ガイアの夜明けで紹介された匿名CDO(CLO)の正体 むしられた日本の私大・機関投資家

少し前の話になりますが、「日経スペシャル「ガイアの夜明け」 11月11日放送 マネー動乱第3幕世界 金融危機の真相」のひとコマで、証券化商品のひとつの組成(中身)が紹介されるというシーンがありました。

外資なのですが、会社名と社員が実名で紹介されていました。とある、最低投資金額が5億円からという証券化商品は、100本以上のRMBSで組成されており、そのひとつひとつには、ベアスターンズ、モルガンスタンレー、ゴールドマンサックスといった、見慣れた固有名詞が記載されていました。しかし、その証券化商品の名前とトラスティー(保証する銀行)の名前は公開しないでほしい、ということで、モザイクがかかっていました。私は、「そんなに隠すようなものか?堂々と公開すれば良いではないか」と思っていました。先日、そのビデオを見直したところ、偶然だと思いますが、その数百ページあるという目論見書のトップページに、そのCLOの名前が写っていました。

LYON CAPITAL MANAGEMENT の LCM V Ltd です。

メイヤーブラウンを見てみると、

Transaction Name Collateral Manager / Servicer Arranger / Agent Closing Date
LCM V, Ltd. Lyon Capital Management LLC Banc of America Securities March 21, 2007

ということで、担当銀行はバンカメ(バンクオブアメリカ)ということでした。

そのほかにも、

LCM I Limited Partnership Lyon Capital Management LLC Goldman Sachs May 30, 2003
LCM II Limited Partnership Lyon Capital Management LLC Merrill Lynch / Calyon Securities November 9, 2004
LCM III Ltd. Lyon Capital Management LLC Banc of America Securities / Calyon Securitiees (USA) April 21, 2005
LCM IV Ltd. Lyon Capital Management LLC Merrill Lynch / Calyon Securities August 2, 2005
LCM VI Ltd. Lyon Capital Management LLC Banc of America Securities May 30, 2007

と、1~6までラーンチされていることがわかります。

* CLO(ローン担保証券)とは

CLOは、CDO(資産担保証券)のひとつ。CDOのうち、担保となる資産が債券類のみだとCBO、貸付債権のみだとCLOと呼ばれる。簡単に言うと、金融機関が貸し出しているローンの元利金を担保にして、証券化された債券。普通は、ローンは流動性に劣るが、市場性の高い債券にすることで、キャッシュに換えることが容易になる。アメリカの住宅ローンは、ノンリコースが一般的であるが、CLOがなければ実現しなかっただろう。もちろん、リスクの飛ばしと表裏一体と言われても仕方ない。
このケースでは、Lyon(金融機関)がローンを各LLC(特別目的会社)に売却、LLCが債券を組成、投資家が購入、ローンからの元利金を投資家が受け取る。
CDOと同じく、複数の債券をミックスして、さらにリスクごとにスライスし、シニア債・メザニン債・劣後債などの債券にバラバラにされる。クズ同然のローンから格付けが高い債券を組成することが可能だが、その格付けが当てにならなかったことは周知の通りである。

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図は野村証券

番組では、この会社や証券化商品を悪者扱いはしておらず、普通に紹介していました。しかし、「最低投資金額が大きく、機関投資家向け」「しかも、目論見書が数百ページ」「この金融商品の内容を正確に理解できる人間は、世界に10人しかいないだろう」というコメントがあったように、このCLOではないにしても、あまたのCDOなどを、「よくわかっていない機関投資家に売りつける」という行為がまかり通っていたとしても、不思議ではありません。

事実、いろいろな私大が、よくわからないデリバティブを買わされて、膨大な損失を出しています。もとをただせば、学生が納入した学費なのでしょう。つくづく、「日本はむしりとられる存在」なのだと、暗澹たる気持ちになります。

こんな今こそ、「ファイナンシャル・リテラシー」を身に付けるべきだと、提言します。その鉄則のひとつは、「分からないものには、手を出さない」です。

(番組紹介)

【金融爆弾商品の実態 ~外資系証券マンの告白】
今回の金融危機の本質はどこにあるのか?実は、低所得者向けの住宅ローン=サブプライムローンだけではなかった。いま、欧米の金融機関を麻痺させてしまった根源が、「クレジットもの」と呼ばれる金融派生商品だといわれている。金融工学を駆使し、自動車ローンや保険など、あらゆる「クレジット」を組み込んで証券化した金融商品だ。
しかしそれらが今、買い手がつかなくなり、どこまで価値が下がるか分からないという疑心暗鬼の状態、「信用収縮」が進んでいるのだ。アメリカ政府が決めた公的資金の注入などでは、とても対応できそうにない。こうした、複雑怪奇な金融商品はなぜ、どのような仕組みで作られ、日本や欧州の金融機関に販売されていったのか?
ガイア取材班は、こうした金融商品に携わっていた外資系証券マンと接触した。アメリカ最強の投資銀行軍団が一斉に群がり、崩壊に導いた金融派生商品。巨額の報酬を手にすべく走り続け、崩壊の崖っぷちに突っ込んだ顛末を、その人物は生々しく証言…。
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by kanconsulting | 2008-12-22 09:58 | 経済状況
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