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円高?円安?

国家破綻(国家の財政破綻)の前には、円安になると考えられています。本当にそうでしょうか?少し検証してみましょう。

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「日本経済 破綻か成長か―2025年へのシナリオ/服部恒明」によりますと、このまま財政赤字が増大し続けるとすると、
・金融市場で国債価格が下落し金利が上昇する(2025年までに3%に。成長率ダウンに少々寄与)
・国内資本が海外へ逃避するために円安圧力が高まる(約20円の円安圧力と仮定。経済成長率アップに寄与)
・家計は増税が不可避と見て消費や住宅投資を手控える(2020年までに消費税が30%に、家計は増税分の半分を節約。成長率ダウンに寄与)
と仮定し、計量経済モデルによるシュミレーションの結果、

①現状並みの政策を続けて、本格的な内需振興策・抜本的な財政再建策が実施されない場合
・実質GDP成長率は平均0.7%(2000~2025)の低成長
・国内需要が減少し、2025年には経常収支対GDP比は11%、円ドルは77円の円高に
・国債残高対名目GDP比は、2025年には200%以上に
・20年以上先には、国債償還が不可能になる真性の財政破綻になる

キャピタルフライトがあると見込んでも円高になるのは、
・中長期的には、為替レートは財政や金利の動向よりも、国内需要の規模・経常収支の動きに大きく依存する
・経済全体の成熟化、人口減少、財政支出が伸びないなどの要因により、国内需要が高まらないと仮定
・すると輸入の伸びも低調に
・経常収支が増えて円高になる
・30~40円の円高でも、国内物価が下落し、円建ての輸出価格も下落するために、対外価格競争力はあまり変わらないので、輸出もあまり落ち込まない
ためとされています。

財政が破綻局面に入ると、為替レートが大幅に円安になり、インフレにより財政収支が黒字化し、財政破綻が避けられるとする意見があります。一見説得力はあるのですが、楽観的過ぎるということでしょう。

ケース②は後日記載します。

(以下、8/22追加)

つまり、国内需要の縮小をともなう国家破綻ルート①を予想したときに、外貨建て資産へのシフトは、逆に為替差損を被る可能性があるということです。資産保全はこのように難しい問題を内包していますので、メインページに記載していますように、通貨の種類の分散、種々のクラスへの金融資産の分散、が必要なのです。
by kanconsulting | 2004-08-21 11:26 | 経済状況
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