アメリカ・イギリスのAaa格付けが試されている 金融産業の威光は消失 小泉元首相の麻生批判

「(先進国のトリプルA格付けには)既に疑問符が付いている」(グリーンバーグ・トラウリグ、ブルース・ジリンスキー氏)
「米国のトリプルA格付けへの信頼が揺らぐ中、米国への投資が減少し、代わりに中国などに投資が向かう可能性がある」(ブリッジ・アソシエーツ、アンソニー・シュネリング氏)

※ムーディーズの場合、トリプルAはAaaとなります

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これまで、アメリカか日本で、国家財政破綻がありえるが、そのどちらが先になるかは分からない、と指摘しました。また、日本の格付け(正確には、国そのものではなく、長期国債の格付け)についても、何回も指摘してきました。

今回、ムーディーズは、トリプルA格の国を、今回の危機への抵抗力によって、3つのグループに分類したということです。(日本(国債)の格付けは、「Aa3」で、上から4番目)

(銀行の崩壊により、ポンドの価値が対円で半分程度になったイギリスが、まだAaaというのも、変な話ですね。アイルランド(アイスランドではありません)も似たようなものでしょう。それらよりも格付けがはるかに劣る日本が、世界最強の通貨を有するというのも、もっと変な話だと思います。)

【最も抵抗力のあるグループ】
・ドイツ、フランス、カナダ、スカジナビア諸国
・世界的な景気低迷に対する抵抗力が比較的強い
・「強い向かい風の中でも、格付けが試されることはない」

【上から2番目のグループ】
・アメリカ、イギリス
・「トリプルA格付けが、世界的な景気低迷によって『試されている』」
>「試されている」との表現は、格付けが「リスクにさらされている」ことの遠まわしな表現
・「成長モデルが打撃を受け、多額の、場合によっては予期せぬ債務の発生により、格付けが試されている」
・「しかし、試練に立ち向うための適切な対応力も、持ち合わせている」

【危機への抵抗力が最も低いグループ】
・アイルランド、スペイン
・「リスクを国家財政で背負うことを余儀なくされた国」
・スペイン:財政状況を改善できる手段はわずか
・アイルランド:公的財政が直面している著しい困難に対処するにはわずかな手段しか残されていない

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そもそも、ムーディーズの格付けは、日本に厳しく欧米に甘いというような、恣意的な判断を含んでいるのではないかとも思っていましたが、それが剥がれたと言う判断のほうが適切なのかも知れません。

何が剥がれたのでしょうか?

「金融産業」「金融立国」という、信用を膨張させるシステムを有している(胴元である)、という強みが、もはや強みではなくなった、ということなのでしょう。

であるとするならば、この後の展開は、ある程度読めます。何度も書いていますが、「お金があるところから、お金を引っ張ってくる」ということなのです。アメリカ新大統領政権の初期の仕事は、「アメリカ国債のファイナンスをするために、日本から資金を出させること」なのでしょう。

最近の小泉元首相の、麻生批判のコメントも、「アメリカに逆らうな。これまでどおり、あるいはこれまで以上に、年貢を納めろ。逆らうと、ひどいぞ。」ということなのだと理解しています。

(引用開始)

米英のトリプルA格、景気低迷で「試されている」=ムーディーズ
2009年2月13日

[ニューヨーク 12日 ロイター] ムーディーズ・インベスターズ・サービスは12日、米国と英国のトリプルA格付けは世界的な景気低迷のなかで「試されている」と述べた。一方、ドイツやフランス、カナダといった国は比較的底堅いことを示しているとした。
ムーディーズは、トリプルA格の国を現在の危機に持ちこたえる能力に従って分類した。
ムーディーズの国際チーフエコノミスト、ピエール・カイルトゥ氏は投資家や記者向けの電話会議で「米国と英国で構成されるグループは、成長モデルへの打撃や、非常に巨額で場合によっては予定していない負債により、格付けが試されている。しかし、こうした国々は課題に直面した際の適切な対応力を示したと考えている」と述べた。

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米英のトリプルA格付け、景気低迷で「試されている」=ムーディーズ
2009年2月13日

[ニューヨーク 12日 ロイター] ムーディーズ・インベスターズ・サービスは12日、米国と英国のトリプルA格付けは、世界的な景気低迷に「試されている」との見方を示した。一方、同じくトリプルA格のドイツ、フランス、カナダなどは、世界的な景気低迷に対する抵抗力が比較的強いとした。
ムーディーズはトリプルA格の国を今回の危機への抵抗力に従い、3つのグループに分類。米国と英国は上から2番目のグループに入るという。
ムーディーズの国際チーフエコノミスト、ピエール・カイルトゥ氏は投資家と記者向けの電話会議で「米国と英国が分類されるグループは、成長モデルが打撃を受け、多額の、場合によっては予期せぬ債務の発生により、格付けが試されている」と説明した。
ただ「ムーディーズはこのグループに分類された国も、試練に立ち向うための適切な対応力を持ち合わせていると考えている」と述べた。
一方、アイルランドとスペインは、危機への抵抗力が最も低いグループに分類された。ムーディーズはこうした国は「リスクを国家財政で背負うことを余儀なくされた国だ」と説明している。
また、最も抵抗力のあるグループには、ドイツ、フランス、カナダ、およびスカジナビア諸国が入った。ムーディーズはこうした国々は「強い向かい風の中でも、格付けが試されることはない」としている。
アナリストの間では、トリプルA格付けが「試されている」とのムーディーズの表現は、格付けが「リスクにさらされている」ことの遠まわしな表現との見方が強い。
グリーンバーグ・トラウリグのブルース・ジリンスキー氏は、トリプル格付けには「既に疑問符が付いている」と述べた。またブリッジ・アソシエーツのマネジング・ディレクター、アンソニー・シュネリング氏は、米国のトリプルA格付けへの信頼が揺らぐ中、米国への投資が減少し、代わりに中国などに投資が向かう可能性があると指摘した。

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スペインとアイルランド、最上級格付け国では最もぜい弱=ムーディーズ
2009年2月12日

[ロンドン 12日 ロイター] 有力格付け機関のムーディーズ・インベスターズ・サービスは12日発表したリポートの中で、スペインはアイルランドとともに、公的財政に関するリスクが著しく大きく、最上級の格付けを持つ国の中では最もぜい弱だ、との認識を示した。
リポートは、いずれの国についても格付けおよび見通しの変更には言及していない。
ムーディーズはさらに、英国、米国、アイルランドは、リセッション(景気後退)対策として財政政策を緩和しているため、厳しい債務状況に直面していると指摘。そのうえで、英国と米国は状況を改善できる可能性があるとの見方を示した。
スペインについては、財政状況を改善できる若干の手段はわずかだけだと指摘。先月見通しを「Aaaネガティブ」としたアイルランドに関しても、公的財政が直面している著しい困難に対処するにはわずかな手段しか残されていない、と述べた。
ムーディーズは、スペイン、英国、米国の見通しについては、いずれも「Aaa」で安定的としている。

(引用終了)
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by kanconsulting | 2009-02-16 19:20 | 経済状況
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