2040 年時点で1.75)の「国民の希望がすべて実現した場合(ケースⅠ)」を用いることとした。ただし、このケースの実現には極めて高いハードルがあると我々は認識している。・・・この出生率改善シナリオによる試算結果は、少子化対策を含めたすべての改革が効果を表した場合の上限値と位置づけることができる。

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少子化対策以外の改革を最大限に行った上で、出生率の改善が見込まれれば、図表12の出生率改善ケースのとおり、潜在成長率のマイナスを回避することが可能となる。これは図表14 と図表15 を比較すれば分かるとおり、出生率の改善によって、2030 年代以降の労働力の下押し圧力が緩和されることによるものである。ただし、これは少子化対策以外の改革が最大限に効果を表した場合であることに留意いただきたい。図表13 のとおり、出生率が改善されれば財政面での負担も軽くなり、プライマリーバランスは大きく改善する。

以上の結果から、わが国が持続的な成長を実現していくためには、人口減少を前提とした諸々の改革に加え、出生率の改善に向け少子化対策を行うことが必要不可欠といえる。

(終了)

つまり、以下の条件が2つとも満たされた場合に、日本の没落は避けられるが、いずれか1つだけ、あるいは両方とも満たされない場合は、日本国の衰退と財政破産は不可避である、ということです。
・人口減少のマイナス面に対する改革・施策が実施されて効果を上げること
・出生率が1.75(2040年)と、想定内で最も高い数値に回復すること

産経新聞の連載記事は、『経済が縮小すれば、税収の低下、高齢化による社会保障費の増大で、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字はやがて臨界点に達する。国債価格は暴落。その先はまさに“日本沈没”のシナリオである』と述べています。

こういった見通しは、現在の円安(対ドルを除く)と物価上昇による『円という通貨の減価』に、その兆候は出ていると考えています。

人口減少・少子高齢化に関する過去のエントリーから抜粋して掲載します。

(開始)

「国家予算作成ゲーム「財務大臣になって予算を作ろう!」について」

実際は、これまでに述べているように、少子高齢社会を迎えますので、医療・福祉は減らすことが困難です。地方交付金の減額は、地方税の増税につながりますので、国民にとってはトータルでは変わらないと言う見方も出来ます。そして、このような「縮小均衡」が、活力ある社会を生み出すとは、ちょっと思えないというのがホンネです。

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「下げのきついときに、投資を考える」

日本の将来は、どうなるとお考えですか?
・このブログやメインページでかねてより指摘していますように、増大する巨額の公的長期債務が、国民経済を減速させる可能性は高い。
・少子化が進む。労働力、需要、担税力の低下につながり、将来の経済の発展が望み薄になる。

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「格差社会とその対策 資本の自己増殖と給与の上方硬直化 長期グローバル投資を(2)」

格差社会は、少子高齢化とあいまって、日本全体の経済成長力・担税力を損なうため、国家財政破綻のリスクを高める。財政破綻にならなくても、増える低所得者層にとっては、実質的なハイパーインフレにも似た過酷な国家となる。

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「人口動態について」

「まもなく日本の人口は減少を始め、労働人口の減少、とりわけ若い労働力の縮小と消費市場の縮小による経済への影響が懸念されます。また高齢化が進むことで年金、医療、介護などの社会保障費が増加して、国民の負担が増大することも懸念されています。
ただし、経済や生活は人口だけで決まるものではないので、そうした懸念を実現させないための工夫を国、自治体、企業をはじめ国民全体が協力して築いて行けるかどうかが重要な点です。」

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「日本国債格付け 改革なければ日本国債格下げ(S&P)」

・日本では急速な少子化によって現役世代が減る
・今後10年間で医療や介護、年金などの公的サービスへの需要が高まり、大きな財政圧迫要因になる
・制度改革がなければ、社会保障費や国債利払い費などが雪だるま式に膨らみ、一般政府歳出の対GDP(国内総生産)比は、2050年には現在の水準から約30ポイント上昇して65%になる

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「富田俊基氏の語る「総選挙と財政再建」」

(政権交代ついて)
・政権が交代しても、中長期的には財政再建重視とならざるを得ない
・それは、歳出削減でも国債残高は増加しており、将来的には利払い費も増加するためである
・将来の人口減少と貯蓄率低下に備えて、財政の健全化と国債の信用回復が必要だ

(財政再建について)
・大きな政府を維持する選択肢は、事実上ありえない
・海外の財政再建事例では、増税よりも、歳出削減を重視したほうが成功しやすい
・成功事例では、公共事業削減に加え、社会保障・公務員給与をGDP比で引き下げている
・日本では少子高齢化を迎えるので、社会保障費の大幅カットは難しい。GDP比横ばいを目指すべき

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「日本株式投資の真実」

・日本株式は、人口動態などから、今後長期での成長が期待できない。

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「増税なき財政再建は可能か? 法人税・企業業績・経済成長・自然増徴? プライマリーバランス達成可能?」

・人口が減少していく国で、経済成長を遂げるのは、高付加価値産業にシフトするしかないが、現状そうなっていない

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「人口統計に基づいた未来予測~自治体破綻 経済状況の発展段階説(3)」

さて、人口統計に基づいた未来予測は、一般的な予測より精度が高いとされています。ですので、エコノミストの株価予測・為替予測を読むよりは、人口動態をチェックするほうがはるかに実入りがあるというべきでしょう。

そこから予測される項目としては、これまでも紹介していますように、
・現行制度のままでは所得税収・住民税収は減少する
・医療・福祉に関する支出は減らすことが困難
・税負担や保険負担を増加し、高負担社会とせざるを得ない
です。

(終了)

問題の記事を引用して掲載します。

(引用開始)

【やばいぞ日本】第1部 見えない敵(2)500年後は縄文並み人口15万

「限界集落」。高齢者が半数を超え、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になった集落を指す。大半は早晩消滅の道をたどるほかない。
国土交通省の調査などによれば、こうした集落は全国ですでに3000近くになる。図1は人口5000人未満の過疎町村を現在と50年後とで日本地図に記した分布図である。過疎化を示す赤色が急ピッチで全国に広がる様子が分かる。「消えゆく明延」は日本全体の象徴ともいえる。
図2も衝撃的だ。官民共同のシンクタンク「総合研究開発機構」(NIRA)が最新の人口推計などをもとに、出生率が現状の1.32のまま推移することを前提にして作成したものである。
日本の人口は、1億3000万人をピークにほぼ一直線に急下降を続け、わずか500年後には15万人まで落ち込むとしている。これは縄文時代の人口水準に匹敵する。推計とはいえ現実に起こりうることだ。数字にはあぜんとするほかない。
繁栄の思い出に浸っている間にも次々消えていく集落。少子高齢化と人口減少問題は、遠い将来に目配りして初めて、深刻さが見えてくる。だが、確実にこの“見えざる敵”は日本を消滅の淵(ふち)に追い込みつつある。

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少子高齢化は先進国に共通した現象だ。だが、「問題は、日本ではそのスピードがあまりに急激すぎることだ」。法政大学大学院の小峰隆夫教授はそう指摘する。
経済同友会は今年4月、深刻な人口減少社会の到来に警鐘を鳴らす緊急提言を発表した。
このまま手をこまぬけば、日本は労働力減少と生産性の伸び悩みで潜在成長率は2010年代後半にもマイナスに転じるとする提言は、危機感にあふれている。
経済が縮小すれば、税収の低下、高齢化による社会保障費の増大で、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字はやがて臨界点に達する。国債価格は暴落。その先はまさに“日本沈没”のシナリオである。
すでにその兆候は出ている。
国内総生産(GDP)で世界第2位の経済大国・日本の座も、実際の通貨の実力で換算する購買力平価では既に中国に明け渡している。2050年には、経済規模で中国の10分の1程度まで水をあけられるとする予測もある。
少子高齢化は、働く世代と年金受給の高齢者との世代間対立も拡大させかねない。若者は老人にますます敬意を払わなくなり、社会は荒廃していく。将来社会への不安が募れば出生率はさらに低下する。人口減が人口減を呼ぶ構図だ。

産経新聞

(引用終了)
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by kanconsulting | 2007-07-16 23:07 | 経済状況
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