世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(1) 流血の日曜日 来るべき終わりの只中

来るべき時が、今、来つつあるのだと思います。

つい先日、リーマンブラザーズの分離処理(不良債権を切り離して、優良部門は売却。残りカスは、公的資金や金融業界で、奉加帳形式で処理。)の話が出ていましたので、「リーマンの飛ばしも、最終段階に入った。そろそろだな。」と思っていました。そして、とうとう(やはり)、リーマンブラザーズの破綻が決定的となったという次第です。

アメリカの公的機関が、公的資金の投入を拒否したところで、将棋で言う「詰み」となったのです。アメリカ政府やFRBには、潤沢な資金(印刷するだけですから)がありますので、「無い袖は振れない」という理由ではないでしょう。もともとリーマンには黒い噂があったようですし、「この時期に、リーマンをつぶしてやろう。それで死肉をあさって、損失は各方面に飛ばし、本体のドルシステムは生き延びよう」という意図も、あったのかも知れません。

金融収縮が、単なるバランス(オフバランス含め)の損失にとどまらず、実体経済に危機を及ぼす「信用崩壊」のステージに進行したことが決定付けられた、印象深いニュースでした。もちろん、その次のステージは、「ドルシステムの瓦解」です。

このブログは、データに基づいた未来予測をしますが、未来予言ブログではありませんので、「リーマンがヤバイ」などとは書きませんでした(書きたくても書けません)。同じ理由で、「次は、○○だ」とも、書きません。(○○には、好きな文字を入れてください。)

今後、いくつか、確実なことがあります。

・リーマンが保障していた債券の保障が外れるため、それら債券の価値は急落する
・リーマン自体が発行した債券は、紙クズ(不履行)になる
・リーマンが発行した債券の保障をしていた銀行などは、保証金の支払いを求められる
・CDSなどのデリバティブは、誰も引き受け手がなくなり、市場が崩壊する
・実体経済に強い影響が及び、実物資産(不動産など)の相場はさらに下落する

もちろん、連鎖倒産も、ありうるでしょう。

以前から書いていますように、信用収縮は、デリバディブの「レバレッジ」により増幅されて、信用崩壊につながるのです。増大したリスクをコントロールできずに、金融工学が実物経済を台無しにしてしまうのでしょう。

そして、最終的には、金融力と軍事力により裏付けられていたドルシステムは、(日本や中国などがカネを出さなければ)瓦解をまぬかれないといったところです。

もちろん、日本も無傷ではいられません。かなりの延焼、場合によっては緊急避難、そして相当の資金供出、を覚悟する必要があるでしょう。

関連したニュースを引用します。

(引用開始)

【米金融危機】「流血の日曜日」 リーマン連邦破産法申請へ
2008.9.15 19:55

14日、ニューヨーク・マンハッタンのリーマン・ブラザーズ本社(ロイター=共同) 【ニューヨーク支局】経営危機に陥っていた米証券4位のリーマン・ブラザーズは15日、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請すると発表した。一方、リーマン救済を模索した米銀2位のバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)は同日、証券3位のメリルリンチを500億ドル(約5・3兆円)で買収すると発表した。さらに、米保険首位のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)も経営不安が拡大、米連邦準備制度理事会(FRB)に400億ドル(約4・2兆円)の短期融資を要請したことが表面化した。サブプライムローン問題に端を発した米金融市場の動揺は、大手金融機関の連鎖不安に発展して金融危機の様相を帯びており、米メディアは「流血の日曜日」と報じた。
リーマンをめぐる救済策は、金融当局と民間金融機関がニューヨーク連銀で12日夜から協議を続けた。民間側は将来の損失回避に政府の支援を求めて交渉は難航。最後はバンカメと英銀大手バークレイズによる買収が検討されたが、米政府は公的資金注入を拒否して頓挫した。
一方、バンカメは、サブプライム問題の関連損失で経営不安が続くメリル救済の交渉の鉾先を変え、金融市場の混乱回避のため救済合併で合意した。証券大手の危機がリーマンからメリルに及ぶのを抑えたい意向から、金融当局が後押しに動いたとの見方もある。

株主総会や独禁当局の承認を得て、2009年1~3月期までに統合を完了する予定。統合後のバンカメの資産規模は約2・5兆ドル(約260兆円)となり、シティグループを抜いて全米最大の金融機関となる見込み。
バンカメのケネス・ルイス会長兼最高経営責任者(CEO)は「相乗効果により企業価値が高まる」とのコメントを発表。幅広い顧客層をもち個人取引に強いバンカメと、企業取引や富裕層に基盤をもつメリルの組み合わせが、より強みを発揮できると強調した。
米金融業界では今年3月、5位のベアー・スターンズが米銀3位のJPモルガンチェースに救済合併されるなど、サブプライム問題に伴う巨額損失を抱えた大手金融機関への信用不安に発展した。
傷みが激しい金融機関は資産売却や人員整理に加え、自力で巨額の増資を募るなどリストラに奔走している。この日はまた、保険最大手のAIGもFRBに巨額のつなぎ融資を要請していたと米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が報じるなど、危機の連鎖に歯止めがかからない状態だ。

リーマン・ブラザーズ 米証券4位。リーマン3兄弟が1850年に創業。本社はニューヨーク。ニューヨーク、ロンドン、東京を3大拠点と位置付け、20数カ国に展開。東京支店は1986年に開設。従業員は世界で約2万5千人。2008年6~8月期決算見通しは最終損失が39億2700万ドル。赤字は2四半期連続で、1994年の株式上場以来最大。(ニューヨーク 共同)

産経新聞

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リーマン、破産法の適用申請…バンカメはメリル合併発表

【ニューヨーク=山本正実】経営難から身売り交渉を進めてきた米証券4位のリーマン・ブラザーズは15日、自主再建を断念し、連邦破産法11章に基づく会社更生手続きの適用を申請した。
一方、米銀行2位のバンク・オブ・アメリカは同日、米証券3位のメリルリンチを救済合併することで合意したと発表した。
低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」問題に伴う昨年夏以降の混乱は、米金融業界の大型再編に発展した。
リーマンは14日、身売り先として最後まで有力視されていた英バークレイズから、買収を断念したと通告された。バンク・オブ・アメリカも一時、リーマン買収を検討したが、公的資金投入など米政府による支援が得られなかったため、メリルの買収に方針を転換した。
バンク・オブ・アメリカとバークレイズの両行が買収交渉から退いた結果、リーマンは法的整理に追い込まれた。
バンク・オブ・アメリカによるメリルリンチの買収総額は約500億ドル(約5兆3000億円)。2009年3月までに合併を完了させる予定だ。
メリルは4~6月期まで4四半期連続で赤字を計上し、今回のリーマンの経営危機に連鎖し、株価が急落していた。このため、バンク・オブ・アメリカに救済してもらう形になる。
米大手銀行・証券が破産法の適用を申請するのは異例だ。身売り先が見つからず、自主廃業を迫られた日本の山一証券と似た状況と言える。3月に事実上、破たんした米証券5位のベア・スターンズに続き、半年間で3社の大手証券が淘汰(とうた)にさらされる異常な事態となった。

(2008年9月15日15時59分 読売新聞)

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金融庁、リーマン証券に資産保有命令 国外流出防ぐ狙い
2008年9月15日18時25分

米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)を受けて、金融庁は15日、日本法人であるリーマン・ブラザーズ証券に対し、金融商品取引法に基づき資産の日本国内での保有命令と業務改善命令を出した。
同社の資産が国外の関連会社などに流出し、日本の債権者や投資家の利益が害されるのを防ぐのが狙い。日本国内の資産を正確に把握し、投資家から預託を受けた資産の保全を命じたほか、会社の財産を不当に使うことがないよう命じた。
金融庁によると、同社の預かり資産は、法人の機関投資家や個人の富裕層の合計で約1兆2000億円にのぼる。

朝日新聞

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UPDATE1: 金融庁がリーマン・ブラザーズ日本法人に資産の国内保有命令、投資家保護で業務改善命令も
2008年 09月 15日 18:44 JST

[東京 15日 ロイター] 金融庁は15日、米リーマン・ブラザーズ・ホールディングス(LEH.N: 株価, 企業情報, レポート)が連邦破産法第11条の適用を申請したことを受けて、日本法人のリーマン・ブラザーズ証券に対し、資産の国内保有命令と業務改善命令を出したと発表した。米国の親会社の経営破たんによって、日本の投資家や顧客の利益が害される事態が生じない措置を講じる必要があると判断した。日本法人の資産が海外の関連会社に流出するのを防ぐほか、日本の証券会社として投資家保護を徹底するよう命じた。
資産の国内保有命令は、金商法56条の3に基づく。金融庁は、リーマン日本法人の海外向けの債務を除く資産を日本国内に置いて保有するよう命じた。
また、業務改善命令は、金商法51条の規定に基づき発動。法令違反がない場合でも、投資家保護のために必要と判断すれば発動される改善命令で、金融庁はリーマンに対し、1)投資家の資産の正確な把握、2)顧客資産の保全、3)投資家保護に万全の措置、4)投資家の資産の保全についての周知徹底――の措置を命じた。

ロイター

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http://jp.ibtimes.com/article/biznews/080915/22697.html

バンカメ、メリルを500億ドルで買収へ
2008年09月15日 15:05更新

14日夕、大手金融機関各社によりリーマンなど経営困難に陥っている金融機関へ総額700億ドルの資金を拠出する計画が発表された。
これは世界金融市場の混乱を回避するために行われるもので、リーマンに対し、バンクオブアメリカ、バークレイズ、シティバンク、クレディスイス、ドイツ銀行、ゴールドマンサックス、JPモルガン、メリルリンチ、モルガン・スタンレーおよびUBSが、市場の流動性を高め、予期せぬ市場の乱高下を回避するためにそれぞれ70億ドルずつ拠出することになるという。また米連邦準備理事会(FRB)投資銀行各社への緊急融資プログラムを拡大していく予定であるという。
市場では、リーマン不良債権資産買い取りに関する先行き不透明感を受け、14日ダウ工業株30種平均の電子取引では300ドル以上下げ、アジア各市場でも株価の下落が目立っている。
なお、リーマンと同様住宅ローンの評価損などの危機に苦しんでいる米メリルリンチもバンクオブアメリカ(バンカメ)に一株29ドルで買収されることで合意したことが明らかになった。バンカメとメリルリンチが合併することでシティグループに匹敵するグローバル金融グループができることになる。
バンカメのメリルリンチ買収については、アナリストの多くが一定の評価を下している。メリルを買収することで、バンカメの窓口業務をメリルの抱える莫大な顧客に対して展開することができる。バンカメはこれまでも投資銀行部門を抱えていたが、それほど力強いものではなかった。一方で、両社の合併にともない、多くの従業員が削減される懸念も生じている。メリル、バンカメ両社ともに過去1年間で数千人の従業員を解雇している。
米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)も信用収縮の影響に苦しんでおり、15日までに航空機リース事業など保有資産の処分などのリストラ策を発表すると報じられている。
米投資家らは米金融機関の健全性に神経をとがらせている。国際通貨基金(IMF)は今年度初めに信用収縮による世界金融機関損失額は合計でほぼ1兆ドルに達するだろうと予測した。これまでのところ、世界金融機関の今年度損失額は3,500億ドルにとどまっている。

(引用終了)

関連した過去の記事も参照ください。

(転載開始)

世界同時株安と円高(3) 問題の本質はCDO発の信用創造縮小 クレジット・スプレッドは急拡大

投資銀行、証券会社については、今回の信用収縮の裏の主役とも言えますが、いずれも巨額の損失を抱えていると言われています。(GS:ゴールドマンサックス、MS:モルガンスタンレー、LEH:リーマンブラザーズ

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サブプライムローン破綻(3) サブプライム・ショックは世界同時株安へ 日本国破産の遠因か

サムライ債(円建て外債)についても、ベアー・スターンズ、米リーマン・ブラザーズなどのスプレッドはワイドなままだ。

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アメリカの経済状況は引き続き低調 ストックとフローの悪化 オスプレー・ファンドのクローズと資源価格

資産運用会社オスプレー・マネジメントは2日、傘下の「オスプレー・ファンド」の閉鎖計画を明らかにした。同ファンドにはリーマン・ブラザーズが出資していたことも話題を呼んだ。・・・市場を左右するのは引き続き海外要因だ。9月半ばからのリーマンやゴールドマン・サックスの決算については、すでにアナリストによる下方修正が相次いでいる。

(転載終了)
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by kanconsulting | 2008-09-15 22:05 | 経済状況
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