日本の外貨準備高は5934億SDR(9545億ドル) IMF国際通貨はすでに存在する? 日本円のプレゼンス低下

以下のニュースをご覧ください。

国際通貨基金(IMF)が発表した7月末の外貨準備は、
1位 中国で9066億SDR
2位 日本5934億SDR
3位 ロシア2666億SDR・・・
となっています。

これまでも述べたとおり、日本の外貨準備は、ほぼドルで占められています。また、日本と中国が、外貨準備としてドルを買い支えているというのも、これまでと変わらない傾向となっています。

(引用開始)

10月末の外貨準備高は9544.84億ドル、過去最高=財務省

財務省が7日発表した10月末の外貨準備高は9544億8400万ドルとなり、過去最高となった。前月末から88億8300万ドル増加した。
外貨準備の増加は5カ月連続で、これまで過去最高だった9月末の9456億0100万ドルを上回った。過去最高を更新するのは4カ月連続。
外準の増加は、保有する債券や預金の金利収入のほか、海外金利の低下に伴う保有債券の時価評価額の上昇、ユーロ相場の上昇によるドル換算でのユーロ資産の増加が要因。10月末の米10年債利回りは4.475%と、9月末の4.590%から低下。10月末のユーロ/ドル相場は1.4487ドルと9月末の1.4267ドルから上昇した。
国際通貨基金(IMF)が発表した7月末の外貨準備は、1位が中国で9066億SDR。以下、日本5934億SDR、ロシア2666億SDR、台湾、韓国、ユーロ圏、インド、ブラジル、シンガポール、香港の順。
SDR(特別引出権)は、IMFが主要国通貨のバスケットに基づいて算出している。5月末は、1SDR=1.53122ドル。

2007年11月7日[東京 7日 ロイター

(引用終了)


さて、
「あれ?財務省発表の外貨準備はドル建てなのに、IMF発表の外貨準備は、SDR建てという変な単位になっているぞ。」
とお気づきでしょうか。このSDRとは、何でしょうか。

(引用開始)

1969年、IMFは加盟国の既存の準備資産(公的金保有、外貨、IMFのリサーブポジション)を補完するために外貨準備資産としてのSDRを創設しました。SDRの価値は主要国通貨のバスケットに基づいて決められ、IMFほか多数の国際機関における会計単位として使われています。

SDR創設の理由

ブレトン・ウッズの固定為替相場システムは1960年代に困難に陥りました。世界貿易の拡大と金融発展をまかなうために必要とされる準備資産の成長を調節するメカニズムがなかったことによります。当時、金と米ドルが2つの主要準備資産でしたが、金の生産は準備資産の供給源として不十分かつ信頼性を欠くものでした。また、米ドル準備資産の継続的増加によって米国の国際収支が絶えず赤字となり、そのこと自体が米ドル価値への脅威となりました。こうしてIMF主導による新しい外貨準備資産の創設が決定されたのです。

SDRの創設からわずか2-3年後にブレトン・ウッズ・システムは崩壊しましたが、主要通貨は変動為替相場体制へと移行しました。こうした展開は国際資本市場の成長が信用できる政府の借入を助長したこともありSDRの必要性を低下させました。

今日、準備資産としてのSDRの役割は限られたものになっています。2002年4月末まで、SDRはIMF加盟国の金以外の資産の1.25%以下でした。いくつかの民間の金融証書がSDR表示になっているものの、個人取引での利用を促進しようという努力はあまり報われていません。そのためIMFや他の国際機関の会計単位として使われることがSDRの主な機能となっています。このようにSDRはIMFと加盟国間の取引にほぼ限られた形で使用されています。

SDRとは?

SDRは通貨ではなく、またIMFに対する請求権でもありません。むしろ、潜在的には加盟国の通貨を自由に使用できるという権利を持ち、保有国はSDRを外貨と交換できるようになっています。準備資産としてのSDRの価値はSDRを保有し、受け入れ、SDRシステムの運用についての様々な義務を果たすという加盟国の確約に基づいています。自由に使用できる通貨に対するSDRの請求権は以下の2つの方法によって与えられることをIMFは保証しています。強い対外収支ポジションにある加盟国を指名し、弱いポジションにある加盟国からSDRを買い取る方法、あるいは、管理された市場において参加国間での自主的な交換の取り決めにより行なう方法です。

IMFホームページ

(引用終了)


「米ドル準備資産の継続的増加によって米国の国際収支が絶えず赤字となり、そのこと自体が米ドル価値への脅威となりました」とあるように、基軸通貨は、かならず経常収支赤字となり、そのこと自体が、基軸通貨への信認を失わせるというのは、皮肉なことに、IMFの想定範囲内でもありました。逆に、経常収支を改善しようとすれば、世界全体が通貨不足に陥るというジレンマもあります。アメリカという一国の財政と、世界経済をリンクさせることに、そもそも無理があったのかもしれません。

「SDRは通貨ではない」とあるものの、「個人取引での利用を促進しようという努力」という記載があるように、通貨バスケットで国際決済を行わせ、基軸通貨ドルの代替をしようとしたという形跡が見られます。機軸通貨の重責を、ほかの通貨にも背負ってもらうことで、世界経済が安定化するなら、儲けものです。

IMFは、International Monetary Fundの頭文字です。マネタリーをすることが目的の機関です。通貨コントロールは、自分たちの武器ですので、簡単にそれを手放すはずもないと思いますが、いかがでしょうか。

本日のSDRの為替?レートはこちら

さて、SDRの裏づけは、通貨バスケットとなっています。その内訳はどうなっているのでしょうか?

        2006 2001 1996
米ドル    44   45   39
ユーロ    34   29   --
ドイツマルク --   --   21
仏フラン   --   --   11
日本円   11   15   18
英ポンド   11   11   11

このように、ユーロのプレゼンスが高まるとともに、日本円の価値が低くなってきています。特に、2001年3月から2006年3月までは、日銀の量的緩和政策により、ジャブジャブに日本円が刷り散らかされて、流動性の供給源になっていた時期にもかかわらず、通貨バスケットにおける日本円の責任は小さくなっていることに注目したいところです。

関連した過去のエントリーも参照ください。

(転載開始)

「世界同時株安と円高(6) 再び総円高が来たときに個人投資家は持ちこたえられるか」

さて、このブログでは、以前から、アメリカドルの維持可能性を懸念して、ドルの減価がありうると警告しています。
そもそも、アメリカの経常赤字は、日本や中国の買い支えによって維持されているようなものです。中国や産油国が、ドル以外の外貨準備を増強すれば、ドル暴落の準備が整うことになりかねません。さらに、現在はアメリカが世界の資本(資金)を吸収する流れになっていますが、それが逆流するかも知れません。
では、なぜ、逆流が起こりうるのでしょうか?逆に言うと、アメリカへの資本流入は、永遠には続かないのでしょうか?

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「来るべきドルの減価(1) 金価格と原油(WTI)価格 ユーロ建てとドル建て ドルにペグした円は道連れ」

このブログでは、以前から、
「通貨の減価は、貨幣経済において不可避である。」
「円とドルの減価がありうる。注意しなければならない。」
と、述べてきました。
その、ドルの減価の日が、近づいているように思います。

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「来るべき暗黒の日(1) 世界恐慌かスタグフレーションか」

これまで何度も述べていますが、以前から、アメリカドルの維持可能性を懸念して、ドルの減価がありうると警告しています。特に、アメリカの経常赤字は、日本・中国・産油国などの買い支えによって維持されているようなものであり、中国・産油国が、ドル以外の外貨準備を増強すれば、ドル暴落の準備が整うことになると指摘しています。つまり、アメリカへの資本流入は、永遠には続かないと言っているのです。
中国のアメリカ国債売りは、交渉のカードだと思いますが、実際に本気で売りに来ることも、まったくありえない話ではありません。

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「来るべき暗黒の日(2) 世界株安と円高再び フレディーマック・ファニーメイ・RMBSとナイトの不確実性」

1990年代のアメリカは、ドル高政策によって、世界から投資資金を呼び込みました。株高と過剰消費によって好景気となった反面、膨大な経常収支の赤字が累積し、いびつな構造となってきた背景があります。その帰結として、基軸通貨ドルを発行する世界覇権国アメリカは、3兆ドルの対外純債務と、8000億ドルの経常収支赤字を抱えるまでになってしまいました。ドルの信認がなくなれば、ドル安・債権安(長期金利高)となり、世界経済の危機に直結するので、「恐怖の担保効果」によって、世界(日本や中国)はドル買い・アメリカ国債買いを行ってドルを買い支えているとされています。ドルの垂れ流しは、アメリカによる世界需要の喚起と読み替えることも可能です。経常収支赤字がどこまで可能なのかは不明ですが、ドルの買い手がいる以上、アメリカの国際収支はバランスします。ドルの信認がなくなり、価値の大幅な調整があれば、世界の投資家が大きな為替差損をこうむり、各国のドル建ての外貨準備は大きく目減りします。日本の外貨準備は9089億ドル(2007年3月)ですが、含み損は数十兆円あるとも指摘されており、売るに売れない状態です(参考文献)

(転載終了)
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by kanconsulting | 2007-12-03 23:55 | 経済状況
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