日本とアメリカ 産業構造と潜在成長力 弱い潜在成長率とマイナス実質経済成長率予測

最近のコメント欄から、いくつか話題を載せたいと思います。

(1)日本の産業構造と潜在成長力

最近のニュースによると、日本の潜在成長力が、徐々に下がってきているということです。そもそも、実質経済成長率はマイナス予測ですが、紙幣をばら撒いて潜在需要を喚起しても、「力強い成長」には程遠い、といったところでしょう。

(潜在成長率)
07年度 1.6%
08年度 1.2% (民間予測)
09年度 0.9% (民間予測)

(実質経済成長率)
08年度 -1.8% (日銀金融政策決定会合
09年度 -2.0% (同上)

潜在成長力とは?
普通、生産設備などの資本には余剰・遊休があり、労働力にはリストラやミスマッチによる失業分があります。今現在の経済で、こういった資本の余剰や失業がなく、フル活用されたと仮定した場合に、そのGDPを「潜在GDP」、インフレ率の変化なしに達成できる実質成長率を「潜在成長率」と呼びます。
実際の実質成長率=潜在成長率+GDPギャップ
「実質」とあるのは、貨幣換算のGDPの増大(減少)を、価格上昇(下落)分と生産増大(減少)分に切り分けて、生産増大(減少)分のみを抽出した、という意味です。


産業のシフトは、言うほどには進まないというのも事実と思います。それをゾンビ企業の退場と、雇用市場の流動化によって進めようとしたのが、いわゆる小泉改革だと思いますが、結果から見ると、失敗でしょう。(コストカットのための非正規雇用、中高年フリーターの増加を招いただけで、日本の産業構造を高めることにはなりませんでした)。ITのような高度の技術を要する産業に人をシフトさせるのは容易ではないのでしょう。

(2)日本とアメリカの債権債務関係の行く末と経済成長

日本とアメリカの債権債務関係の行く末については、繰り返しになりますので、「日本はアメリカ国債の放棄を 債券のデフォルトか紙クズか 戦争の足音」を参照ください。

経済成長には、制約条件があります。そのうち主要なものは、昔も今も、「(天然)資源」と「労働力」ですし、それに「環境」を加えても良いでしょう。石油資源が(値段はともかくとして)量的な制約を受けることは事実ですので、もはや「ムダ使い」は許容できないという見方をしています。

労働力で言うと、アメリカは若くて優秀な人材が育つ・集まってくる潜在成長率の高い国ですので、ムダをそぎ落として筋肉質に生まれ変わることが出来れば、復活もありうることと思います。

関連したコメントを転載します。

(転載開始)

(1)景気は急速に悪化 下半期は貿易赤字 中小企業は壊滅的

Commented by surnivers at 2009-01-24 12:11 x
凄い落ち込み方ですよね。
正直言って驚きました。
ここまで急激に落ちるものなのかな?と疑いましたが、しかし事実のようです。
こうなって来ると、日本の場合は負のスパイラルが始まってしまいますね。
どこかで区切りをつけないと行けません。
ワシはその為に産業のシフトをするべきだと思いますが、今の政府には第三次、第四次産業の重大さが分っていないようです。
日本が一番強いのは正にここですのにね。
困ったものですね。

Commented by kanconsulting at 2009-01-26 09:09 x
surniversさん
コメントありがとうございます。確かに、これまでは「対岸の火事」という受け止めが多かったと思いますが、ようやく来るべきものがきた、という感じですね。好景気(?)からの、いきなりの世界不況ですから、悪い夢を見ているような気もしますが、これまでの好況が夢だったのかも知れません。そして、負のスパイラルが始まるというのも、ほぼ事実でしょう。
産業のシフトは、言うほどには進まないというのも事実と思います。それをゾンビ企業の退場と、雇用市場の流動化によって進めようとしたのが、いわゆる小泉改革だと思いますが、結果から見ると、失敗でしょう。(コストカットのための非正規雇用、中高年フリーターの増加を招いただけで、日本の産業構造を高めることにはなりませんでした)。ITや環境のような高度の技術を要する産業に人をシフトさせるのは容易ではなく、アメリカのような「若くて優秀な人材が育つ・集まってくる」潜在成長率の高い国でないとムリ、ということと理解しています。

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(2)日本はアメリカ国債の放棄を 債券のデフォルトか紙クズか 戦争の足音

Commented by buu at 2009-01-19 23:50 x
ドルのような紙切れや帳簿の数字がどうなろうと、どうでもいいことです。
債権放棄するのはとても賢い判断です。ドルを積み上げるために努力したおかげで日本の生活・技術・教育水準は大きく向上しました。
アメリカ人が放蕩の限りを尽くしたからこそ、日本の今があります。
日本人が国債を買ってアメリカを支え続けたからこそ、アメリカ人は研究・開発に専念し、インターネットなんかを使ってこういう風に意見を世界に発信できるようになりました。

お金とは誰かの負債なのだから、放蕩の限りを尽くしたアメリカ人と、勤勉に貯蓄していた(言い方を変えればけちな)日本人は共犯です。どちらかが破滅すればもう片方も破滅するのは仕方ないと思います。
うまくいかなくなれば、リセットして同じゲームを繰り返せばいいじゃないですか。 いくら浪費しようと、貯蓄しようと、所詮は紙切れにすぎません。チャラにすればよいのです。

Commented by kanconsulting at 2009-01-20 22:23 x
buuさん
コメントありがとうございます。アメリカ(人)が無駄遣いをすることを日本(人)が支えたこと、その両者が一蓮托生であることは、それはこのブログでも何度も述べていることです。ですが、結論は、私とは異なるようですね。

債権と債務は表裏一体です。ですが、共犯(共同犯罪)とまでは言えないでしょう。それではまるで信用創造そのものが犯罪行為であるということと同じです。国家間のマネーフローは、必ずしも単年度でバランスしないので、持続可能な範囲でストックとして積み上げられることは、別に悪いことではありません。

ですが、無駄遣いの存在を許せるほど、もはや資源に余裕はありません。「同じゲームは繰り返せない」のです。

(転載終了)
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by kanconsulting | 2009-01-28 09:30 | 経済状況
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