世界同時株安と円高(5) クレジット・スプレッドと為替レートの関係 「円安貧国、ニッポンの罠」

これまでの記事で、「円キャリートレードにより、世界市場の乱高下が生じた。特に、信用不安・世界株安によって、アンワインド(キャリートレードの巻き戻し)が起こり、それがさらなる世界株安と総円高を引き起こした。」ということを、繰り返し述べてきました。本日は、データにより、それを検証したいと思います。

まず、世界市場の乱高下について、先日も述べましたが、信用不安の指標としてクレジット・スプレッド、世界市場の乱高下の指標としてボラティリティ指数を、グラフにまとめてみました。
(データ引用元 クレジットスプレッド:ThinkBIG、利回り格差・信用スプレッド:国際投信投資顧問、為替レート:yahoo.com、実質実効為替レート:新生銀行)

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さらに、このグラフに、為替レートを加えてみました。

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キャリートレードは、結構前から確認されている現象です。時間をさかのぼるほど微妙ですが、特に最近においては、信用不安が起こる(クレジット・スプレッド増大)と、為替レートでは、円高の影響があるように見えます。

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日経ビジネス(2007/8/20号)の第二特集「円安貧国、ニッポンの罠」においては、次のような記述がありました。

・外為証拠金取引での個人投資家の投資(円売り)残高は6~7兆円(レバレッジ10倍の前提)
・アメリカ商品先物取引所によると、ヘッジファンドなど投機筋の円売り残高は、2兆円(今年6月)
・アメリカだけでなく世界単位では、ヘッジファンドの円売り取引は5~10兆円
・外国銀行が円を調達して行う海外での円建てローンは5~10兆円
・日本人の海外投資(外貨建て投資信託、外債投資、外貨預金など。FXは除く)は48兆円
・日本の国際収支の「その他資本(国際間の銀行の貸し借り・預金など)」の項目は、2006年は20.5兆円の赤字(資本の流出)に転落

この特集では、「貿易などで稼いだ資本を、海外のヘッジファンドなどに流し続ける構図は、金利が上がらない限り変わらない」と結んでいます。

しかし、円の急な利上げは、即時に、国家破産(日本国財政破綻)のトリガーとなりえます。同時に、世界的には、流動性供給にブレーキをかけるため、世界恐慌のトリガーともなりえるのです。簡単に言うと、これまでの繰り返しになりますが、金利は上げられないという縛りがあるのです。

円の価値が毀損されるのを、指をくわえてみているしかない、そのような情景が目に浮かびます。

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では、どうすればいいのでしょうか?

このブログでは、何度も述べていることですので、あらためては述べません。

大事なことですので、よく考えてください。

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by kanconsulting | 2007-09-05 23:08 | 経済状況
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