これまでに、ゴールドマンサックスによると、金融危機に伴う世界の損失額は、1兆4000億ドルに達する試算と述べました。
また、アメリカ政府などによる、不良債権買取・公的支援・買収などの合計は、すでに明らかになっている数字の合計だけで、約1.5兆ドル(15130億ドル)になることも述べました。 『(アメリカ政府などによる)損失補てんは、当然のことながら、今明らかになっている100兆円ではすまないでしょう。その2倍(200兆円)、3倍(300兆円)、ひょっとして5倍(500兆円)も、ありうる話です。ところが、それだけの資金の出し手が、ないのです。日本や中国の国家外貨準備は、すでにアメリカ国債などになっているため、新規の投資資金にはなり得ません。ではどうするか?』(FRBのバランスシート アメリカの損失の飛ばし アメリカと日本の納税者にツケ) ところが、みずほ証券の、もっとシビアな試算によると、約5.8兆ドル(約550兆円)の損失になるということです。 ・欧米の不動産ローン、個人・企業向けローン、ローン証券化金融商品の残高:約32兆ドル(約3千兆円) ・損失計約5.8兆ドル(約550兆円) うち米国:約4.4兆ドル(約420兆円) うち欧州:約1.4兆ドル(約130兆円) ・損失比率:▲17.9% サブプライム関連の不動産ローンや証券化商品(米国):▲65~75% 不動産関連の証券化商品(欧州):▲3割程度 消費者ローン関連の証券化商品(米国):▲45% こういった試算では、往々にして、「もっとも悲観的な試算が当たる」のです。逆に、これより甘い数字では、「それは本当か?何かごまかしているのではないか?」という疑心暗鬼が生じるということも、これまで述べてきたとおりです。 文字通り、すさまじい量のマネーが、世界から消えているのです。そして、そのマネーは帰ってくることはありません。なぜならば、それが信用縮小というものだからです。 (このあたりは、バブル崩壊を経験された方ならば、身をもって体験されたことと思います) そして、その後に来るであろうリスクイベントを予想することも、それほど難しいことではありません。何度も述べていますが、一言で言うと、世界恐慌と、その後に来る通貨崩壊です。 (リスクイベントとは、「そういうリスクがある」という意味であり、必ず来るという主張ではありません) 当分は、リスク資産が値下がりする傾向が続くと思います。しかし、それも通貨の信任があってのこと。最終的には、通貨そのものが価値を失う時が来るのだと思います。 「100年に一度の危機」では、文字通り、「100年続いた何か」が崩壊するのです。それは、アメリカのヘゲモニー(覇権)、ドル機軸通貨システム、その両方なのかも知れません。 (引用開始) 世界の金融損失、550兆円に みずほ証券試算 2008年11月24日16時28分 世界的な金融危機による金融機関などの損失が5.8兆ドル(約550兆円)に達する可能性があることが、みずほ証券の試算で明らかになった。9月中旬の米証券大手リーマン・ブラザーズ破綻(はたん)後の金融市場の混乱が、大きく影響している。 試算では、国際通貨基金(IMF)や英中央銀行のイングランド銀行(BOE)のデータをもとに、欧米の不動産ローンや個人・企業向けローン、さらにローンを証券化した金融商品の残高を約32兆ドル(約3千兆円)と推定した。 そのうち損失は、米国が約4.4兆ドル(約420兆円)、欧州が約1.4兆ドル(約130兆円)で、計約5.8兆ドル(約550兆円)。損失比率は17.9%に達する。 サブプライム関連の不動産ローンや証券化商品は米国で65~75%も価値が目減りしたとみられ、欧州でも不動産関連の証券化商品は3割程度も目減りした可能性があるという。米国の消費者ローン関連の証券化商品は45%も価値が目減りしたとみられる。 世界の金融機関の損失については、IMFは1.4兆ドル(約130兆円)、BOEは2.8兆ドル(約270兆円)とする試算をそれぞれ10月に公表している。今回の試算がそれを上回ったのは、米金融大手が適用している時価評価をもとに、より厳しく損失を見積もったからだ。 試算した石原哲夫・みずほ証券シニアクレジットアナリストは「米国の金融危機対策はなかなか進んでおらず、さらに損失が増える可能性がある。オバマ次期大統領が就任時に危機対策のビジョンを明確に打ち出すかどうかがカギだ」と話している。(橋本幸雄) (引用終了)
by kanconsulting
| 2008-11-26 20:31
| 経済状況
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