バーナンキ米FRB議長「米景気回復は2010年から」 オバマ大統領「米国株は買い時だ」 通貨の価値は

「恐らく年内に景気後退は終わるだろう。(そして)来年から景気回復が始まるだろう」(バーナンキ議長)

「長期的な視点に立てば、株を購入するのは得策だ。米国債や民間企業など、米国への投資の健全性について安心してよい」(オバマ米大統領)

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バーナンキ議長が、生放送のTV番組に出演して、コメントしたということです。

一言で言うと、ポジショントークだと思います。通貨権力のエージェント(代理人、簡単に言うと「手先」)であるバーナンキ議長が、修正や検閲のできない生放送のインタビューに出演するということで、よほどせっぱつまっているのだということが、よく分かります。

加えて、オバマ大統領も、アメリカ内外に向けて、ポジショントークを発信しています。

誤解のないように書き添えておきますが、ポジショントークそのものは、広告宣伝のようなものですので、別に悪いものではありません。人を欺き、騙すためのポジショントーク(大本営発表)がダメだ、と言っているだけです。

さて

現実問題として、2010年には、景気は底を打つと思っています。しかし、それは「以前の水準に戻る」ということを意味しません。「下がりきって、これ以上悪くならない状態になる」という意味ですが、それは、「あと1年間、文字通りの地獄を味わう可能性がある」という前提を含みます。

現在起きているのは、信用不安が高じて、信用恐慌になる段階ですので、一種の取り付け騒ぎといっても、不思議ではないでしょう。それがあと1年も続くとしたら、まともな企業でも、どんどん潰れていくことが、十分ありえます。

(引用開始)

バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は15日放送のCBSテレビのインタビューで米景気回復について
「来年から景気回復が始まるだろう」(中略)
 バーナンキ議長は「恐らく年内に景気後退は終わるだろう」としつつも、金融安定化が回復の前提になると強調。失業率(2月は8.1%)も上昇する可能性が高いとの見方を示唆した。

日本経済新聞

バーナンキ米FRB議長、「米景気回復は2010年から」

米連邦準備理事会(FRB)バーナンキ議長は15日、米景気回復時期について、「米景気後退は今年いっぱい続くだろう。後退速度は緩和されるが、失業率が(サブプライム問題が発生する前の状態まで)回復する兆しは見えにくい。今年下期には景気後退の終焉の兆しが見えることを期待している」と述べた。(中略)
米CBS放送の「60 Minutes」に出演したバーナンキ議長は、米議会には1月に「2007年12月に生じた米景気後退が今年度中に終焉を迎え、2010年には回復に向かうと判断する十分な根拠があると伝えたことを述べた。

IBT

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12年ぶり安値、米国株は「買い時」…オバマ大統領が推奨

「長期的な視点に立てば、株を購入するのは得策だ」。オバマ米大統領は3日のブラウン英首相との会談後、約12年ぶりの安値水準に落ち込んでいる米国株について、「買い時」との見解を示した。
大統領は「株式市場の日々の乱高下は気にしない。米国と世界経済は立ち直る長期的な能力がある」と強調。「金融安定化策が効果を発揮、景気が上向くことに自信を持っている」と述べた。
大統領肝いりの安定化策に対する失望売りへのいらだちも「推奨」発言につながった模様だ。

読売新聞

対米投資の健全性、安心してよい=オバマ大統領

[ワシントン 14日 ロイター] オバマ米大統領は14日、中国やその他の国々は、米国債や民間企業など、米国への投資の健全性について安心してよいと強調した。ブラジルのルラ大統領との会談後に述べた。
両大統領は会談で幅広いテーマについて話し合ったという。ルラ大統領は、両国が世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の再開に向けて協力すべきだと述べた。一方、オバマ大統領は、バイオ燃料貿易をめぐる両国の対立は時間をかければ解決できるとの見解を示した。
このほかルラ大統領は4月の20カ国・地域(G20)の首脳会合(金融サミット)のための提案を米国と協力してまとめる意向を示した。

朝日新聞

(引用終了)

そもそも、なぜこのようなひどい事態になったのか、何度も考えてみる必要があります。これまで何度も指摘していますが、一言で言いますと、「(通貨の)過剰流動性」ということに尽きます。

信用通貨が過剰にあり、つまり、(借りたものであれ投資されたものであれ)手元に遊んでいるキャッシュがあるならば、それなりの利回りが得られるように期待されます。ですが、そのような時期には、相対的に、まともな投資先は減ってきます。堅実で儲かる商売は自前で資金調達できるようになり、優良株は資金流入により益利回りは減少し、債券であればこれも利回りは下がります(債券価格は上昇)。

怪しげで、なんだかよくわからない金融商品でも、
「こんな聞いたことがない金融商品でも、これしかないのなら、仕方ないなあ」
「期待利回りを考えると、こんな投資案件に手を出すのも、やむを得ないなあ」
となっていたことは、容易に想像できます。

(これが、「好景気には、あやしげな投資案件が横行し、それに投資家がカネを出してしまう、金融詐欺が多発する」、というひとつの原因でしょう)

Caballeroは、これを、「問題は資金の過剰ではなく、金融商品の不足である。新興国などの旺盛な投資意欲を満たす安全でリターンの高い金融商品が慢性的に不足しており、アメリカの投資銀行がその需要を満たしたため、資金がアメリカに流入したのだ」と指摘しています。(池田信夫ブログより)

これが、アメリカ株式は、これまで良い投資対象だった理由のひとつですが、もうひとつの理由は、「実物資産から、金融資産への乗り換え」が奨励されてきた、ということです。

簡単に言うと、アメリカの思惑により、世界中の銀行を巻き込んだ、実物資産(ゴールド)から、株式への乗換えが、当時のワールドバリュー(日本語で言うとグローバルスタンダード)だった、ということです。ゴールドの価値を抑制することで、相対的に、信用貨幣の価値を維持することが可能でした。その歪みが、株式価値の上昇を生んだのでしょう。

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株式は、余剰に発行すれば、希薄化(益利回りの減少)により、市場での価格下落は避けられません。そのあたりをシビアに評価できる投資家が参入することで、株式vs貨幣、という流動性ある値付けシステムが働いているからです。

貨幣はどうでしょう?貨幣を余剰に発行すれば、その分貨幣の価値は下がる(インフレになる)のでしょうか?究極的にはそうなのですが、短いタイムスケールでは、そうではありません。貨幣の供給量の増減があっても、それが即座に物価に反映されるようなシステムは存在しません。貨幣の値付けを、別の通貨で行う流動性あるシステムは存在しないのです。

(外国為替がそうなのだ、という指摘があるかもしれません。しかし、これは実需と仮需が入り乱れた取引であり、仮需にしても、金利・物価・国際マネーフローのファンダメンタルズに大きく左右されますが、通貨供給量の大小・変化速度に大きく依存するという話は聞いたことがありません。通貨をジャブジャブに流して、それが物価や金利などに影響することで、為替水準が変わる、という話はありえます。)

(今回は、NAIRUなどの話は省略します)

ということで、直感的な理解では、通貨をジャブジャブに発行しても、ある一定のポイントまでは、物価にはあまり影響しない、という話ができると思います。特に、過剰に流したマネーが、実需ではなく、退蔵された場合には、「砂漠に水をまくようなもので、インフレにはならない」でしょうし、金融商品に流れ込んだ場合には、「インフレにならずに、資産バブルになる」のだと思います。
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by kanconsulting | 2009-03-18 23:57 | 経済状況
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