土地の価格と日本の未来 路線価は遅行指標 土地のデフレスパイラルとインフレの足音

今年はじめ(2009/01)に、以下のように書きました。

(ここから)

マンションなど不動産購入のためのローン(融資)が通らない、という声をよく聞きます。それは当然だと思います。なぜなら

・銀行の自己資本の毀損、引当金確保のための貸し渋り
・マンションは、販売後に中古品となり大きく処分価値が下がってしまうため、担保価値が低く、加えて不動産価格も下がりつつある中で、大きな与信はできない
・上場企業であっても容易に倒産してしまうため、サラリーマンへの与信には慎重にならざるを得ない

(中略)

関東圏、関西圏のマンション完成在庫も、一向に減りません。「今はまだ買いたくないし、そもそも買えない」のでしょう。不動産については、一昨年(2007)の秋にはすでに凋落の兆しが見えていましたが、まだまだこれから冬の時代になるのだと思います。

(ここまで)

それから半年が経過しましたが、やはりというか当然というか、路線価が下落しました。

一物五価とも言われ、価格形成が複雑(に見える)土地ですが、実際の土地価格下落に遅行するといわれる「路線価」が下がったことにより、これから「土地のデフレスパイラル」が再来するようにも見えます。と言いますのは、土地は流動性が低く価格参照も難しいため、取引量が低下する局面で指標が下落すると、株式で言う「売り気配」のように、土地価格が下落することになると見ています。

具体的な要因としては、
・勤務先・ビジネスの先行きが不透明なため、新たなローンが組めない
・住宅ローン破綻による任意整理・競売
・相続税のための換金処分
と、買い意欲が細く、売りは減らない、などという感じでしょう。日本国財政破綻セーフティーネットさんも「714.急増する住宅ローン破綻」で「サラリーマンの昨年の冬そして、今年の夏のボーナスが激減し、住宅ローンを抱えている人は深刻な事態になっていることがうかがえます。」と書いていますが、その通りだと思います。

住宅ビジネスは、地主・デベロッパー・ゼネコン・銀行のすべてが儲かるビジネスでした。その儲け分は、購入者のローン、つまりリスク移転を行ったところから生じたものです。(日本の住宅価格は、世界標準から見ても、また国民の所得の割合から見ても、高すぎるということは、何度も述べたところですが、その分が売り手の余剰利益となっていたのでしょう。)

以前の記事「売れないマンション 貸せない銀行 デフォルト率3% さらに下落する不動産価格」でも書きましたが、『何もわからない個人に貸し付けまくって、消費を喚起する構造は、終わった』のだと思います。

何度も書いていますが、これから人口減少・国力低下が起きる国の土地価格は、投機的要因を除くファンダメンタルで見れば、長期的には下げトレンドとなるでしょう。

特に、土地の高度利用が進む中で、物件の供給が過多となっているため、物件価格(たとえばマンションの一戸あたりの価格)は下落するのが市場原理でしょう。

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さて、このブログでは、紙幣の刷りすぎ・信認低下によるインフレを警戒せよ、と述べています。では、実物資産としての不動産も上がるのではないか?という意見があると思います。それに対する答えを一言で言いますと、

「インフレでも、価格が上がるものと、そうでないものがある」
「インフレになっても、要らないものは売れない」

ということです。立地・条件などにより、選別がある、という当たり前のことです。

読者の皆様も、土地バブル、株式バブル、先物バブルなど、異なった資産クラスで、入れ替わり立ち替わり、乱高下があったことを覚えておられることと思います。このブログで、「余剰マネーは、儲かりそうな資産クラスをめがけて殺到するため、ブームとバーストを形成する」と、何度も述べているところです。
特に、破壊的なインフレを考えた場合、ローン金利は暴騰するため、そこでレバレッジを起こして不動産を買うことは不可能になると言えるでしょう。

関連したニュースを引用します。

(引用開始)

全国の平均路線価、4年ぶり下落…東京も5年ぶり落ち込み
 
国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2009年分(1月1日現在)の路線価を発表した。
全国約37万地点の標準宅地1平方メートルあたりの平均路線価は、前年を5・5%下回る13万7000円となり、4年ぶりに下落に転じた。
都道府県別の平均路線価もすべて下落。近年の“ミニバブル”をけん引してきた東京でも、17・4%上昇した前年から一転、7・4%下落と大きく落ち込んだ。東京が下落に転じるのは5年ぶり。
圏域別の平均路線価は、前年まで3年連続上昇していた3大都市圏がいずれも下落。特に、前年、10%以上の高い伸びを見せた東京圏と名古屋圏は反動で6%を超える下落となった。前年は横ばいだった地方圏も3・8%下落した。
一方、都道府県庁所在地別でみると、最高路線価が上昇した都市はゼロで、下落した都市は前年の3倍以上の39都市に達した。特に、福岡、千葉、横浜の下落率は10%を超え、5~10%の下落率となった都市は札幌、大阪、仙台など11都市にのぼった。
路線価日本一は24年連続で東京都中央区銀座5丁目の銀座中央通り。10年ぶりの下落で1平方メートルあたり3120万円となったが、下落率は2%にとどまるなど、もともと価格水準の高い商業地の中には比較的、落ち込みが小さい地点もあった。

2009年7月1日11時51分 読売新聞

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路線価4年ぶりマイナス 5.5%減、全都道府県で下落
2009年7月1日11時33分

国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる09年分の路線価を公表した。全国約37万地点の標準宅地の平均路線価は1平方メートルあたり13万7千円で、前年比5.5%減。4年ぶりのマイナスで、昨年の不動産バブル崩壊を投影してすべての都道府県で下落した。前年2ケタの急伸を見せた東京、宮城、愛知はマイナス6~7%と逆に大きく下落しており、投機マネーの「逃げ足」の早さをうかがわせている。
都道府県別では、宮城県は前年の伸びは12.5%だったが今年は6.8%の下落。東京都は17.4%の伸びが7.4%のマイナスに転じ、10.8%の成長を見せた愛知県も6.3%の減少だった。北海道や福岡県も同様に反動の大きさを示している。
今回の路線価は、投機マネーの影響が色濃く反映している。不動産投資信託(Jリート)などを通じて、市場に流入した資金が、昨秋のリーマン・ショック後の金融危機で一気に縮小。金融機関も不動産融資を控えるようになり、不動産会社の倒産が相次いだ。景気の悪化も影響し、不動産の流通が滞って地価の下落につながった格好だ。
全国の最高値は24年連続で東京・銀座5丁目の鳩居堂前で、1平方メートルあたり3120万円だった。銀座4丁目の三越前、和光前も同額で3年連続1位。はがき1枚分の土地を購入するには、46万2千円が必要という計算になる。(舟橋宏太)

朝日新聞

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09年全国平均路線価は前年比‐5.5%、4年ぶりに下落
2009年 07月 1日 11:35 JST
[東京 1日 ロイター] 
国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2009年分(1月1日現在)の路線価を発表した。標準宅地の全国平均額は1平方メートル当たり前年比5.5%下落(前年は10.0%上昇)の13万7000円となり、4年ぶりに下落した。
3大都市圏は08年まで3年連続で上昇していたが、軒並み下落に転じた。東京圏は前年比6.5%下落(前年14.7%上昇)、大阪圏は同3.4%下落(前年7.4%上昇)、名古屋圏は同6.3%下落(前年10.9%上昇)となった。昨年まで2年連続で横ばいだった地方圏は同3.8%下落した。
都道府県別では、47都道府県のすべてで下落した。下落率が5%以上と大幅だったのは、北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、東京都、愛知県、高知県、福岡県の9都道県だった。
昨年は14都道府県で上昇、5都道府県で横ばい、28都道府県で下落していた。
都道府県庁所在地の最高路線価のトップは、24年連続で東京・銀座5丁目の銀座中央通り。1平方メートル当たり前年比2.0%下落の3120万円となり、ピークだった1992年の3650万円から約15%下がった。

ロイター

(引用終了)
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by kanconsulting | 2009-07-06 10:18 | 経済状況
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