経常赤字1728億円 貿易赤字8444億円 金利収入生まれず 株式運用は悲惨 機関投資家の惨憺さ

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図は読売新聞より

2009年1月の国際収支(速報)によると、

経常収支 ▲1728億円 (単月度赤字は85年1月以降では4回目)
 所得収支 9924億円 前年同月比31.5%減
 貿易・サービス収支 ▲1兆1002億円 (1985年1月以来最大、赤字は4カ月連続)
  うち貿易収支 ▲8444億円
   輸出 3兆2822億円 前年同月比46.3%減
   輸入 4兆1266億円 前年同月比31.7%減
  うちサービス収支 ▲2558億円 赤字額2.7%拡大

経常収支:海外とのモノ・サービス・投資など全体の取引状況を示す
所得収支:海外投資から受け取る利子・配当などの収益を示す (海外子会社からの配当収入、債券利子の受取額など)

このように、
「日米欧は政策金利を引き下げており、金利収入が生まれない状況」
「株価も世界同時安の様相を呈しており、海外からの投資回収も困難な状況」
という経済環境からは、当然ともいえる結果となっています。

実は、このようなときこそ、「国債売り、株式買い(日本株ではないですよ!)」の好機なのですが※、多くの人と機関投資家が、これまでになくリスクに敏感になり、現預金と国債を離さない状況ですから、「わかっちゃいるけど、できない」のだと思います。

(年金基金、生命保険などの運用状況は、惨憺たるものですが、その帰結については別途述べます)

メーカーの現場の声を聞いていますと、少しずつではあるが商品が動き出しており、トンネルの先が見えてきた、という表現がマッチします。景気が回復してきたのではないか?と思うにはまだ早計ですが、その成分の大半が「期待料」である株価などは、「人々の(甘い)期待」を織り込んで回復基調になってもおかしくありません。

(アメリカドルを含む各国家の通貨システムに、CDOを含む各種不良債権のツケを回した形となった『壮大な飛ばし』であることは、これまでに何度も述べていますが、その根本は何も解決していないのが現状です。そのことについては、別途述べたいと思います。)

さて、これまでに、
「日本が成熟債権国となっていく」
「世界の中での日本をめぐるマネーフローが、大きな転換を迎える」
「当然、(日本の)株式や、(クロス円の)為替の水準も、変わっていく」
「日本が貿易赤字に転落する、ターニングポイントが近い」
「アメリカ・アメリカドル・その国際政治経済システムのために、日本は犠牲にされる可能性がある」
などと述べてきました。たとえば、

(転載開始)

景気は急速に悪化 下半期は貿易赤字 中小企業は壊滅的

貿易黒字が、急速に減少しています。下半期だけで見ると、貿易赤字です。記事にもありますが、波及効果の大きい自動車製造業から、製造業全体に影響が及び、ついで非製造業に、負の連鎖が広がっていくのでしょう。
ということは、今年(注:2009年)は、日本が貿易赤字に転落する、ターニングポイントなのでしょう。これまでも述べましたが、世界の中での日本をめぐるマネーフローが、大きな転換を迎えるのだと思います。

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経常黒字減少 貿易収支赤字続き 海外への資金流出21兆円 経済状況の発展段階説

今後、日本も成熟債権国となっていくにあたり、日本からみたマネーの大きな流れが変わる、大きな節目にきているのだと思います。当然、株式や為替の水準も、変わっていくでしょう。このあたりは、「経済状況の発展段階説」に関連した過去の記事を参照ください。

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日本の動向 赤字国債発行へ 消費税5%アップ 貿易赤字とゼロ成長 再びデフレに 恐慌の香り

10月の貿易収支は、大きく赤字となりました。もちろん、単月度の赤字であれば、別に気にする必要はありません。しかし、これから当分の間、「日本が貿易赤字国」という傾向が続くとするならば、多方面にいろいろな影響が出てくることと思います。

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ドル安・資源高 信用不安とスタグフレーション

・次の円安サイクルでは、日本は経常赤字(=貿易赤字)国になる可能性も
・人口動態や国としての成長力を考えると、対ドルはともかく、他通貨に対しては、減価していかざるを得ない

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世界の財政出動 アメリカの膨大な赤字 日本の行く末

このブログでは、ドル基軸通貨の維持可能性と、アメリカ覇権システムの安定性について、重大な疑問を投げかけています。ですが、「アメリカより日本が良い」ということにはならず、『アメリカとその国際政治経済システムのために、日本は犠牲にされる可能性がある』とも、述べてきました。
たとえば、日本の貿易収支赤字転落があるでしょう。

(転載終了)

ですが、ファンダメンタルではそう言いえても、何かきっかけがないと、なかなか(ファンダメンタルから見た)本来の水準に動かない、ということも、ご存知と思います。次のイベントは何でしょうか?もし私が世界経済の奥の院であれば、どのようにイベント・ドリブンで儲けようと思うのでしょうか?皆様も考えて見られると面白いと思います。

関連したニュースを引用します。

(引用開始)

国際収支13年ぶり経常赤字 輸出減速鮮明に
2009.3.9 21:06

財務省が9日発表した1月の国際収支速報は、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支が輸出の大幅な落ち込みから1728億円の赤字となった。経常赤字は平成8年1月以来、13年ぶり。赤字額は、比較可能な昭和60年1月以降では最大となった。海外とのモノやカネの流れが停滞し、日本経済の苦境が鮮明となった。
経済成長の牽引(けんいん)役を担っていた輸出は自動車や電子部品などの落ち込みから、前年同月比46・3%減の3兆2822億円と急減した。輸入も原油価格の下落で31・7%減の4兆1266億円となった。この結果、輸出の減少幅が輸入を大きく上回ったため、貿易収支は8444億円の赤字だった。
また、海外投資から受け取る利子・配当などの所得収支の黒字幅も減少した。金利低下や不景気による海外現地法人からの配当金などが減ったためで、所得収支は前年同月比31・5%減の9924億円と失速した。
世界的な景気悪化で工場の減産などに伴う雇用調整が広がり、各国の個人消費は冷え込んでいる。日本は米国市場を中心とした外需の後退による輸出減で、国内景気の悪化が急速に進んでいる。
深刻化する金融危機に対応するため、日米欧は政策金利を引き下げており、金利収入が生まれない状況となっている。株価も世界同時安の様相を呈しており、海外からの投資回収も困難な状況にある。

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1月経常収支 13年ぶり赤字 海外依存経済 長引く低迷
2009/3/10

財務省が9日発表した2009年1月の国際収支速報は、海外とのモノやサービス、投資収益の取引状況を示す経常収支が輸出の大幅な落ち込みから1728億円の赤字となった。経常赤字は1996年1月以来、13年ぶりで、赤字幅は比較可能な統計の85年1月以降で最大。世界同時不況による輸出の縮小が主な要因で、外需依存型経済の脆弱(ぜいじゃく)性を改めて浮き彫りにした。
経済成長の牽引(けんいん)役を担っていた輸出は、自動車や電子部品などの落ち込みから、前年同月比46.3%減の3兆2822億円と急減した。地域では米や欧州、アジアがともに落ち込んだ。輸入も原油価格の下落で31.7%減の4兆1266億円となったが、輸出の減少幅が輸入を大きく上回り貿易収支は85年以降で最大となる8444億円の赤字となった。
サービス収支は2558億円の赤字で赤字額は1.7%拡大した。世界的な景気悪化で工場の減産などに伴う雇用調整が広がり各国の個人消費をさらに冷え込ませている。日本は、米市場など海外の需要減による輸出縮小で、国内景気が急速に悪化している状況だ。
さらに、海外投資から受け取る利子・配当などの所得収支の黒字幅が3割も減少。金利低下や不景気による企業業績の悪化で配当が減少したことなどから、所得収支は前年同月比31.5%減の9924億円となった。
主要国は金融危機や景気回復へのてこ入れ策として政策金利の引き下げを進めており、金利収入が入りにくい。モノの輸出に加え、海外からの投資回収が難しい状況でカネの流れも停滞している。結果として1月の経常収支は、前年同月の1兆1637億円の黒字から1728億円の赤字に転落。最大の赤字だった96年1月の赤字額256億円を大きく上回る規模となった。
財務省は「世界的な経済の影響で輸出が落ち込む傾向は続く」とみている。2009年の経済見通しでは先進国はマイナス成長になるとの見方が強く、外需主導による早急な経済の立て直しは望めない状況だ。
政府・与党は新たな追加経済対策で内需喚起による景気回復を目指すが、政府内には「財政出動で内需を下支えしても、今回の景気悪化は外需が原因で根本的な解決にならない」と悲観的な意見もある。景気浮揚に向けた短期的な経済対策とともに、人口減少に伴う市場規模の縮小が進む日本の経済構造に対応した新たな成長戦略が必要になっている。

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経常収支、13年ぶり赤字…輸出急減響き1728億円

財務省が9日発表した1月の国際収支(速報)によると、海外とのモノ、サービス、資金の取引状況を総合的に示す経常収支は前年同月比1兆3365億円減少し、1728億円の赤字に転落した。
世界的な景気悪化で日本からの輸出が急減したことが響いた。
経常赤字は1996年1月以来13年ぶり。赤字額は96年1月(256億円)を上回り、比較可能な85年以来で最大となった。
経常収支が赤字に転落した主な要因は、モノの取引を示す貿易収支が過去最大の8444億円の赤字となったためだ。貿易赤字は昨年11月の934億円、12月の1979億円に続き3か月連続で赤字幅は拡大の一途をたどっている。1月も自動車や半導体などの輸出が米国や欧州、アジアなど全地域向けで大きく落ち込み、輸出額は同46・3%減の3兆2822億円と大幅減となった。輸入は原油価格の低下などで31・7%減の4兆1266億円で、輸出の落ち込みが輸入減を大幅に上回った。
サービス収支も2558億円の赤字となった。円高で日本への観光客が減り、赤字額は前年同月より1・7%拡大した。
海外との資金の流れを示す所得収支は9924億円の黒字を維持したが、黒字額は31・5%減少した。主要国の金利低下で海外から受け取る利子収入が減少。世界不況による企業業績の悪化で海外子会社から受け取る株式配当も減った。円高で受取額全体が目減りしたことも影響した。
市場では、輸出の大幅な落ち込みが当面避けられないとして、2月以降も経常赤字を予想する声が広がっている。第一生命経済研究所の熊野英生・主席エコノミストは「世界経済の低迷を受けて海外金融資産の運用益が目減りし、頼みの綱だった所得収支の黒字も落ち込む。海外経済への依存度が高い日本経済の脆弱(ぜいじゃく)さを象徴している」と指摘する。
経常収支は、貿易収支、所得収支、サービス収支を合算して算出し、赤字は4回目。1月は工場の年始休みなどにより輸出が少なくなる傾向があり、過去の経常赤字はすべて1月だった。

(2009年3月9日11時48分 読売新聞)

(引用終了)

※投資は自己責任でお願いします
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by kanconsulting | 2009-04-10 07:47 | 経済状況
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