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世界の財政出動 アメリカの膨大な赤字 日本の行く末

何度も書いていますが、未曾有(ミゾユー)の経済危機について、すでに、恐慌と呼ぶべき状態になっていると考えています。何年か前には、「恐慌?はあ?何を寝言を。煽りも大概にしろ。」という受け止めだったことを考えると、別世界に来たような、あるいは長く続く悪い夢を見ているような気もします。

(各国の財政出動などによる景気対策)

日本 12兆円
アメリカ 70兆円以上?
イギリス 2.7兆円
ドイツ 6.4兆円
フランス 3.3兆円
中国 53兆円

(WBS調べ)

簡単な経済学上の理解であれば、需要が減れば価格が下がり、それによって需要が回復するというのが、セオリーです。しかし、住宅の例に見るように、価格が上がっているほうが需要が強く、価格下落局面では需要が減退するというのが実情に近いようです。給与(ひいては企業業績)が、資産価値のアップ/ダウントレンドに連動しているから、というのが普通の理解でしょう。加えて、ローンの通りやすさもあるでしょう。ですので、トレンドが変わらないことには、住宅も車も、売れないのです。ましてや恐慌ではなおさらです。なので、国に何かを期待するというのも、自然なことでしょう。

しかし、これも何度も述べていることですが、単発の財政出動では、永続的な効果がありません。つまり、バラマキは、半永久的に続ける必要があるのです。そんな国家は存在し得ないことは、直感的に分かると思います。

単発であっても、各国の財政出動は、財政の維持可能性を損ないます。特に、アメリカでは、この2ヶ月(10月~11月)の財政赤字が、過去最悪であった2008年度(2007年10月~2008年9月)と同程度の、空前の規模になっています。

このブログでは、ドル基軸通貨の維持可能性と、アメリカ覇権システムの安定性について、重大な疑問を投げかけています。ですが、「アメリカより日本が良い」ということにはならず、『アメリカとその国際政治経済システムのために、日本は犠牲にされる可能性がある』とも、述べてきました。

たとえば、日本の貿易収支赤字転落があるでしょう。

(引用開始)

10月経常黒字半減 輸出落ち込み8カ月連続マイナス

財務省が8日発表した2008年10月の国際収支速報で、海外とのモノやサービス、投資などの総合的な取引状況を示す経常収支の黒字が前年同月比56.5%減の9605億円になった。黒字幅の縮小は8カ月連続。資源高で輸入額が増加する一方で輸出額が減少し、貿易黒字が縮小した。円高や海外景気の減速で所得黒字も大幅に減り、日本経済の黒字を稼ぐ力が低下している現状が鮮明になった。
貿易収支は1458億円の黒字で、前年同月に比べ87.2%減少した。輸出額は7.3%減少。米欧向けの自動車が不調だったほか、アジア向け半導体も落ち込んだ。一方、輸入額は8.0%増えた。原油など資源価格は前年に比べ依然高水準にあり、貿易収支を圧迫した。

日本経済新聞

(引用終了)

関連した過去の記事から転載します。

来年にかけて、国の借金は増えざるを得ないでしょう。国の財政再建と、信用創造の回復は、見かけ上トレードオフですが、国民生活の回復なくして、国家財政への信任の回復もないのかも知れません。とはいえ、巨額すぎる借金は、いろいろな方法で棒引きされてきたのが、歴史の常です。

今、アメリカは、覇権国として、『終わりの真っ只中』にいるのです。ひとつのヘゲモニーが終わる、ある意味での世紀末と言えるでしょう。そして、その意味するところは、明白です。

バラマキをしている間は、フローは増えるため、所得や支出は増えるだろう。雇用も増える(失業は減る)だろう。
しかし、バラマキを止めれば、所得や支出は戻ってしまうだろう。水増し分の雇用は減るだろう。つまり、永続的な効果はないだろう。
つまり、バラマキは、単発の「水物」であり、本質的に景気を回復させるような「資産効果」はないということです。当然といえば当然でしょう。


何度も書きますが、流動性を供給しても、経済実態の回復を伴ったものではありませんので、市場はやすやすと息を吹き返しません。過剰流動性を得て、相場は乱高下しながら、逃げ遅れた一般市民と企業に、とどめの一撃を準備しているのだと思います。
by kanconsulting | 2008-12-24 09:42
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