アメリカ(FRB)量的緩和へ 「バーナンキさん」はケチャップを買うか ドル安をもたらす緊急政策

最近は、バーナンキFRB議長を、日本語で「バーナンキさん(Bernanke-san)」と呼ぶことが流行っています。JPモルガン・チェースのエコノミストが火付け役ということです。

‘Bernanke-san’ Signals Policy Shift, Evoking Japan Comparison

Policy makers may decide at their next meeting Dec. 15-16 on the details of carrying out such a shift, which might resemble the “quantitative easing(=量的緩和)” strategy the Bank of Japan pursued in 2001-2006 after driving interest rates close to zero. The Fed chief’s readiness to rely more on adding reserves to the banking system prompted JPMorgan Chase & Co. economist Michael Feroli to refer to him as “Bernanke-san” in a note yesterday.

FRBは、日本銀行のとった「ゼロ金利政策・量的緩和」を始動させました。これまでの記事でも述べていますが、すでにアメリカ政府は、前代未聞の金融プログラムを実行に移しています。それに加えて、FRBは金利を下げ続け、市場にすさまじい量の流動性(マネー)を投入してきましたが、加えて、日本のような量的緩和を進めるということです。

日本の失われた10年には、「日銀はケチャップでも買えばいいのに」と言っていたバーナンキさん。FRBはケチャップをはじめとする各種資産(なぜ代表がケチャップなのか知りませんが)を買うのでしょうか。それとも、ヘリコプターから紙幣をばら撒くのでしょうか。日本の「地域振興券」「定額給付金」のように。

しかし、これまでも述べていますが、このような金融緩和は、コスト(費用というよりは負担)とベネフィット(便益)の両面があります。

(良い面)
・国民の住宅ローンなどの負担軽減
・国債の金利負担の軽減 (どこかで聞いた話ですね!)
・為替調整による輸入インフレ
・過剰流動性によるバブルの発生、資産価値の回復

(悪い面)
・非効率性を温存し、非効率な資源配分が起きる(LGTインベストメント・マネジメントのベンジャミン・ペドリー)
・量的緩和が需要を生み出す訳ではない
・需要がない場合には、行き場を失ったマネーによる市場の乱高下
・資産家によるハイエナ・草刈りを容易にして、さらに格差が広がる可能性

普通、中央銀行は、国債などの資産の信用裏付けにより、マネーを市場に投入しています。何度も指摘していますが、FRBは、紙クズ同然のペーパー資産を買い上げてきました。中央銀行に不良資産を「飛ばし」たのです。当然、ドルが信用を失うリスクがあります。

(日本の量的緩和では、マネーがどこかに流れてしまい、結局インフレにはなりませんでした。しかし、タイムラグをおいて円安バブルをもたらしたというのは事実でしょう。ヘリコプターからマネーをばら撒いても、本当に必要とされているところには回らず、利にさとい越後屋の懐に入るというのが実情でしょう)

これまでに述べたように、FRBは、すでに紙クズとなる可能性が高いペーパー資産をたくさん買い入れて、1兆ドル以上のマネーを垂れ流してきました。その結果、FRBの保有資産は、この3カ月程度の間に、2.5倍に膨張したことも、ご存知だと思います。加えて、ローン関連の金融資産を、最大で8000億ドル買い入れるということです。

・住宅ローン関連 6000億ドル
・消費者ローン・小企業向けローン 2000億ドル
合計 8000億ドル

それでも、市場が「まだ紙幣が足りない。年を越すために、ドルをアタッシュケースに詰めて、金庫にしまっておきたい。フセイン大統領のように。」と考える人が多いうちは、ドルは紙切れにはなりません(需要と供給)。何度も書いていますが、いずれ、為替と物価による、マネーの価値の強制調整がありうる、と指摘します。そして、その前には、バブルの再発生がありうるのだと思います。

(引用開始)

〔FEDフォーカス〕FRB、積極的な資産買い入れで「失われた10年」回避へ
2008年 12月 17日 11:53 JST

[シカゴ 16日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)が積極的に資産の買い入れを進めている背景には、日本の「失われた10年」の二の舞は避けたいというベン・バーナンキ議長の強い意思があるとみられる。
連邦公開市場委員会(FOMC)は16日、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を1.0%から過去最低の0─0.25%に引き下げ、景気後退に対応するため「利用可能なあらゆる手段」を活用すると表明した。
90年代の日本同様、デフレスパイラルのリスクを回避するため、政策を総動員する姿勢を打ち出したといえる。
バーナンキ氏は2002年のFRB理事時代、経済学者ミルトン・フリードマンの言葉を引用し、デフレが起きた場合はヘリコプターから紙幣をばらまけばよいと発言した。
カリフォルニア州立大学のサン・ウォン・ショーン教授(経済学)は「『ヘリコプター・ベン』は新しい革新的なアイデアを積極的に打ち出している」と述べた。
FF金利を0─0.25%に引き下げたことで、FF金利は金融政策の主たる手段ではなくなり、今後は「公開市場操作をはじめとするFRBのバランスシートの規模を高水準に保つ手段」(FOMC声明)が政策の焦点になる。
声明では(1)政府機関債、モーゲージ担保証券(MBS)の大量購入(2)家計や中小企業向けの与信を促す対策(3)長期国債買い入れの検討──といった非伝統的な政策を列挙。こうした対策は、FRB版の量的緩和と言える。
ハリス・プライベート・バンクのジャック・アブリン最高運用責任者は「FRBは景気刺激のため、利用可能な手段を声明にはっきり明記した。できる限りのことをしていると言える」と述べた。
ただ、声明に盛り込まれた対策自体は特に目新しいものではない。

  <日銀の量的緩和との違い>
量的緩和は広義には、金融市場に大量の資金を供給することで金融機関に融資を促し、事実上のゼロ金利下で景気を浮揚させる政策と定義できる。
量的緩和政策を初めて導入したのは日銀で、政策金利を2年間ゼロ付近に据え置いた後、2001年3月に量的緩和に踏み切った。
FEDウォッチャーは、FRBがこれまで実施してきた金利の変更を伴わない非伝統的な金融政策の多くを一括して量的緩和と呼んでいるが、FRB幹部は、日銀の量的緩和とFRBの政策の違いを強調している。
同幹部は16日遅く、記者団との電話会議で、FRBの政策はバランスシートの資産サイドに具体的な目標を設定するものではなく、証券の買い入れや融資を通じてモーゲージ市場やクレジット市場の状況改善を促すことが狙いだ、と説明。あくまで結果としてバランスシートが拡大するだけだと述べた。
同幹部は、国債利回りと民間の資金調達コストの間に大きな開きがあることが米経済の問題だとの認識も示した。
FRBが打ち出した一部の非伝統的な金融政策は、目詰まりを起こした銀行システムを飛び越して、個別の市場に直接資金を供給することに狙いがあると言える。
ショーン教授は、日銀の量的緩和は金融機関の貸し出しを促すことが目的だったとし、FRBの政策はその点が「大きく違う」との見方を示した。
同教授は「FRBは金融システムの安定を促し、景気後退の長期化と深刻化を回避したいと考えている。デフレのリスクも最小限に抑えたいはずだ」と述べた。
パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)のエルエリアン共同最高経営責任者(CEO)は、FRBが早い段階で大幅な金融緩和に動いたことで、米国はデフレに苦しんだ日本の90年代のような状況には陥っていないと分析している。
FOMC声明が「当面、異例に低水準のFF金利が正当化される可能性が高いと予想する」と指摘したことを受けて、米国債利回りが今後一段と低下する可能性もある。
16日終盤の市場では、10年物米国債利回りが2.26%まで低下、1951年以降で最低となった。
SCMアドバイザーズのチーフストテジスト、マックス・バブリッツ氏は「米国債利回りを低水準に抑えることが、民間の資金調達コストの高止まりを解消し、信用創造の再開を促す第一歩になる」と述べた。
FOMC声明を受け、先物市場も低金利が長期化するとの見方を織り込んでいる。
FF金利先物市場FFG9FFN9が予想する来年半ばのFF金利は0.34%、来年末でも0.68%にとどまっている。

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FRB:「政策総動員」鮮明に…米初のゼロ金利

【ワシントン斉藤信宏】米連邦準備制度理事会(FRB)が、政策金利を史上最低の0~0.25%に引き下げて、事実上のゼロ金利政策に踏み切ったのは、雇用、消費、生産など米国の経済活動全般が急減速しているためだ。FRBは「量的金融緩和」にも言及するなど、政策を総動員して景気悪化を食い止めようとの姿勢を鮮明にした。ただ、日本や欧州をはじめ、中国など新興国でも景況感の急速な悪化が確認されており、世界同時不況の影は着実に忍び寄っている。FRBの大胆な施策が奏功するかは未知数で、同時不況の回避に向け、世界経済は正念場に立たされている。
9月の証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)で深刻化した金融危機の影響は、米国経済全体に波及、景気の落ち込みに拍車をかけている。その余波は自動車や小売業界を中心に企業業績を直撃。11カ月連続で就業者数が減少するなど、雇用悪化にも歯止めがかからない。雇用の悪化は個人消費を一層、押し下げるとともにローンの焦げ付きを生み、金融機関の経営に新たな打撃を与えるという「負の連鎖」が続いている。
FRBは声明で「可能な限りのすべての方策を用いる」と不退転の決意を表明。世界的な景気減速が「同時不況」から「恐慌」に至るのを食い止めたいとの強い姿勢を見せた。
これまでにもFRBは、総額8000億ドル(約77兆円)分の住宅ローン担保証券(MBS)や消費者ローンなどの買い取りに乗り出しており、市場関係者は「事実上の量的緩和は既に始まっている」(米エコノミスト)と指摘していた。今回はさらに「長期国債の購入検討」に踏み込み、「流動性(資金)供給というFRBの二の矢は、まだまだ有効だ」(バーナンキ議長)との言葉通り、米国流の量的緩和政策の模索に動き出した。
「不況時にはヘリコプターで紙幣をばらまけ」と主張したこともあるバーナンキ議長主導の金融政策は、世界経済を苦境から救い出せるのか。世界が固唾(かたず)をのんんで見守る中、米国の金融政策は未到の領域に入った。

毎日新聞 2008年12月17日 11時21分

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【みずほ証券】日米金利逆転、「円高加速で80円割れも」(08/12/17)

米連邦準備理事会(FRB)が16日、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を年0.0―0.25%にしたことで、日米の政策金利は約16年ぶりに逆転した。みずほ証券は17日付のレポートで「歴史的な円高リスクで1ドル=80円割れの水準も想定される」としている。
1975年、1985年など過去に日米金利の逆転が起きた後にはいずれも急速な円高が生じている。今回FRBは今の経済状況が続く限り実質ゼロ金利状態を続けるとしているだけに、過去最高水準の円高リスクを秘めているという。
一度ゼロ金利にすると、そこから脱け出すのは難しい。日銀はこれまで追加緩和に慎重なスタンスを見せていたが、米国への対応の観点から再び量的緩和対応を検討することも考えられる。長期国債の買い切りなどで、長期金利は米国で2%、日本で1%近い水準をめどに低下するとみずほ証券では予測している。

(引用終了)
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by kanconsulting | 2008-12-19 09:47 | 経済状況
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