国の債務残高(特別会計含まず) 846兆円→924兆円 持続可能性に懸念 バラマキが終われば刈り取りの季節

少し前の話になりますが、昨年度の国家債務残高と、今年度の試算が明らかになりました。(特別会計含まず)

国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高(ストック)

2008年度末 846兆4970億円(▲2兆7426億円)
・国債全体 680兆4482億円(▲3兆8796億円)
 ・財投債 ▲8兆7042億円
 ・普通国債 +4兆4772億円
 ・その他 +3474億円
・借入金 57兆5661億円(+4072億円)
・政府短期証券 108兆4826億円(+7298億円)

2009年度末 924兆円(見通し)
・年度末の国債残高 725兆円
・約44兆円の新規国債発行が主要因
・追加経済対策だけで10兆円超の国債残高
>初めて900兆円を突破

ということで、昨年度は見かけ上、2~3兆円の残高削減となりましたが、それは一瞬の出来事に過ぎず、今年度末の決算では、早くも追加経済対策・大幅な財政出動の副作用が出てくることになります。

日本だけではなく、世界各国の政府も、多量の国債を発行し、残高を積み上げていることは、これまでも述べてきたとおりです。

さて、

長期金利が上がってきたとはいえ、まだ2%未満の水準です。なぜ多量の国債を発行しているにもかかわらず、低金利なのでしょうか?何度も書いていますが、

・中央銀行が低金利政策を維持している
・国債の購入者の大半が日本国内の金融機関等で、低金利でも引き受けられる
・為替のリスクがあり、より高い金利である外国の影響を受けにくい
・金利が上がれば、保有する国債の評価損となるため、自縄自縛となっている

もちろん、いくつか問題点があります。

・長期間低金利が続くという保証はありません
・資金が有限である以上、「中央銀行(日本銀行)が国債を引き受ける」ことがなければ、いずれ、資金繰りがつかなくなることは目に見えています

「ペーパーマネーを増刷して、それをばら撒けば良いではないか?不景気では、産業部門も家計部門も通貨を退蔵するばかりなので、金利は上がらないし、インフレにもならない。一万円札をタンスにしまう人がいるなら、その分を補填しなければ、経済が回らない」という意見があります。何度も書きますが、実体経済を無視した意見でしょう。実体経済が回復することなく、数字のみが回復したとしても、単なる数字遊びであり、あまり意味がありません。たとえば、景気回復側面で、退蔵した通貨がいっせいに消費などに向かえばインフレになるでしょうし、投資に向かえば資産バブルとなるでしょう。長い目で見たバランス、つまり持続可能性があるとは言えません。

日本国民全員が一人当たり100万円(合計約120兆円)もらっても、それが退蔵されていいるうちは100万円の価値がありますが、トータルで120兆円のマネーがいっせいに市場に出回れば、あたりまえのように減価するでしょう。

このあたり、ビルゲイツが5兆円分の資産を持っていたとしても、その大半が株式ですので、5兆円分の現金を手にすることは出来ないことと同じです。なぜなら、5兆円分の株式(マイクロソフト創業者株)をいっせいに市場で売れば、暴落することは目に見えているからです。株式時価総額は、ある意味、絵に描いた餅と言えなくもありません。

(以前にも書きましたが、株式には、たとえば引受権などで希薄化が発生すると、それが株価に反映される仕組みが出来ています。しかし、通貨は、為替である程度調整されるとはいえ、株式ほどの透明性はないようです)

そもそも、信用とはそのような側面があるものではないでしょうか?

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何度も書いていますが、「バラマキ(給付的な財政支出)は水物であり、その効果は一時的」なのです。そもそもの生産性などを改善するわけではなく、新たな需要を呼び起こすわけでもなく、長く続く効果はありません。定額給付金、エコポイント、自動車減税、などなど、だいたいそういった側面があります。

(財政支出が生産性の向上につながれば、その分、雇用の縮小をもたらし、代替的雇用が発生しなければ、失業をもたらすことも、指摘しておかなければなりません。また、雇用の創出といっても、容易ではないことも明らかでしょう)

10兆円規模の財政支出も、「やらないよりはマシ」なのでしょうが、「それだけの貴重なお金と時間を使う意味がどれほどあるのか」「単なる期待を越えた、投資効果が、どれほどあるのか」については、疑問です。そして、その後のリバランス、つまり増税、が持ち上がってきます。(もちろんこれは日本だけの話題ではなく、アメリカ、ユーロ諸国+イギリス・スイス、など、も同じです。)

そして、単なるバラマキが終われば、刈り取りの季節がやってきます。もちろん、刈り取られるのは国民のお金(税金)です。国民は、うすうすではあっても、そのことに気づいています。ですので、リカードが指摘したように、バラマキは追加需要を生み出さないというのは、ごく当たり前のことなのです。

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チャートで書きますと、かなり雑ですが、以下のようになるでしょう。

世界金融危機 → 各国の景気対策 → 国債多量発行 → 未達 → 金利上昇
    ↓            ↓            ↓       ↓
    ↓            ↓        将来の増税   中央銀行引受 → インフレ
    ↓            ↓
    ↓          バラマキ → 持続的需要向上せず → 実体経済回復せず
    ↓
流動性の引き締まり → 実体経済縮小(本来の姿に) → 生産設備過剰・人員過剰 → 景気さらに悪化
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by kanconsulting | 2009-06-16 15:00 | 経済状況
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