自民党総裁選 財政再建派と上げ潮派の出来レース 結局国民にツケを回すことに

まず、自民党の総裁選に関するニュースをご覧ください。

(引用開始)

自民4氏、経済政策で違い鮮明…景気・財政再建・税制
福田退陣・総裁選

自民党総裁選への出馬を4日に表明した与謝野経済財政相は、「財政再建論者」として知られる。
財政再建より景気対策を優先すべきだとする麻生幹事長との対立軸が鮮明となってきた。
小池百合子元防衛相や石原伸晃元政調会長を含め、税財政をめぐる立場や主張が異なる候補の選挙戦となり、選挙結果によって経済財政運営のありようが大きく左右されそうだ。
与謝野氏はかねて、消費税について「数%の税率引き上げが必要だ。歳入を確保しないともうやっていけない」と主張するなど、財政規律の維持を強く唱え続けてきた。
小池氏は、増税ではなく経済成長による税収増で財政再建を図る「上げ潮派」とされる。ただ、最近は、景気減速に伴う税収減が鮮明になり、「上げ潮」のシナリオは説得力に乏しい。このため、小池氏は小泉内閣の構造改革路線を維持すべきだとの主張を前面に押し出してくる模様だ。
石原氏も消費税率引き上げや安易な財政支出には反対の立場を取っている。政府・与党が8月にまとめた総合経済対策について、石原氏は4日、「福田首相は赤字国債を発行しない形で1兆8000億円の補正予算を準備した。非常にリーズナブル(理にかなう)」と記者団に語った。
これに対し、麻生氏は「財政の健全化はやらなければならないが、いつ、どうやってやるかは別の話だ」として、足元の景気対策を重視する姿勢を示してきた。2011年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するとの政府目標の先送りも唱えている。

意見の違う候補者たちが争う総裁選の勝敗は、今後の税財政の在り方を方向づける意味を持つ。政府・与党がまとめた総合経済対策も、新総裁の考え次第で修正される可能性がある。
仮に麻生氏が総裁になれば、年内にも予想される次期衆院選に向け、財政支出を拡大する形で対策を上積みする公算が大きい。その場合は08年度補正予算の規模が膨らみ、09年度予算編成も「歳出削減方針が見直され、歳出拡大路線に向かう」(財務省幹部)との見方が強い。
与謝野氏が総裁に就けば、経済対策に盛り込まれた定額減税の規模を抑えるほか、予算編成では、福田政権で掲げた歳出削減方針の堅持を図ると見られる。
消費税については、与謝野氏でも、衆院選を意識して早期引き上げを主張できず、将来の税率引き上げをにらんだ論点整理などを、党や財務省に指示するだけにとどまる可能性がある。

(2008年9月5日00時50分 読売新聞)

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http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2008090400954

3年で「日本経済復活」=財政黒字化目標凍結-自民・麻生氏が政権構想 

自民党総裁選への出馬を決めている麻生太郎幹事長の政権構想の骨格が4日、固まった。今後3年間を「日本経済復活重点期間」と位置付け、先に政府・与党で合意した所得税・住民税の定額減税や規制緩和策の推進を盛り込んだ。8日の出馬会見で発表する。
麻生氏の構想は、プライマリーバランス(基礎的財政収支)を2011年度に黒字化する政府目標を事実上凍結するもので、4日出馬表明した「財政再建派」の与謝野馨経済財政担当相らとの間で経済政策をめぐる論争が活発化しそうだ。
今後3年間の重点政策には、住宅ローン減税のほか設備投資減税など成長力強化のための政策減税も盛り込む方向だ。(2008/09/04-22:04)

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日本経済を悲観的にみるのは間違い=与謝野担当相
2008年9月5日

[東京 5日 ロイター] 
与謝野馨経済財政担当相は5日、閣議後の会見で、けさ発表された4─6月期法人企業統計で企業収益や設備投資が悪化したことについて、原油・資源価格高の影響や米国・欧州・東南アジア経済の減速の影響を受けたものだとし、日本経済を悲観的にみるのは間違いだとの認識を示した。
2008年4─6月期法人企業統計では、設備投資(ソフトウエアを含む)は全産業で前年比6.5%減となり5四半期連続減少した。経常利益も前年比5.2%減で4四半期連続の減少となった。
与謝野担当相は「原油高や資源高などの価格上昇が大きく響いている。同時に、米国や欧州、東南アジアも必ずしも外需として十分な状況にない」ことを映していると説明。外需の弱さが、欧州や東南アジアにも広がっているとの認識を示した。
そのうえで、日本経済の先行きについては「企業収益の悪化や設備投資のスピードが鈍った状況は、時間の経過とともに、諸外国の経済が好転するにつれて自然と戻る。それを待つしかない。来年、諸外国の経済が好転するのを待たなければならない側面が強い」と述べたが、「日本経済を悲観的にみるのは間違いだ」と語った。

 <非ケインジアン政策が小泉改革の最大の功績>
与謝野担当相は4日、一転して自民党総裁選に立候補する意思を表明した。立候補を決意した理由について与謝野担当相は「党の存在が問われるような政治の危機がわれわれを襲っている。福田総理がやられたその後、体制を立て直して国民の期待に応えていくためには、古い形の派閥的選挙や政策抜きの談合的な総裁選びは避けなければならない」と語った。さらに「政治論議をきちんとするためには、私と同じような考えをしている方が党内外にたくさんいることを考えると総裁選に出馬して、私の考えを前面に出して、党の政策として実現するよう努力することが自分の責任だと思った」と説明した。
そのうえで政策論議では「経済政策、財政政策、税制、社会保障、安全保障、教育など、幅広く論じられなければならない」と語り、持論の財政政策のみに特化した政策論議ではないことを強調。
立候補を表明している麻生太郎自民党幹事長が財政積極論者であることに関しては論評を避けたが、「小泉改革の本質は非ケインジアンであって、非ケインジアンの考え方が小泉内閣が残した最大の構造改革で、最大の功績と考える」と述べ、暗に批判した。
正式な立候補表明は、政権構想を固めてあらためて行うという。自らの健康問題に関しては「不安はない。医師からも注意は一切ない」と語った。

 (ロイター日本語ニュース 吉川 裕子記者)

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(画像も読売新聞より)

(引用終了)

さて、この記事を読まれた皆様は、どのようにお考えでしょうか。

「いろいろな政策を議論するのは、良いことでは」
「しっかりと議論して、日本のために良い総裁(首相)を選んで欲しい」
「今の日本が直面している問題について、ちゃんと考える、良い機会ではないか」
「景気回復優先なのか、財政再建優先なのか、よく考えて欲しい」

などと思われていることと拝察します。

また、読者の皆様も、「このブログでも、財政再建優先を支持するのだろう」などと思われているのではないでしょうか。私は、今の総裁選は、そのような簡単な構図ではない、と指摘します。
どういうことでしょうか?もう一度、麻生幹事長と、与謝野相のコメントをご覧ください。

麻生太郎 幹事長
・景気がそこそこいくようになってから財政再建
・消費税率を10%にして、基礎年金を税方式に
・11年度にプライマリバランス黒字化目標を先送りもありうる

与謝野馨 経済財政相
・日本の財政は持続可能ではない
・消費税を社会保障税にして、10%程度に引き上げ
・11年度にプライマリバランス黒字化目標はこだわる

「だから何だ。別にこれまでと同じではないか。 財政再建派と上げ潮派との議論は、今に始まったことではないではないか。」と思われるでしょうか。

「マジシャンズ・チョイス」という言葉をご存知でしょうか。観客が自分の意思で、選択肢の中からひとつ(トランプのカードなど)を選んだとしても、それはあらかじめ決めたカードを選ばされていたり、あるいは、何を選んでも結果は同じになるという、マジックの手法です。アメリカの二大政党制でも、どちらの政党から大統領が出ても、国民不在のシステムは温存され、国民生活は改善されない、という状況も、似ていると言えるでしょうか。

同じく、この総裁選のための議論は、ある一定の流れに沿って、仕組まれたものなのだと思います。もっというと、「国民生活のためを思って、議論していますよ」というポーズだということです。

自民党にとって、最大限避けなければならないのは、「野党になり、政権を失うこと」です。そのために、自民党は、民主党などの対立政策を取り込む形で、「財政健全化に留意しています。増税や歳出削減もやります」ということと、「景気回復に配慮します。ある程度のバラマキもやります」という、一見、矛盾したメッセージを送る必要があるのです。こうなると、他の野党との違いが、わかりにくくなります。変な話ですが、相反する二大政策メニューが自民党だけでそろう、ワンストップ政党、と言えるかもしれません。

私の読みでは、出来レースにおいては、魅力的な敵役を設定し、ギリギリのところで逆転勝ちを演出するか、に見せ所があるように思います。つまり、
・魅力的な適役=国民の嫌う増税もきちんと見据えた政策
・ギリギリのところで=与党内でギリギリまで議論を重ねて、○○派が勝つ
・マスメディアを使い、「政府は国の将来を考えて、よく議論した。」と評価させる

具体的には、今後の総選挙を考えた場合に、消費税増税をメインにすると票が取れない危惧があるため、「歳出削減」と「国債で負担を先送り」をミックスさせることになると思います。ですが、この流れで言うと、歳出削減は、国のムダ・利権を温存し、ある程度のバラマキの財源を握ったまま、弱いものからの収奪は相変わらずの、「ご都合型歳出削減」となる可能性があるのです。

弱いものからの収奪とは、自己責任の名の下に、たとえば健康保険、老人保険(名前が変わりましたが)、生活保護などを含めた社会保障のカット、があるでしょう。

加えて言うと、ドルの信用を中心とした金融システムの死守のために、いくらでもカネをつぎ込めるフリーハンドを手放さずに握りこんでおくことです。

もちろん、日本経済そのものを成長させることで国家財政状況を改善させること、一般会計・特別会計を含めた政府支出のムダをカットすることは、必要なことです。ですが、見せ掛けの議論にだまされないように、しっかりと監視していく必要があるのだ、と主張します。

ひとつ例を挙げましょう。下に引用した記事では、「予算執行調査は、予算査定担当者らが各事業の現場へ出掛け、無駄遣いがないか検証する・・・。08年度予算では調査で判明した無駄を見直した結果、約340億円の歳出削減につながった。」とあるように、節約額は微々たるものであり、単なるポーズであることが明白です。

また、会計検査院の機能強化が必要であることは、故石井こうき議員も指摘していましたが、遅々として進んでいません。こういったポイントを見ることで、「政府与党は、本気でムダをはぶき、アメリカにも意見を言い、日本と国民のための政策を考えているのか」という、リトマス試験紙になるのだと思います。

今後も注視していきたいと思います。

(引用開始)


http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080908AT3S0502I07092008.html

「無駄遣い排除」主計官を新設 財務省、09年度にも

財務省は国の予算の無駄遣いに国民の批判が強まっていることを受け、無駄遣いをチェックする「予算執行調査」担当の主計官を来年度にも新設する。主計官は予算づくりを仕切る課長級の花形ポスト。これまで執行調査は同省の内部調査的な色合いが強かったが、予算づくりの主力業務と位置付け、強化する。消費税引き上げも視野に入る中で無駄遣いの排除に積極的に取り組む姿勢をアピールする狙いもありそうだ。
予算執行調査は予算査定担当者らが各事業の現場へ出掛け、無駄遣いがないか検証するもので、2002年度から導入した。08年度予算では調査で判明した無駄を見直した結果、約340億円の歳出削減につながった。ただ節約額は約80兆円の一般会計予算からみれば微々たるもの。無駄遣い批判は強まるばかりで、調査の機能強化が課題となっている。(09:40)

(引用終了)
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by kanconsulting | 2008-09-08 19:47 | 経済状況
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