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世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(6) まとめ 終わりの只中に

今月は、激動の1ヶ月(まだ終わっていませんが)だったと思います。

そこで、リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊に関する最近の記事をとりまとめて、振り返ってみたいと思います。

(転載開始)

「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(5) 公的資金を75兆円投入 米国の財政支出は100兆円」

次のステージは、「(政府・公的機関による)不良債権の買取」ですが、これは、政府やFRBが、「貸し手」から「買い手」になることを意味します。何度も言っていますが、これは、リスクの移転、つまり「飛ばし」をやる、ということなのです。

「劣化した金融機関の資産のアメリカ政府による買取」は、アメリカ国民の税金で支払う、ということです。本当に、すでに財政支出となった1兆ドル(約100兆円)や、連邦政府の債務上限の10兆ドル(約1000兆円)もの巨額の支払いが、将来のアメリカ国民に可能なのでしょうか?そもそも、その原資となるアメリカ国債を、誰が買うのでしょうか?

ドルの破綻は、文字通り、現在の貨幣経済システムの死刑執行であり、システムに組み込まれているすべての人が路頭に迷うことになるからです。すべての証拠を吹き飛ばし、借用証書を焼き払うための、戦争の予感がします。

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「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(4) 日米欧による「USドル」供給 基軸通貨ドルの防衛」

この協調供給の本質を一言で言いますと、基軸通貨USドルを防衛する、ということだと思います。いみじくも、伊吹文明財務相が、「アメリカ(FRB)の要請による、米ドルの信認低下を防ぐ措置」と言っているとおりです。

ここまで巨額の、文字通りジャブジャブの状態になるまでマネーを注ぎ込んでも、本質的な危機の解決にはならないことは、すでに述べているとおりです。あくまで延命措置、ということを忘れてはなりません。これで、リスクはアメリカ政府・FRBに「飛ばされた」ということになります。これで解決にはなりません。供給した過剰のドルが、ドルそのものの信認を損なうことになるからです。延命措置のタイムリミットは、半年といったところでしょう。

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「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(3) 日米欧の中央銀行が流動性供給 解決になるのか」

この流動性の供給については、

・出血を止めずに輸血するようなものであり、根本的な解決にはなっていない
・流動性は、必要なところに割り当てられるとは限らず、濃淡がある
>たとえば、金融機関に十分な流動性を供給しても、貸しはがしが止まらないこともありうる
・必ずしも、信用収縮をストップし、信用創造倍率アップをもたらすとは限らない
・過剰な流動性は、ゆくゆくは投機資金となり、資産価値の乱高下をもたらす遠因となる

「金融危機の最悪期はこれから訪れ、問題に直面する主要金融機関が今後数カ月でさらに増える可能性がある」(IMF ストロスカーン専務理事)

(リーマン・ブラザーズ破たんの前週末の)時点で、リーマン・AIGなどに関するリスクシナリオについて、(日本銀行と各国中央銀行・政府との)通貨防衛に関する協議は終わっていた、ということでしょう。

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「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(2) なぜリーマンは見捨てられAIGは救済されたか」

世界全体のデリバティブの残高は、正確な数字は不明ですが、50兆ドル(2005年当時)と言われていました(過去の記事を参照)。現在では、さらに大きな数字となっていることでしょう。

(デリバティブの一部である)CDSの発行残高は、4500兆円とも、6500兆円とも、言われています。日本の1990年代の、バブル崩壊、金融危機、とは比べ物にならない、大きな危機が来ているのだと思います。

双子の赤字を抱えるアメリカで、このような信用収縮が起こり、信用崩壊に発展したことは、決して偶然ではありません。アメリカ国債が売れなくなる日は、そこまで来ています。そして、物価(インフレ)、金利、為替、のいずれか、あるいは全部、によって、「ドルの減価」がありうるのだと思います。

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「世界金融危機 リーマンブラザーズ破綻と信用崩壊(1) 流血の日曜日 来るべき終わりの只中」

金融収縮が、実体経済に危機を及ぼす「信用崩壊」のステージに進行したことが決定付けられた、印象深いニュースでした。もちろん、その次のステージは、「ドルシステムの瓦解」です。

・CDSなどのデリバティブは、誰も引き受け手がなくなり、市場が崩壊する
・実体経済に強い影響が及び、実物資産(不動産など)の相場はさらに下落する

もちろん、連鎖倒産も、ありうるでしょう。

ドルシステムは、日本や中国などがカネを出さなければ、瓦解をまぬかれないといったところです。もちろん、日本も・・・相当の資金供出を覚悟する必要があるでしょう。

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「日本・アメリカ・ヨーロッパがドル防衛の秘密協定 やはりドルは基軸通貨なのか」

アメリカドルの防衛に関する秘密協定があったようです。・・・このような重要な秘密協定が、アメリカの従属国である日本からリークされるということは、単なる偶然ではなく、「日本はドルシステムを死守します」という宣言なのかも知れません。

(この秘密協定の会談に、アメリカ財務省の上級事務官が出席していたことから)政治的な決断ということができると思います。

(転載終了)

最近発売の書籍を紹介してみたいと思います。

「恐慌前夜/副島隆彦」
「連鎖する大暴落―静かに恐慌化する世界/副島隆彦」
「時代を見通す力/副島隆彦」

「ソロスは警告する 超バブル崩壊・悪夢のシナリオ/ジョージ・ソロス、松藤民輔」
「日本経済を襲う二つの波―サブプライム危機とグローバリゼーションの行方/リチャード・クー」
「わが友、恐慌──これから日本と日本人の時代が訪れる8つの理由/松藤民輔」
「マネーの未来、あるいは恐慌という錬金術──連鎖崩壊時代の「実践・資産透視学」/松藤民輔」

「ユダヤ・ロスチャイルド世界冷酷支配年表/アンドリュー・ヒッチコック、太田龍」
「ロスチャイルドの密謀/ジョン・コールマン、太田龍」
「金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った/安部芳裕」
「ドル崩壊!/三橋貴明、渡邉哲也」
「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編/橘玲」
「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券会社編/橘玲」
「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術/橘玲」

by kanconsulting | 2008-09-24 09:14 | 経済状況
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