マンションなど不動産購入のためのローン(融資)が通らない、という声をよく聞きます。それは当然だと思います。なぜなら
・銀行の自己資本の毀損、引当金確保のための貸し渋り ・マンションは、販売後に中古品となり大きく処分価値が下がってしまうため、担保価値が低く、加えて不動産価格も下がりつつある中で、大きな与信はできない ・上場企業であっても容易に倒産してしまうため、サラリーマンへの与信には慎重にならざるを得ない 「何もわからない個人に貸し付けまくって、消費を喚起する構造」は、終わったのです。 さて、世界中で、債務不履行が増えています。 ムーディーズによると、「09年末の世界ジャンク債デフォルト率、15.1%に急上昇へ」として、2009年末までの世界のジャンク債のデフォルト率が15.1%となり、前年末時点の4%から急上昇するとのことです。大恐慌時の数値(1933年6月の15.9%)に迫る数値のため、文字通り、現在の経済環境は恐慌レベルなのだと思います。 ・欧州ジャンク債デフォルト率 08年末2% 09年末18.3% ・米国ジャンク債デフォルト率 08年末4.4% 09年末15.3% 日本ですと、「債務不履行が最悪3・1% 昨年10月、20カ月連続で上昇」として、金融機関の取引先企業のうち、過去1年間に3カ月以上返済が延滞したり、破綻(はたん)懸念先以下となった件数の割合が3.1%となり、20カ月連続で上昇、過去最高を更新したとのことです。その分、引当金を積む必要がありますので、自己資本が毀損し、「体力のない企業には貸したくない。回収したい。」というインセンティブが働くのでしょう。 自己資本8%(レバレッジ12倍)の銀行で、デフォルト率3%(金額ベースは不明ですが、デフォルト企業には中小企業が多いことを考慮して、仮に0.3%とします)のための引当金(100%)を積むとすると、自己資本を維持するためには、3.6%もの貸し剥がしをする必要があります。これが大企業に及んで、デフォルトが金額ベースで1%になれば、12%もの返済強要となり、とうてい返済できるものではありません。 関東圏、関西圏のマンション完成在庫も、一向に減りません。「今はまだ買いたくないし、そもそも買えない」のでしょう。不動産については、一昨年(2007)の秋にはすでに凋落の兆しが見えていましたが、まだまだこれから冬の時代になるのだと思います。 (引用開始) 近畿の08年マンション発売、24%減…ピークから半減 不動産経済研究所が20日発表した近畿2府4県の2008年の新築マンション発売戸数は、前年比24・7%減の2万2744戸だった。バブル崩壊後の1993年(2万772戸)以来、15年ぶりの低水準で、ピークだった96年(4万4430戸)のほぼ半分に落ち込んだ。売れ行きを示す契約率も60・4%と、好不調の目安とされる70%を2年連続で下回った。91年の55・1%以来、17年ぶりの低さで、マンション市況の冷え込みを鮮明にした。 首都圏でも、発売戸数は前年比約28%減の4万3733戸と大幅に落ち込んだ。5万戸を割り込んだのは93年(4万4270戸)以来、15年ぶりだ。 同研究所は、昨年半ばまでの資材価格高騰などで建築費が上昇したところに、景気の急速な悪化が追い打ちをかけ、買い控えが広がっていると分析している。 発売戸数の減少を上回るペースで売れ行きが鈍り、マンションの在庫は膨れ上がっている。近畿2府4県の08年末の在庫は07年末と比べ10%増え、6344戸だった。02年末(7168戸)以来の高水準だ。 在庫を減らすために、大幅な価格の引き下げを行う分譲会社もある。兵庫県芦屋市では、当初7630万円の価格を2200万円値引きして売るケースもあった。業者は「年度末に向けて、たたき売りの状態になっている」と嘆く。 値引き競争が広がれば、経営体力の弱い分譲会社は苦しい。帝国データバンクによると、08年に経営破綻(はたん)した分譲会社は、全国で前年より40社増えて53社で、近畿も5社多い7社だった。経営に行き詰まる業者は今後、さらに増えるとみている。 (2009年1月21日 読売新聞) --- 首都圏マンション発売15年ぶり5万戸割れ、契約率62.7% 2009/01/21 不動産経済研究所が20日発表した2008年の「首都圏マンション市場動向」によると、新築マンション発売戸数は前年比28.3%減の4万3,733戸となり、1993年以来15年ぶりに5万戸を割り込んだ。減少幅は1991年のバブル崩壊時(34.5%)以来の大きさ。 エリア別では、東京都区部が5.8%減と比較的小さな減少幅にとどまったほかは、いずれも30%以上減少。特に東京都下と千葉県はそれぞれ43.6%減、44%減で4割強の落ち込みとなった。 一戸当たりの平均価格は前年より2.8%高い4,775万円で、6年連続の上昇。しかし、エリア別でみると、東京都下が9.5%値上がりのみで、ほかのエリアは0.6~3.1%の値下がりとなった。もっとも平均価格が高かったのは東京都区部の5,932万円、逆に低かったのは千葉県で3,589万円。 売れ行きを示す契約率は2007年(69.7%)をさらに7.0%下回る62.7%で好不調の目安とされる70%を割り込んだ。12月末現在の在庫数は1万2,427戸で、2007年末に比べて1,664戸増加した。 なお、いわゆる「億ション」の発売戸数は前年比5.7%減の1,268戸。過去最多だった1990年(3,079戸)の半分以下にとどまった。最高価格は港区のマンションで13億9,500万円。 2009年の首都圏のマンション販売戸数については前年比7.5%増の4万7,000戸と予想。昨年12月発表の「首都圏マンション市場予測」(同研究所)によると、市場回復は低価格物件の導入が急がれる郊外部からで、用地費や建設コストが落ち着いた「新価格」物件が秋口以降に出てくると予測。超高層、超大型物件は依然人気を集めるものの、リスクを回避し中小の物件が主力となるとしている。 --- 08年のマンション発売戸数、28%減 ピーク時の00年の半分以下 不動産経済研究所(東京・新宿)が20日発表した2008年の首都圏のマンション発売戸数は07年に比べて28.3%減の4万3733戸となり、ピークだった2000年(9万5635戸)の半分以下の水準に落ち込んだ。過去の地価上昇に伴う販売価格の上昇で購入を控える顧客が増えたうえ、景気後退で消費者心理が冷え込んだことから発売戸数が大幅に減少した。金融機関が開発業者への融資姿勢を厳しくしていることも影響しているもようだ。 発売した最初の月に契約を結んだ初月契約率は、08年は月間平均で62.7%となり前年を7.0ポイント下回った。販売の好不調の目安となる70%も大きく下回った。 同時に発表した08年12月の発売戸数は前年同月比18.2%減の6696戸となり、16カ月連続の前年割れとなった。契約率は61.9%だった。みずほ証券の石沢卓志チーフ不動産アナリストは「昨年9月の『リーマン・ショック』以降、金融機関が融資にかなり慎重になっている。金融市場の混乱が収まり、不動産市況が回復するまであと2年はかかるだろう」とみている。 (引用終了)
by kanconsulting
| 2009-01-21 21:27
| 経済状況
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